第66話 エルフ先生との勉強
本日は同時投稿しております
こちらは2/2作目です。
木と土の日は文字と言葉の座学でカルタ大会を行い、魔術訓練ではカルタ板の作成を行う。
7歳以上組も 攻撃魔法と補助魔法の練習をする日と、魔力操作練習として 板作りをする日を交互にしている。
火と水の日は、算術の座学でトランプ大会が行われ、武術訓練ではアスレチック体験をしている。
相変わらず3段目の反り壁を超えることが出来る生徒は出ていないけど、毎回アスレチックとなる盛土を作ることで、皆の土魔法も上達している。
そう、カルタ板では風魔法が、武術訓練では土魔法が皆上達しているのだ。
レン君とハチ君も、土魔法に関しては 完全に遊びの延長な感じで始めてたけど、今は高さも調整できるようになっているのだ。
しかも「せ~の、ボコっ!」というのが彼なりの呪文?らしく、その言葉で思い通りの盛土が出来ているのだ。
トニー君は「どりゃ~~~~」といいながら1段目の壁を作るようになっているし、彼らは無詠唱で魔法を行使することが出来ている、という事実に気付いているのだろうか。
いや、未だにファイアボールの時には痛々しい呪文を唱えているから気付いていないのだろう。
武術訓練は アリアナ先生だけではなく、ギルマスたちも覗きに来たことがあるし、ドゥーア先生は色んな授業を覗きに来ている。
はじめは知らない人が来たと興奮していたハチ君やレン君も、既に慣れ過ぎて、いても反応することはない。逆に アスレチック場に小さな池を作って難易度を上げてくれたりするので、非常に懐いている。
木と土の日には 午後に採集をして、5ポイント分稼ぐようにして、採集後には 森のアスレチックで訓練をする。
火と水の日には資料室で村の外で見つけられる素材と 魔獣の勉強をしている。
「お父さん、この辺りはホーンラビットとウルフしかいないの?」
「村から出てすぐの森は その2種類が多いな。それらは数が多いから溢れて出てくるともいえるな。
奥に入ればもっと強いものも多くなるから、弱いホーンラビットなんかは奥では食料になってしまうからな」
あぁ、魔獣の食物連鎖というか 弱肉強食な訳ですね。
「スライムはいないの?」
ファンタジーといえばスライムですよね?
転生してスライムになっちゃうお話があるレベルで有名な魔獣。ドラゴンよりも有名かもしれないよね。
「ああ、この辺りには少ないな。リズモーニ王国は川が多い。スライムは水辺に多いが 海には居らんし、川も流れがあるところには少ないな。
湖や池には多くおるし、ダンジョンの浅い階はノーマルスライムが必ずと言っていいほど居るな。まあ、倒しても魔石もないし、ドロップアイテムがないから 倒す者はあまり居らんけどな。」
ノーマルってことは、他の種類もあるという事か。
どの種類でもドロップなしなのかな。スライムは仲間になる系、お掃除に役立つ系、超絶面倒な強敵系とラノベでも扱いが異なる魔獣だよね。
ポヨポヨしているという共通事項以外は、丸かったり、雫型だったり、デロッとしてたり、顔が有ったりなかったりと色々なのも特徴だよね。
この世界にもスライムがいるなら、どんな感じなのか見てみたいね。
クリーンがあるから ゴミ処理の仲間としてスカウトする必要はなさそうだけど。
そんな感じで、資料を見ながらノートに書き写し、分からない事や 気になった事をお父さんに質問し、時々ミミーさんや、ナチ君、ルン君、ケーテさんも参加してきたりして、魔獣と素材の勉強もすすめている。
◆◇◆◇◆◇
そうして平日の4日が終わった風の日、朝からギルドに来ています。
「さて、学び舎で見ていたけれど、ヴィオ嬢は魔力操作が本当に上手だな。生徒たちも 通常の攻撃魔法の時は年齢相当だったのに、武術訓練や板作りの時は非常に上手かった。
子供達に魔法を教える時の方法を考える必要があるかもしれないね」
魔力操作を最後に教えるよりは、初めに教えるほうが効率的だと思うんだよね。
研磨は目に見えるし、授業ではやってないけど、土人形づくりとか 楽しく操作できると思うんだよね。
「水生成魔法だが、あれは素晴らしい魔法だ。
わが国では幸い水が豊富で 困る場所は大してないが、共和国は 川のない場所も多い、そして大国 メネクセス王国とて、治水工事が随分広範囲で行われているが 荒天が続けば 水不足になることもある。
その中でこの生成魔法があれば、助かる街は多いだろう。
ただ、私やアスランのように魔力操作に長けており、魔法の理解ができる者であればまだしも、誰もが使える魔法ではない事も確かだ」
あ~、感覚派の人の事かな?
でもお父さんも何回か練習したらできるようになったよね?
「ふふ、ヴィオさん、感覚派のギルマスのような人の場合は 逆に出来るのですよ。現象を見たことで素直に受け入れることが出来ますからね。
そうではなく、何故その事象が起こるのかを理解できない人達、つまり普段の魔法も呪文ありきで使う人達の方が使えないという事ですね。」
ああ、呪文の短縮ができないと冒険者を諦めるって言ってたアレですね。
「でも、生活魔法は皆使えるでしょう?
あれって、いわゆるトリガーワードしか言ってないじゃないですか。それが使えるのに何で普通の魔法は使えないの?」
そう、私の中で謎のひとつ。生活魔法は皆 簡単に使うのだ。
魔法の中では【ファイアボール】と同じようなトリガーワードだけで、着火も、洗浄も、明かりをつけるのもやってのけるのに、何故火の玉を飛ばすのにあれだけ長々唱える必要があるのか分からない。
「ふっふっふ、そうです、そうなんですよ。皆当り前に使っているからこそ、それを疑問に思わないのです。
生活魔法は今から150年以上前に存在した勇者様が考え付かれたそうです。
洗浄の【クリーン】は汚れを落とし、消し去る水の玉として
明かりの【ライト】は部屋やダンジョンでの明かりとして
着火の【バーン】は野営などで 火種として考えられたそうです。
具体的に、どのような事象が起こるのかを説明された状態で紹介されたことで、その事象しか起こせませんが 消費魔力も少なく、誰もが使える魔法として周知されたのです。
今の3つは日常生活でも使うことが多く、冒険者でない者でも使用しますが、他の生活魔法は冒険者特有の魔法として使われている筈です。」
ああ、ロープとかロック・アンロックにサイレントだったっけ。ドライなんかは日常でもあれば便利だと思うけど、まあなくても生きていけるよね。
「魔法には想像力が大切というのを理解していても、呪文があってこそという人が多いのも事実ですからね。いくつかその魔法を行使するのに 良い言葉もありますから、そういったものを組み合わせて呪文は作られているのですよ。」
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