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第63話 授業でトランプ

昨日カルタを使えるようになった事で、今日の授業では トランプも解禁された。


「授業で使えるくらいの数は揃ったからね。この箱は 13までと 魔王のカードも入ってる。こっちの箱3つは10までのカードだ。

ヴィオが言ってた勉強用だったら10まであれば十分だっただろう?」


エリア先生が箱を4つ持って入ってきた事で 皆のテンションが上がってる。

先生の言葉に 遊び方を教えたあの中では 10まであれば良いものを選択していたからね。絵札を作らないで良かったのであれば、判子があれば直ぐだもんね。


カードを見ながらどうやって使うのかという質問があり、そういえばカルタと違ってトランプは生徒たちに説明をしていなかったことを知る。

10人もいるから 全員でというのは難しいかもしれないので、三姉妹と私の4人で見本を見せることになった。エリア先生はルールを説明してくれる役だ。


「まずは魔王抜きって遊びだよ。本来ならこの13枚のカードと 魔王のカードを混ぜて使うんだ。

同じ数字のカードがあれば 2枚1セットで手札を捨てることが出来て、魔王のカードを最後まで持ってた奴が負けってルールさ。

だが今日やるのは、算術の勉強だからね。

1~10までのカードと魔王のカードを1枚配る。

魔王のカードが残れば負けってのは同じだが、捨てるカードが違う。

手元のカード2枚を足したら10になるカードを捨てることが出来るってことだね。

さて トニー、1~10のカードで足して10になる組み合わせを答えてみな。」


「えっ、えっ?えっと1と9だろ、あと2と8、3と7…あ!4と6も!」


「あと5と5もだよ? 先生、10はどうするの?」


急な質問に戸惑いながらも 何とか答えたトニー君だけど、最後のひとつはロン君がフォローしてくれました。


「10はそれだけで捨てることが出来るよ。さあ、ルールは理解できたかい?

まずはどんな風にやるのか見てごらん。魔王カードを見つけても口出しは厳禁だよ。」


「あらぁ、できるかしら」


「まぁ、でも楽しそうだわ」


「あらまぁ、じゃあ頑張らないとね」


「ふふふ、よろしくね」


先生が10までのカードが入った札を軽く混ぜて 裏返した状態で配ってくれる。私の後ろには ナチ君とハチ君、マーレさんの後ろにはトニー君、ミーレさんの後ろには ケーテさん、ムーレさんの後ろにはレン君とロン君がついている。


カードを手に持って 足して10になるカードを選びながら真ん中に捨てていく。


「他の人が捨てるカードを見るのも大事だよ。足して10じゃないカードが混ざってるときもあるからね。その時は指摘すること、それから10以外は必ずセットで2枚ずつ捨てること。

纏めて4枚とか捨てるのは ズルをしているとみなされるから気を付けるんだよ?」


三姉妹はおっとり派なので 1セットずつゆっくり捨ててるけど、先生は注意事項として色々伝えてくれる。こないだもギルマスがミスしてたしね。

後ろでハチ君が「びお早いよ~」とか言ってるけど、ちゃんと足し算してから捨ててますよ?


一通り全員が手持ちのカード整理をできたようで、先生からスタートの声掛けがされる。

今回はムーレさんのカードをミーレさんが取る形で進む。


「あっ」


「まあ、手持ちのカードと足せたわぁ。うふふ、見落としそうになってましたわぁ」


「ケーテ、声出し厳禁だよ」


カードを眺めて次に行こうとしたミーレさんの後ろで ケーテさんが声を上げてしまった。どうやら手持ちのカードに捨て札があったらしく、気付いたミーレさんが8と2のカードを捨てた。

先生から注意されてケーテさんはシュンとしているけど、気付いたら言いたくなっちゃうよね。


そんな感じでミーレさんのカードからマーレさんが1枚抜き、マーレさんのカードから私が抜き、手持ちのカードを2枚捨て、私のカードからムーレさんが抜く。という流れでゲームは進んでいく。

三姉妹は 「あら」「まあ」「あらまあ」のいつもの感じだから 誰が魔王カードを持っているか分からなかったんだけど、どうやらマーレさんに回ってきたらしい。

皆の手札の残数が少なくなってきている今、私の手元には2枚のカードがある。

ハチ君は 途中で声を出しちゃったから、今は口を押さえながら静かに興奮している。


2枚のカードからどちらを選ぼうか、左のカードに手を伸ばしたところで、後ろに立っているトニー君の耳が片方ピョコンと伸びた。

右に手を伸ばせば 耳がヘニョンと倒れる。

再び左に手を伸ばせば ピョコン!

やばい、面白過ぎる。

トニー君は無表情を作っているけど、耳が全く隠せておりません。

その間もマーレさんはニコニコしたままで全く表情変化なし。


「う~~~~ん、やっぱりこっちにする!」


悩んだふりをして選ぶのは 右のカード。

ひっくり返せばハートの1,手元の9と組み合わせて捨てれば残り1枚だ。

後ろで静かにしているのに、ブンブン振られる尻尾が見える。

やばい、このゲーム、子供の獣人には絶対向かないゲームじゃん。


ムーレさんが最後の1枚を抜いてくれたことで私が1番になった。

結局トニー君の耳により マーレさんは最下位となってしまった。

ロン君とハチ君も尻尾が分かり易いのにと思ったけど、どうやらミーレさんが初めの魔王を持っていたらしく、ムーレさんが「私がはじめだったら最初から捨てれなかったと思う。」と言ってたくらい。


「あんたたちの尻尾と耳は感情が出すぎだねぇ。まあ、それを抑えるのも大人になるには重要な練習だから丁度良いかもね。

足し算の練習と、耳と尻尾を動かさない練習として頑張んな」


ゲームとして不成立になるかと思いきや、エリア先生はそれも訓練と言い出した。

ここは只の学校ではなく、冒険者ギルドの学び舎だもんね。中々スパルタでございました。


ということで、しばらくの間は5人組に分かれてのナンバーテンをすることになりそうです。


流石にギルマスたちとの対戦時には尻尾も耳も動いていませんでした

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