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第61話 サマニア村 ちびっこ採集体験

本日は同時投稿しております

こちらは2/2作目です。


さて、昨日の採集体験はタキさん的にもバッチリだったという事で、聖の日の今日、もふっ子……じゃなかった、ちびっ子たちとの採集体験が実施されることになった。

ただし、今日は最初にギルドでカイフク草の特徴について しっかり教えるという事になったんだけどね。


初参加組はカイフク草を、冒険者で既に採集を何度もしている組は それ以外の採集が推奨されている。

カイフク草ばっかりでも困っちゃうからね。

ということで、今日は村の大人たちも総出で子供達の採集体験に付き合うから、私もお父さんとゆっくり わっさり採集するつもりなんだ。


初参加の人たちは早めの集合だったけど、私は既に採集実績があるので 少し遅めにギルドに行ったんだ。

お父さんとギルドに入ったら まだ教室で説明中だったらしくて、資料室に行って魔獣辞典を読んで待つことにした。

貯金箱用のナイスな魔獣を探したかったからね。


「お父さん、ちょっと丸っこくて 冒険者に人気の魔獣って何?」


「人気……?

そうじゃな、食料として人気なんじゃったらボア系かのう、素材として人気じゃったらキング……いや、あれは丸くないなぁ。丸くて人気……?」


プレーサマ辺境伯領でよく見る魔獣辞典を見ながらお父さんに聞けば、悩み始めた。

ボアといえば猪かな? やはりレッサーからキングまでレベルがあるのだろうか。

狼は色で分かれてるっぽかったもんね。


「ヴィオちゃん、どんな魔獣を探しているの?」


「あ!ミミーさん、おはようございます。

あのね、土魔法で貯金箱を作ろうと思ってて、お金が一杯になったら叩き割りたいから、丸い魔獣を探してるの。」


いつもの定位置にはいなかったからお休みだと思ったけど、別のお部屋にいたらしいミミーさんが声をかけてくれたので、探し物を伝えてみた。

お父さんは なるほどと言ってるけど、そう言えば お父さんには理由を説明してなかったね。


「そういう理由なのね。それならビッグタートルはどうかしら、え~っとね……、ああ、コレコレ。

甲羅がとっても硬くて物理攻撃は中々効かないんだけど、おなかの内側に1か所だけとっても柔らかいところがあるから、ひっくり返してそこを攻撃するか、口の中とかに魔法をぶち込んで攻撃するのよ。

甲羅も防具の素材として人気だし、魔石も大きいことが多いわ。」


ミミーさんがパラパラと別の辞典を捲って見せてくれたのは、巨大らしい亀。

この国ではダンジョンくらいにしか生息していないらしいけど、亀なら確かに 丸いし 半円だからどっしりしてて貯金箱には良さそう。


「ミミーさん、とっても良さそう!これで作ってみるね。

お父さんもありがとう!ビッグタートルで作ってみる!」


「そうか、決まってよかったの」


「ああ、素材の勉強会は 今終わったところよ、二人も参加するのでしょう?行ってらっしゃい」


ああ、ミミーさんはそれでいなかったのか。

お礼を言って1階に下りれば 小さいモフモフが溢れてた。

推定3歳と4歳かな? 流石に2歳以下はいないよね?


お店屋さんをやっている人たちとは顔を合わせるけど、普段畑のお仕事をしている人とかは会うことがないから初めましての人が一杯だ。

ワーキャー言いながら走り回っている子供たちが数名と、参加したそうだけど両親に俵抱きされて手足をばたつかせている子供達が数名。


「じゃあ、採集道具を渡すよ~。手袋と籠は各自用意しているよね?今日は必ず自分の子供と一緒に行動する事、親の数より子供が多いときは ギルド職員か 他の大人がつくから、言ってなかった人はこっちに来てね。

はさみは怪我する可能性も十分あるから、遊ぶようならしばらく参加禁止にするよ~。」


タキさんが大きな声で皆に呼び掛けている。

大人たちは 自分の子供を連れて 列を作り、ハサミを受け取っている。

既に手袋を外している子供もいれば、嬉しそうに着け外しをしている子も居る。兄姉がいるかいないかの違いかもね。

レン君たちみたいに 子供が3人いても、目を離せないのはロン君だけの場合は リリウムさんが参加するだけで大丈夫そう。まあ、今日もランダさんは参加しているから レン君も監視付きって事なんだろうけどね。

ハチ君の監視役はナチ君だね。タキさんは 今日は職員としての仕事に忙しいだろう。

ハチ君はレン君に比べれば 一点集中型の 大人しめだからね。動き回るって心配はいらないと思う。

私はマイナイフがあるからね、列に並ぶことはなく 入口の近くで待機だ。


「びおも村長の森に一緒に行くんだよね?」


「うん、そのつもりだよ。初めて行くから 楽しみなんだ」


村長の森は外壁に沿ってかなりぐるっと森が続いているからね。希少な薬草は畑で栽培しているらしいけど、結構な種類の素材が生えているらしいんだよね。

お父さんの森にない素材もあるかもしれないから要チェックだね。


「では 行くぞ、塀があるから村から飛び出す心配はないだろうが、迷子にはならんようにな。

それから畑を荒らす奴はお仕置きがあるからな。」


エリア先生が先導してくれるみたいだね。

よく見たらポール先生に、アリアナ先生、エデル先生まで引率としてついて来てくれるみたいだ。これは安心だね。

村中でこのイベントをやろうとしているのがよく分かる。


お父さんは後ろを歩き、私はハチ君とロン君、レン君と一緒に歩いている。

あっちにいるリスの少女とか、白いフワフワのわんこ幼女とかと仲良くしたいのに、年齢が近いもの同士で固まっているらしく、こっちも同級生に固められて動けぬ。

流石に今日はクンクンされないけど、ロン君はレン君とルン君に両手を繋いでもらって 超ご機嫌である。


浮気モフはいけないね。できればチビモフとも仲良くしたいけど、まだまだ時間はあるし、そのうち仲良くなれる筈だ。

ギルドを出たら直ぐに村長宅に繋がる橋があるから、先生たちが橋の近くで待機して 子供たちが川に落ちないように気を配っている。

4歳以下の子供たちは大人と手を繋ぐか 抱っこされているので 今のところ大丈夫そう。

村長宅の後ろの畑を越えれば 森が横長に連なっている。これは塀沿いに東門のある川べりまでつながっているから結構な距離がある。


「では、ここから赤いロープが張っているところまでが3~4歳組、赤いロープから 青いロープまでが5~7歳組、青いロープから緑のロープまでが学び舎に通っている組、緑のロープから川までがそれ以上じゃ」


「ロンは 兄さん達と一緒に動けばいい。お前たちは5歳じゃが 学び舎組の青から緑の場所で採集しなさい」


ハロルド村長が森の入り口で 場所の説明をしてくれたんだけど、ロン君は学び舎組と一緒で良いらしい。

というか5歳以上は全員学び舎に来ていたと思ってたけど、そうじゃない子達もいるみたいだ。レン君もハチ君も、お兄ちゃんが居たからかなり早めの入学だったらしいけど、普通は6歳か洗礼後の7歳スタートなんだって。

お兄さん達も保護者役で来た人たちは 赤いロープの場所について行くみたいだけど、弟妹がいない冒険者組のお兄さんお姉さんは 川の方に向かって歩いて行った。

学び舎に通っている組は 流石に親子参加の人はいないので、ロン君の両親とお父さんくらいだ。タキさんはまだギルドにいる筈だしね。


「この葉っぱは見たことないぞ」


「カイフク草、びお これだよね?」


「ヴィオ~、見て、コレあってる?」


「レン君、それはマリキ草だよ。それも素材だけど、今日はカイフク草だけだから昨日の草を見つけようね。

ハチ君、それで合ってるよ。ロン君も、合ってるよ 凄いね」


何故私に見せにくる?

マリキ草とウルル草を見つけて採集に励んでるんだけど、2人が其々気になった素材を見つける度に聞きに来たり 見せに来るから進まない。

ああ、レン君はルン君が見てくれてるから質問をぶつけてくるだけだけど。


ある程度ナチ君の採集が終わったところで、ハチ君の側に付いてくれるようになったから 質問は止んだけど、おや?ロン君のところには ランダさんがついてくれたみたい。

薬草採取は分からないって言ってなかったっけ?


「昨日の体験で 子供たちが頑張ってたでしょう?

あれを見て 子供達がやることを全く知らないのは駄目だって思ったらしくてね、今朝の素材のお勉強から参加したのよ。

私は やっぱり薬草系はからっきしだから 旦那に任せちゃうわ~」


ふと見上げた時にリリウムさんと目が合えば そんな事を教えてくれた。

冒険者としてのイロハはリリウムさんが教えられるんだもの、得手不得手で良いんじゃないかな。

お父さんと一緒に採集が出来てロン君も嬉しそうだし、仲良し家族で良いね。



ウルル草は5本1セットで良いと書いてあったから、5本だけ採集した。

生えてるときは常に潤っている草だけど、採集後にちゃんと保管しないと乾いちゃうからね。瓶の中に容れて密閉しておく。

他はマリキ草を30本採集した。

資料では簡単に読んだけど、採集方法までは未確認だった素材も沢山あった。次回以降は採集方法をしっかり調べて再挑戦したいところだ。


採集体験は2時間弱くらいで終了になった。子供達の集中力も限界だろう。

あちこちから「お腹が空いた」とか「足が痛い」なんて声が聞こえてくる。

赤いロープの辺りでは、既に獣型になってしまっている子供達もチラホラみえる。

そう言えば集合時間がゆっくりだったから お昼ご飯の時間も近いのかもね。


ちびっ子たちのハサミの返却、素材の買取でギルドは大混雑だったので、先にお昼ご飯を食べに帰宅した。リリウムさん達はハサミの返却があるから、ルン君とリリウムさんでギルドに行くことにしたらしい。レン君ロン君は、お父さんのランダさんと帰宅してランチの準備みたいだね。

午後にギルドへ顔出ししたら、グッタリ疲れ果てたタキさん達ギルド職員の皆さんが居た。


「準備と引率も結構大変だったんで、ここまで大規模なのは3週に1回が限界かな。

数人ずつなら問題ないけど、今回は村の人たち総出だったしね。素材の確認も大変すぎた~」


だそうです。まああの人数じゃ そうなるよね。

全員参加のお祭り騒ぎみたいだったけど、秋の漁の時は他所からくる冒険者と商人も来るから、こんな感じで大忙しになるらしい。

それが3か月も続くと聞いて驚いた。

ちびっこ採集体験の今回ほどの規模は月一くらいになるかもね。

ギルドの皆様 お疲れさまでした。


お読みいただきありがとうございます。

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