第59話 アスレチックの強化?
昨日はお父さんが授業に参加していたから、授業終わりにそのまま抱っこで帰宅、お昼寝の後にゆっくり採集もできた。
リスマッチョ先生と仲良しだったのは、冒険者時代に何度か一緒に行動していたからだって。恒久的なパーティーだったわけではないけど、討伐とかの時には一緒に行くぜ!的な仲間だったんだって。
あんまりお父さんは冒険者時代の仲間のお話はしてくれないけど、私のラノベ調べによると、冒険者を引退するのは 仲間と死別したとか、大怪我したとかが大半だと思う。
お父さんが大怪我をしているとは思えないから、多分死別だと思うんだよね。なので無理に聞くことはしないようにしている。
木の加工はまだまだあるから、しばらくは魔法の授業にお父さんが来てくれるみたい。
今日担当した場所の魔法が上手にできるようになったら、子供たちは場所を変更して 一通りできるようになればいい。という事らしい。
ということは、私は次回 7歳組と一緒にやる感じかな?
エアカッターだと細かい作業もどんと来いだからね、楽しみだ。
翌日の算数の授業では再びのトランプ作りだった。
「あんた達が授業で使うのに1つじゃ足りないだろう?」
ってエリア先生が言うからね。
ただ、この2日ほどで判子が準備されてたよ。お印の判子が其々2個ずつ。
「今回は手書きじゃなくて 判子を押すだけだから随分楽だろう?何人かは数字を書いてもらいたいからね。そうだね、マーレ達、あんた達が数字を書いてやってくれるかい?」
「あらぁ、私たちは判子じゃないのね?わかりましたわぁ」
という事で、羊三姉妹が書いた数字の札に合わせてお印をポンポン押していくことになったよ。
カードの1 は大きいお印の方が格好いいからね。その分だけはミーレさんとムーレさんが手書きで書いてくれてたんだ。
勿論絵札に関してはエリア先生の担当で、私たちはその出来上がりを知らないんだよね。次の授業では見れるかな?
武術訓練では いつものランニングのあと、当り前のようにアスレチック作成が行われた。
「武器の訓練はいいの?」
「まだ本格的に打ち合いが出来る訳じゃないしな、どれが合ってるかを確認しながら 武器の取り扱い方法を勉強してる感じだ」
「ぼくたちは まだ使えない武器が多いから こっちの方がたのしい。びおも一緒にできるしね」
「まあ、訓練場全部がこの感じになってるわけじゃないからな。武器の練習もできるぞ」
トニー君、ハチ君の発言を肯定しながら先生までそんな事言うから、まぁいいのかな?
羊三姉妹も いつもは最初のランニング(と言う名のウォーキング)の後は見学なんだけど、アスレチックの為の土魔法は頑張ってくれるんだよね。
先生はサスケ壁を三段階で作っており、最後の3つ目は誰が登れるねん!って感じでした。
手前が落とし穴的に抉れてるし、土壁も反りがある、相当高い。
ちなみに1つ目は跳び箱の6段くらい(私の身長よりは低い)
2つ目は村の塀くらいの高さ(およそ2m)前回トニー君が軽々超えたのはコレだね。
3つ目は横から見たら同じくらいなんだけど、手前に落とし穴的な凹みがあるから、プラス1mくらいじゃないかな?鬼畜過ぎる。
「流石にこれはトニーでも無理じゃないか?」
「反対側からだったらいけそうだけど、手前からだったら ちょっと無理だな」
「私は2つ目でも無理だわ。だけど賊を追いかける時なんかに 壁越えが出来た方が良いわよね」
7歳以上組は 出来上がったコースを見ながら、難しい顔をしている。
ケーテさんは尻尾が重いからねぇ。
「こないだより凄いな!ヴィオ もう土魔法使えるようになったのか?凄いな!」
「お父さんが木と土が得意だから教えてもらってるんだ」
「こないだより難しそうだけど、楽しそうだね!」
ちびっこ組は難しいとか考えるよりも楽しそうという興味が勝っている。
三姉妹はやり切った顔をして休憩エリアに戻っている。
準備が整ったら 早速 皆で 順番にコースを走り始める。
「うおっ、これ、あっぶね」
「ここがダメージエリアだとしたら、慎重に行くべきよね」
吊り橋代わりの平均台エリアは、微妙に傾斜もつけているので 油断してたら落ちます。前半は平均台が途切れることはないんだけど、第一壁を越えた後には、細さ、高さも増してるし、飛び石のように途切れ途切れにもなっている。
ピョンピョン飛び跳ねるトニー君は、降り立つ場所に気を付けないとズルっと滑るよ?
「むぅぅぅ、むずかしい」
「すっげぇ、こないだより超難しくなってる!」
レン君とハチ君は 楽し気にスタートして、最初の丸太の段差で落っこち、平均台の微妙な傾斜に気付かず落ち、スタートラインに何度も戻ってきている。
だけど楽しそうなので良いのだろう。
スタートラインからいくつかルートがあるので、混み合うことはなく楽しんでいる。
私は一つ目の壁を越え、今二つ目の壁の前で悩んでいる。
慎重に走れば ここまでのトラップはトラップにはならない。ただ、この物理的な壁はどうやって越えようか。
「スタートに戻るか?ここまででも十分トレーニングにはなるぞ?」
見回っている先生に声を掛けられるけど、この後のルートも走ってみたいからなぁ。
「先生、壁を超えるのに魔法を使っちゃダメ?」
「いいぞ?」
「えっ!?魔法使うのありなの?」
「まじかっ!」
先生の声が聞こえた7歳以上組が 愕然としている。
確かに落ちたらスタートラインに戻る、というルール以外は特に言われてないもんね。
「ただし、壁を壊すというのはナシな?壁と盛土は ダンジョンとかの動かないものだと考えろ。
壁の解除以外なら魔法で補助しても勿論いいぞ」
そっか、自分の肉体だけでクリアしろなんて言われてないもんね。魔法も自分の能力だし、実際私は強化魔法を使っている訳だしね。
という事で魔法を使うことにしたよ。
目の前の壁に手をついて4か所程に魔力を流す。
「【ブロック】」
土壁にポコポコと小さなブロックが飛び出す。階段を作るのが楽ではあるけど、それだと訓練にはならないからね。2mほどの壁の50cmくらいの距離で ブロックを壁から生やした。
そのでっぱりに手足をかけてよじ登る。
ふふっ、クライミングをしている気分だね。自分の身体も軽いから そんなに腕への負担もないね。
「おお~、そういうのもありか」
「あれなら私でも登れそうだわ。もう少し大きなでっぱりでもいいわね」
「そうだな、だが大きなものを作るには それなりに魔力も必要になるぞ。それも考えて 行動しろよ?」
確かに。ダンジョンでもその後のルートがどれくらい続くのか、というのを考えてないと途中で魔力切れなんてことになったら死亡だもんね。
ケーテさんも納得したようで、一段のブロックを大きくする代わりに 個数を減らすことにしたみたいだ。
私は2段目の壁を越えた後の丸太で落下し、スタートからのやり直しになり、数名が3段目に取り掛かろうとしてたけど、反り返りのせいで落下、スタートに戻る。を繰り返して授業は終わった。
次回は3段目の壁の手前までは軽く行けるようになりたいな。
あの壁をどうにかするならつる草魔法が良さそうだよね?それも練習しておかないとだ。
アルクお父さんがヴィオに冒険者時代の話をしないのは、聞かれないからというのと、聞いたら「行きたい!」と目をキラキラさせそうだからです