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第56話 色変えの魔法道具

本日は同時投稿しております

こちらは1/2作目です。


武術訓練の授業が終わり、皆が残念がる中 土魔法は解除され 地面は元通りになった。

土壁は敵の攻撃を受けても崩されないように 戦闘中なんかは魔力を流し続けて強度を保持させる必要があるみたいなんだけど、授業で使ったくらいの 上から踏むレベルなら保持に魔力は要らないんだって。

ただ、時間が立てば崩れてしまうし、知らない人が遊んでいる途中で崩れるのは危険だからって事で解除の必要があるって事だった。


「ヴィオちゃん、アルクさん、サブマスから お伝えしたいことがあるとの事で、会議室にお願いします」


授業が終わって1階に戻ったら 受付のタキさんからサブマスが待っていると教えてもらった。

お父さんも 理由が分からないみたいだけど、まあ行けば分かるよね?

ってことで お父さんの抱っこで2階へ。


コンコンコン


どうぞの声が聞こえたので入ったら、サブマスが何かお仕事をしながら待っててくれたみたい。


「ヴィオさん、こんにちは。今日皆が作ってくれたトランプは 次回の授業には使えそうですよ。カルタ用の板作りは明日の授業で頑張ってもらう必要もありますが、トランプももう少し数があった方が良いかもしれませんね……。」


今日の算術の授業が終わってからも エリア先生は絵柄カードを頑張って作ってたんだろうか。子供達手作りのカードは マークのバランスもバラバラで、中々に味わい深いカードになったと思う。

だけど授業で使うには1セットしかないのは足りないよね。

かといって 手書きで作るのは大変すぎると思うけど。


「みんなで書くのは楽しかったけど、マークが大変だったの。

特にクローバーとスペードは大変だと思うの。だったらマークの判子を作るか、ステンシルがあれば もっと楽だと思うの」


「判子か、そりゃ簡単そうじゃな」


「ステンシル、ですか?それは一体どのようなものでしょう?」


サブマスに聞かれたので ステンシルの簡単な説明をする。

この世界にプラスチックがあるとは思えないけど、かわりになるようなものはあるのだろうか。


「洗っても破れないような紙があればいいんだけど、無かったら分厚い丈夫な紙とかに必要なカードを穴あきで作るの。

用意した木札の上に厚紙を置いて、上からインクでポンポンしたら 印が残るでしょう?細かい絵なんかで 何枚も同じカードを作るなら便利だと思うの。

判子でも出来るけど、それだけの数を彫るのは大変でしょう?

マークの4つだけ彫って 皆でポンポン押すのも楽しいから、それもいいけど、沢山作りたいならステンシルの方が楽だと思うんだ。」


手元にカードも判子もないけれど、エア判子とエアステンシルを作りながら二人に説明してみた。カッターナイフに近い 小さなナイフはお父さんも持ってるから、ステンシルを作るのは可能だと思うんだよね。


「ステンシル……。それは確かに便利そうですね。考えてみますね、ありがとうございます。

あぁ、そうそう、本題を忘れるところでした。今日は 王都から手紙が届いたのでそれを知らせたかったのですよ。」


「手紙?」


「おお、もしかして!」


私が手紙をやり取りするような人はいないけど、お父さんは何やら心当たりがある様子。息子さんとかかな?

そう思っていたら サブマスが小さな小包を取り出してお父さんに渡した。

お手紙じゃなくて?


「おお、思ったより早かった。サブマスありがとう」


「いえいえ、ドゥーア先生からの返信もありました。水生成魔法をお伝えしたら 非常に興味をひかれたとのことで、早速王都を出るとの連絡でした。早ければ来週には到着されるかもしれません。

それまでにこちらが届いて良かったと思いますよ。」


ドゥーア先生って、こないだお話に出てたエルフの恩師って人だね?やっぱり村に来てくれるの?

エルフと初会合だね!


「ヴィオ、これは王都で作られておる 色変えの魔道具じゃ」


小包から取り出されたのは 可愛らしい髪飾りだった。黄色いリボンの真ん中に小さな石がついたバレッタは魔道具らしい。

私が着けていた耳飾りは 多分ゴミ捨て場か川で外れてしまったようなので、お父さんがお願いしてくれていたらしい。


「この魔石にまずは魔力を入れてくれるか?」


お父さんに言われて 中心にある飾り石に魔力を流す。魔力が入らなくなったところで灰色っぽかった石が茶色っぽく変色した。


「お父さん、石の色が変わっちゃった!」


「おお、これでええんじゃ」


壊したのかと思って焦ったけど、問題なかったらしい。

ひとつ結びにしていた髪紐を解き、手慣れた感じでお父さんが髪を梳いてくれる。

耳の後ろ当たりで髪を纏めているので、ハーフアップにしてくれるのだろう。

パチン と髪留めをつけてくれた感じがしたので目を開ければ、肩にかかる髪色が変わっているのが分かった。


「おおぉ!髪の毛が茶色くなってる!」


髪を一束持ち上げてみれば 見慣れたピンクではなく、お父さんと同じような茶髪になっている。お揃いだねとお父さんに言えば、少し驚いた後に 嬉しそうに笑ってくれた。


「目の色は眼鏡型の魔道具が必要ですが、髪色よりは目立たないと思いましたのでね、まずは髪色を変化させる魔道具にしたのです。

風の季節になれば 余所者が増えますので、それまでには眼鏡型の魔道具も手に入れるように 今連絡をしていますからね」


ああ、お母さんが襲われたことで 私も狙われる可能性を考えてくれてたんだね。

なんて有難いことなんだろう。こんなチビっ子一人、面倒を抱え込まないように捨て置くこともできた筈なのに、どうやってこの恩を返すことが出来るかな。


「お父さん ありがとう。サブマスさんも、私 この村で役に立てるように頑張るね」


「ヴィオは十分 この村に沢山の益を齎せてくれとる。役に立とうと考える必要なんかないんじゃ」


「そうですよ? 水生成魔法に カルタ、それに子供達の薬草採取に関しての意見も非常に有益でした。

ヴィオさんがこれ以上頑張ってしまったら、大人たちがついて行けないかもしれないので、頑張らないでくださいね」


お父さんもサブマスも、二人して頭を優しく撫でながらそんな事を言ってくれるから、泣かないように俯くしか出来なかった。

ありがとう、この村に、お父さんの元に来ることが出来て本当に良かった。


お読みいただきありがとうございます。

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