第51話 カルタつくり
本日は同時投稿しております
こちらは 2/2作目です。
先生が退室したのでお姉さんたちも集まって、再度カルタについての遊び方を説明したよ。
「毎回同じような文字の練習で飽きてたから 丁度いいや。手伝うぜ」
「遊びながらだったら家でも出来るし、ロンも一緒にできそうだね」
トニー君は正直者過ぎると思いますが、手伝ってくれるのは有難いし、ルン君はいつでも弟の事を大事に思うお兄ちゃん、素敵すぎます。
読み札の文字を書くのは羊三姉妹がやってくれるとの事なので、まずは基本文字に対する言葉を考えて、その上で絵を考えることになった。
ナチ君はギルドの依頼用紙を作る仕事をしたいらしく、絵の練習をしているらしい。
確かにホーンラビットとか薬草は簡単な絵も書いてあったよね。まさかあれってギルド職員さんの手書きだったの?いや、まあそうか。PCからデータをダウンロードできるとかじゃないもんね。
「おれ、そんなに魔じゅうの名前知らない。ヴィオがおれとハチに手伝ってほしいって言ったのに……」
年上組が盛り上がり始めたら レン君が目に見えて落ち込んでるから理由を聞いたら そんな可愛いことを言われたんですけど?
「俺たちが調べてやるから レンは文字を書きゃいいだろ~?」
「トニーのお馬鹿!
レン、先生は 魔獣や素材も良いけど、まずは身近な言葉からって言ってたでしょう?
例えば “よ” なら “洋服屋のリリウムさん” とか、身近なお店の名前とか食べ物の名前で考えたらどう?」
泣きそうになっているレン君に なんと声をかけようかと考えてたら、トニー君が何でもない風に提案。そうじゃないんだよとツッコミたくなったら ケーテさんがツッコんでくれました。
「ケーテさん、それとっても良いと思う。お店の名前とか、食材とかの名前と絵を覚えたらおつかいもできるようになりそうだもん」
ケーテさんの言葉に賛同すれば、教室の皆が盛り上がった。
「あらぁ、じゃあ言葉を選んでいきましょう?」
「まぁ、そうね。ではこの文字から皆の思い付く言葉を考えましょう」
「あらまぁ、では私は選ばれた言葉をノートに書いていくわね」
そう言って三姉妹が黒板の前に立ち、マーレさんが先生と同じように基本文字を5つ書き出した。
日本語でいう“あいうえお” が縦に間隔をあけて書かれる。
ミーレさんは皆の方を向いて、手を上げている子を指名していく。
ムーレさんは書いてある文字をノートに書く為に自席に戻った。
「ハイ! アリアナ先生は魔法の先生」
「あ、じゃあ俺! アスランサブマスは超怖え」
ケーテさんがはじめに答えて、直ぐにトニー君も手を上げたんだけど、サブマス怖いかな?魔法が大好きで 色んな事に興味深々な残念イケメンとしか思えないんだけど。と思いながら手を上げればミーレさんが指名してくれる。
「はい、アルクお父さんは木魔法が得意」
言ってからコレはカルタじゃないと思ったけど、まあ子供が考えた村のカルタという事でひとつ。
そんな感じで3~4個のリストが出れば多数決で人気の言葉を選び、決定したものをムーレさんがノートに書き写していくという作業が行われた。
タ行に入ったくらいで ポール先生が、エリア先生、ギルマスとサブマス、ハロルド村長を連れて帰ってきた。
「タキさんはギルドの受付さん」
「ダンダダは武器防具店!」
先生と目が合えば「これは何をしているのか?」という空気を感じたのでマーレさんに手で合図して止めてもらったよ。
「あらぁ、先生お帰りなさい」
「えぇ、今は何をしていたのでしょう?」
「まぁ、今はカルタに入れる言葉を皆で考えていたのですわ。初めに作るのは この村の人やお店、お買い物で買うような物や食材などにしましたの」
「ほお、それでその黒板の内容なのかい、面白いねえ」
ポール先生とエリア先生はマーレさん達の近くに行って、黒板の内容を見ながら説明を受け、ムーレさんも 既に選ばれたこれまでの言葉を見せている。
子供達も 「これは自分が言ったヤツ」なんて先生たちに嬉しそうに報告している。
「ヴィオさん、このカルタという玩具は素晴らしいですよ。商標登録を再確認してみますが 子供用玩具自体があの時調べた中にはありませんでしたから、多分名前が違っても作られていない筈。
これは商業ギルドでの商標登録が必要になります。
子供用のハサミも登録をしますので、一緒に登録をしてしまいましょうね」
それをぼんやり眺めていたら サブマスから登録について説明してくれたんだけど、5歳児が考えたとかってやばくない?
「いや、トランプにリバーシも5歳に満たなかった少女が考えたとされていてな、当時はギルドが取り合わず 両親が登録したはずだが、その本人が大人になってから考案者の登録をし直したんだ。
それもあって、今は子供でも登録することは出来る。
ただ、珍しがられて 目をつけられる可能性はある。だから救済措置として考案者の年齢が幼い場合、本人の希望があれば 考案者の名を伏せて 成人するまでは 親か街の代表が代役として名を登録することもできる」
親か街の代表者と言う理由は 毒親に自分の権利を全て奪われないようにする救済措置らしい。
街の代表を限定していないのも、村長や領主がクソな時があるからだそうで、商業ギルドにちゃんと話が出来て登録できる人。という非常に広い括りらしい。
私が捨てられたあの町の領主なんかだと、絶対にやばそうだもんね。
「フォッフォッフォ、お前さんのお陰でアルクは勿論だが、木工作業を得意にしている者たちの新たな収入源になる。村としても非常にありがたいぞ」
村長さんは嬉しそうに頭を撫でてくれる。
そうか、レン君とハチ君の勉強になればと思ってたけど、確かにコレがもっと作られるようになれば、お父さんと私だけでチマチマ作るのは大変だ。
魔獣とか素材のも ってなれば、大人も参加してくれたら売り物にもなりそうだもんね。そうなったら木魔法が使える木工が得意な人には副業としても稼ぎになる。
そこまでは全く考えてなかったけど、お世話になってる村の役に立てるなら嬉しいよね。
このままギルマスたちも見学をしていくことになったので、次々に言葉も決まっていく。
後2~3回の授業が必要だと思ってたんだけど、言葉を考えるのはこの授業だけで揃ってしまった。
明後日は5歳児3人で取り札の文字を書く
絵の得意なメンバーが取り札の絵を書く
羊三姉妹が読み札の文字を書く
という事になったよ。流石に書くのは随分時間がかかると思うから、2回分くらいの授業は必要かもね。
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