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第41話 魔法の披露と体験

本日は同時投稿しております

こちらは2/3作目です。


「ゾンビってなんだ?」


「死んだ動物とか人とかが ウエ~って言いながら襲ってくるやつ。

お母さんが『夜 外の暗い所はゾンビが出るから出歩いちゃダメ』って言ってたけど いない?」


ギルマスの疑問に思わず〈秘儀 お母さんが言ってた〉を使ってしまった。お母さんごめん!

もしかしてゾンビはいない世界だった?


「あぁ、グールの事ですね。街中にグールが出たら大騒ぎになりますから普通はいませんが、戦の跡地や 瘴気溜りのある所などでは 確かにそう言った魔物が多くいますね。

それに対して最も効果的なのは、ヴィオさんが仰るように聖属性の魔法になります。

そう考えれば、何気なく使っているライトも攻撃力はないですし、あれでグールを倒せたとは聞いたことがありませんでしたね。

ということは、あのライトは別属性なのか、それとも生活魔法自体がまったく属性に関係していないのか。

そしてこの訓練場もそうですね。どこのギルドでも訓練場はこういった作りでしたから疑問にも思いませんでしたが 確かに……」


サブマスが一人の世界に入ってしまったよ。

というか、生まれた時から魔法が身近にあって 何気に使えたら疑問に思わないものなのかな?


確かに 諸外国ではナイフ&フォークだったのに、推定日本人だった私はお箸を使うことに疑問を覚えたことはなかったね。よく考えればとても器用な事をしてたと思う。

言葉が違うのだって、バベルの塔を神様が破壊して、二度と神様に近付こうと思わせないように言葉の壁を作った。って神話は聞いたことがあるけど、日本みたいな島国ならともかく、大陸なんて目に見える線がある訳でもないのに言葉があれだけ違うのも不思議現象だったよね。


今の私は魔法がない所で育った記憶があるから『なんで』と思ってるけど、記憶の3歳児は『魔法の練習をします』という言葉に、何の疑問もなく嬉しそうに答えてたもんね。


「ふふふふ、面白いですね。この国とは言えませんが、この村では魔法に関して誰よりも理解していると思っていましたが、全く足りていませんでした。

ヴィオさん、生活魔法や身体強化魔法に関しては 少し調べてみましょう。お時間を頂けますか?」


自分の中で色々整理がついたのか、サブマスが正気に戻りました。

調べてくれるのなら その結果を楽しみに待ちたいと思います。例の魔導学園とやらで調べられるのかな?

あ、ちなみにお父さんとギルマスは〈魔法は感覚派〉だという事で思考放棄してました。


「では、エデルがみたという不思議な魔法を見せて頂いてもよろしいですか?

ちなみに何の魔法だったのでしょうか」


「回復魔法……かな? 沢山歩いたから 足の疲れをとることだけを考えてやったから、ちょっと違うかもしれないけど」


よく考えればサブマスがしてくれた回復魔法とは全く違うアレを回復魔法と言っていいのか迷う。ホットリフレとしての再現は良い感じだと思うけど、別にあれって魔法じゃなかったし。

という事で、今疲れてない自分にかけても正しいか不明だから、いつも座り仕事で疲れているというギルマスの脚をお借りすることになりました。


「んと、失敗したら濡れちゃうかもしれないから、おズボンはお膝くらいまで上げてもらっても良いですか?」


ズボンの厚みによってはあの温かさを実感しにくいかもだしね。

回復魔法で服を脱ぐのか?と不思議そうではあるものの、ベンチに腰を掛けたまま素直にズボンをまくり上げてくれる。

折角なので靴下と靴も脱いでもらったよ。


「じゃあ、やりますね?」


ギルマスが座る目の前に小さな箱が用意され、そこに座ってホットリフレ魔法をかける。お父さんとサブマスは私とギルマスの脚を凝視している。


(私の時よりは大きな水玉じゃないと駄目だよね? 温度は同じで、数も3つでいこう)


ネリネリした魔法は、やはり午前にやった時よりスムーズに行うことが出来、水玉3つずつがギルマスの両足を3方向から包み込む。


「は? 何だこれ……、うわぁ、あったけえ」


「じゃあ、動かしますね?」


水玉を脚に押し付けるように圧をかけ、少しずつ膝裏に向けて動かしていく。

グニン グニン と目に見えて動く水玉は、漫画でよく見たスライムにも見えて可愛い。


「お、なんだこれ、うおっ、おほっ、やべえ」


「ちょっと、分かりませんよ。どういう効果ですか?今回復されている感じなのですか?」


「えっ?回復?おぉ~、これすげえ気持ちいいぞ。おぉ、そこ!ぐわぁぁ‼」


そう言えば、私も初めてマッサージ屋さんに行った時は、慣れなくて悶えた気がするね。

きっと人生初マッサージだろうし、全然会話にならないギルマスを見ても微笑ましいとしか思えないけど、質問に答えてもらえないサブマスはちょっとイライラしてる?

膝裏の辺りが疲れてたらしく、一際大きな声を上げたギルマスに、二人もちょっと驚いている。

折角だから2周目はバイブもつけてあげよう。

水玉の中の水を振動させるように魔力を流せば、足首まで戻った水玉が 再びギルマスの脚を揉み上げていく。


「おっ、おっ、おお~、これは、すげえ、くすぐったいような、いや、でも気持ちいいぞ」


ギルマスの状態に、今質問するのは意味がないと諦めたサブマスは、ギルマスの隣に座り込んでしまった。お父さんはフルフルしている水玉に興味津々らしく、ジッと見つめている。


「はい、終わりです」


2周目も膝裏まで到達したところで魔法を解除。水玉は割れることなく消え去り、呆けた顔のギルマスだけが残りました。

うんうん、リフレを受けた後って そんな感じになるよね。


「それで、どうだったのですか?」


若干いつもより低めの声で問いかけるサブマスに、呆けてたギルマスもシャキっと座り直した。


「おぉ、初めて体験する気持ちよさだったな。

いや、ちょっと待て。

で、結果から言うと……これは回復魔法ではないな。

ただ、足の怠さも疲れも無くなった。という事を思えば、回復はしてる」


ギルマスの感想に眉毛を釣り上げたサブマスだったけど、その後すぐに続けられた言葉を受けて考え込んだ。うん、間違いないよね。サブマスの回復魔法とは違うのは確か。だってこのリフレでは傷も無くならないと思うし。

怠さがなくなったのは血流が良くなったから。人の自然治癒力だよね。


「サブマスさんと お父さんもやってみる?」


体験してみないと分からないでしょう?と思って提案してみれば、サブマスは喜色満面でいそいそとズボンをまくり上げ、靴と靴下も脱ぎ始める。

お父さんは困り顔。


「お父さん?」


「いや、ヴィオの魔力は大丈夫か?今日は強化魔法に 学び舎を合わせて2回もさっきの回復(?)魔法を使ったじゃろ?

儂らにもかけたら4回じゃ。流石に魔力切れになるんじゃないかの?」


……あぁ、確かにね。

でも、強化魔法もホットリフレも、1回目は時間も魔力もそれなりに使った気はするけど、2回目は再現するだけだからか直ぐにできるし、魔力も減った感じはしないんだよね。

ステータスとかが見えれば良いけど、そういうのはないみたいだし。


「よくわかんないけど、魔力切れの前って何か症状がある?突然無くなっちゃって倒れる?」


「そうですね、一般的には頭痛がする、お腹が空く、喉が渇くなどの症状が出ますね。その状態でも更に魔力を使えば、頭痛や嘔吐、めまいなどの症状があり 気を失いますね」


あぁ、トニー君は暴発させそうになって一気に魔力が減っちゃったから、フラフラしてたんだね。


「だったら大丈夫だと思う。まだそんな感じはないから。

もし症状が出たら途中で止めるね?」


そう言えばお父さんも安心したようで、ズボンをまくり上げて靴を脱いだ。

ギルマスは自分の脚を撫でながら「スッキリしてんだよな」と呟いている。そういう効果があるように使ったから効果があって良かったです。


で、二人同時にできるかと思った結果、全く問題なくできました。

水玉の数を調整するだけだからね。

お父さんのガッシリした脚と、サブマスのほっそりした脚(ふくらはぎには綺麗な鱗があったよ)という違いはあったけど、水玉は上手い事フィットしてくれて、圧には問題がなかったみたい。


二人の悶える様子を真ん中に座っているギルマスが、左右を見ながら愕然としているけど、ついさっきまで同じような顔で、もっと悶えてましたからね。

サブマスは途中で起き上がり、ブルブル震える水玉をそっと撫でたり 突いたりしてる。

2回目、というか3回目の今ははじめにどんな風にするのかを考えて発動したから、自動で水玉は動いている。魔力をずっと流してもいないので、私もお父さんの脚をマッサージしている水玉をツンツンしてみた。

温かい水玉は、触った部分が多少凹みはするものの 割れることもなく、ブルブルしながらゆっくり動いている。

水風船のようにビニールに包まれている訳でもないのに形を保っているのは本当に不思議。ただの水というかお湯の塊なのに、身体を濡らすことがないのも不思議。

強いて言うならオブラートで包まれた感触。これがベッドだったら絶対気持ちがいい。


2周目が終われば 自動で水玉は消え、ちょっと呆け過ぎた2人の大人が残された。この顔だけを 今他の人が見たら、何かいかがわしいことが行われていたと思われても仕方がない感じである。

先にその状態から脱出したギルマスだけが、ちょっと気まずそう。

そう思うなら正気に戻してあげてくださいませ。





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