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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第393話 祭りの夜


十六時から始まったお祭りは 二時間ほどで日が落ちてきた。

この屋台で出されている料理が夕食がわりとなった子供達は 保護者達に連れられて帰宅する。

私は今日の主役だからまだ残っているけど、お酒が準備され始めたところで お父さんと一緒に帰ることにした。


「おう!アルクも今日は久しぶりに飲もうぜ!」


「ヴィオが居るのに飲みに行くわけがないじゃろうが」


おや? お父さんは飲まないから飲めないのかと思っていたけど 違うのだろうか。


「お父さんお酒飲めるの?」


「ヴィオ、飲めるなんてもんじゃねえぞ。こいつは酒が強いんだ。

昔はそれこそ浴びるほど飲んでた事もあったぞ」


そうなの!?

まったくお酒を楽しもうとしていることが無かったから 知らなかったよ。

そうか、私と旅をしている途中で酔っ払ったら 危険すぎるもんね。我慢をさせていたんだろうかと思うと申し訳なくなるね。


「お父さん、村の中だし大丈夫だよ。

今日は久しぶりに皆と沢山楽しんできて?

私も大人になったらお酒が飲めるようになりたいし、その時には一緒に飲もうね」


多分前世は飲めてたんだと思うんだよね。

あのゴミ捨て場で目覚めた時に 酔っぱらってたか?って思ったくらいだもの。


「おぉ!流石ヴィオは分かってんな~、アルク お前の娘はよくできた良い娘だな」


「ヴィオは可愛くて世界一の娘じゃ」


何の照れもなくそんな事を言うから 私の方が恥ずかしくなる。

とりあえず 私を家まで送ると言ってくれたお父さんは おじさんにまた後で合流すると言い残して 家路を進む。

ふふっ、あんな風にじゃれ合うお父さんって あまり見ることがないから 新しい姿を見れて嬉しいね。


「なんじゃ? 急に笑って、なんかあったんか?」


「ん~ん、なんでもない。

お父さん、私ね この村に来れて本当に良かったなって思ってるの。

あの時 川で流れていた私を見つけてくれてありがとう。

お父さんの娘になれて良かったって思ってるの。

お父さん大好きだよ」


改めて言うのは照れ臭いけど、“ありがとう” と “好き” という言葉は言える時に言っておかないと 二度と言えなくなることもあるからね。

沢山沢山言っておけば、言えなかったって後悔することは少ないだろう。

お母さんに言えなかった沢山の大好きとありがとう。お父さんには遠慮なく沢山言うから 受け取ってね。


スイっと抱き上げられてすたすたと歩くお父さん。

片腕抱っこで肩まで位のサイズだった私だけど、今は視線が簡単に絡み合うまで大きくなった。


「ふっ、ヴィオ大きくなったな。

こうして抱き上げて歩けるのは あと何年なんじゃろうな」


そうだね、まあ歩き疲れるというのは既に無いから あれだけど、思春期になったら流石に恥ずかしいから止めて欲しいってなるかもね。


「儂もあの時ヴィオを見つけることが出来たんは神様のお陰じゃと思っておる。

儂の娘になってくれてありがとうな」


胸元のチャームを抱き上げているのと反対の手で握ったお父さん。

神様は本当にいたのかもね。ううん、この世界にはダンジョンがあって その中に神様を記す像があれだけあるんだもん。きっとお父さんと引き合わせてくれた神様もいるんだよ。






「まあ そこまで遅くならんように帰ってくるが ヴィオは先に寝ておってええからな」


「うん、魔法陣の練習だけして 眠くなったら寝るね。楽しんで来てね、行ってらっしゃい」


自宅に到着したところでお父さんをお見送り。

偶には大人同士で楽しんでくると良いよ。


私は一人になった自宅で魔法陣と向き合う。

そういえばこの家に来て この家に一人っきりになるのって初めてだね。

慣れ親しんだはずの家なのに それを自覚するとなんだか急に落ち着かなくなってきた。


お風呂でも入ろうかな……。

いや、片付けでもしておけばちょっと気が紛れるかも。

留守番をする子供というのは こんな気分になるのだろうか。

何となくソワソワというか、ちょっと不安というか……。いい大人だった記憶があるのに 肉体年齢に精神が多少引っ張られるのか 落ち着かない。


マジックバックの整理をしようと思い 一旦全部を出してみる……と思って止めた。

中身が多すぎる。

はじめてこの鞄がマジックバックだと分かった時に想像していた “家一軒分” よりもずっと容量は多かった。どんどん調子に乗って入れていたから 結構中身がカオスなことになっている。


頭の中でまずは情報整理をしていく。

魔獣素材で纏めてみよう。

鞄の中身一覧は頭の中で見えているので その中から『魔獣素材』をピックアップすると テーアさん達からもらった素材や お母さんが持っていた素材が一カ所に集まる。

それを≪魔獣素材コンテナ≫の中に収納。鞄の中のポケット分類しているようなものだね。


次は『食材』でピックアップ。

調理済みのものはひとつもないけどダンジョン旅に出る前にはまた一杯になるだろう。今残っているのは乾燥野菜と フリーズドライスープ、調味料各種と素材そのものだね。

これは≪食材コンテナ≫に全部収納。 コンテナ内は後で整理整頓すればいい。

まずは大まかな分類が必要です。


次は『衣服・装備』でピックアップ。

夏にドゥーア先生のところで貰った洋服も数着入っていたけど これは全部箪笥に収納しておこう。

逆に こないだリリウムさん達が作ってくれた新作をマジックバックへ、次の旅の最中にはこれを着るようになるはずだからね。改めて見ても可愛いお洋服たちに気分が上がる。

色変えのリボンと普通のリボンも沢山出てきた。

お父さんが悩みに悩んで買ってくれた色々を思い出して笑ってしまう。私って愛されてるよなって自惚れでなく信じることができる。

エミリンさんとブン先生から頂いたイヤーカフがあるので 色変え魔道具のリボンは使わないでよくなった。茶色に色変えしている上から付けても色は一緒のままなので ただのリボンとして使ってはいるけどね。

小さな袋に入れて≪衣料品コンテナ≫に収納です。


次は……あぁ、魔法のステッキか。

これはどうする? 魔獣のドロップアイテムではなく お母さんの手作りだと分かった訳だが 私は使うことが無いだろう。

うん、これは家に置いておこう。

宝箱は……、メネクセスに行くときに持って行っておきたいけど 急に行くことになるかもしれないし入れとこ。

回復薬はお母さんが作ったものと ダンジョンで手に入れたものが幾つかあるね。

この辺は 魔道具関係って事でいいかな?≪魔道具・素材用コンテナ≫に収納しておこう。


大量の葉っぱは 風魔法の魔力操作訓練をする時の為に 時々ちぎって確保してたやつだね。

これはさすがに不用品なので ゴミ箱へ。屑魔石もその時々に小さな袋に入れてたので 小さな袋が大量にある。

何だろう、子供って収集癖があるよね。ドングリとか 綺麗な石とか。

魔石だから 何かに使えるだろうけど……、まあスパイス用に購入した入れ物に移し替えておこう。

中身が薄っすら見える缶のようなものに 小袋の魔石をザラザラと移し替える。


ゴブリンの魔石とか小さいからね。

今度色とサイズで入れ物を分けてみよう、そうしたら使う時も使いやすそうだからね。


アレコレと確認しながら マジックバック内はどんどん整理されていく。

何でも入るからと 何でもツッコんではいけません。

なんですかね、ただの枝とかが出てきて説明書きを見てみたら≪ヴィオが握りやすく格好良いと思って拾った枝≫とか書いてあるのを見ると 黒歴史を見せつけられた気分になって悶えます。

お父さんはきっと「そうか、格好ええなぁ」とか言ってくれてたんだろう。


採集袋などは 今後も使うことになるから 古くなっているもの以外はそのまま収納、不用品はゴミ箱へ、自宅に置いておいても問題ない物は物置部屋へ。

そんな事をしていたら大きなあくびが一つ出た。


お父さんとは違って 私に体内時計はないので 今の時間が何時かは分からない。

だけど 結構いい時間になっている気がするよ。

酔っぱらって帰ってきてからお風呂は危険だから きっと今夜はクリーン浴にするだろう。

私もそれでいいかな。

お洒落ワンピースから クリーン浴をして寝巻に着替える。

明日はボア狩りに行く日だから冒険者装備セットは枕元に置いておこう。

お父さんはまだ帰ってきてないけど 先に寝てろと言われたし 布団に入っておくか。

明日どんな風に楽しんだのか教えてもらえるかな。ふふっ、楽しみだね。

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