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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第390話 スチーラーズとお祝い?


水の季節の三か月目のある日、ボア狩りから戻った私たちがギルドに入れば懐かしい顔がいた。


「あれ? また来たの?」


「おっ!ヴィオちゃん先生か。帰ってきてたんだな」


そこにいたのは大人三人組のスチーラーズだ。

前回戻ってきた時も不在だったけど、それはダンジョンで鍛え直すためだと聞いていたんだよね。


「風の季節にトラウト漁 再戦したんでしょう?もう旅立ったんだと思ってた」


昨年この村に残ったのは トラウト漁に再度挑戦するためだと言っていた。

それが達成できたのであれば もういなくなっていてもおかしくないと思ってたから いないことを誰にも聞かなかったんだよね。


「ああ、ダンジョンでも大分鍛え直したからいけると思ったんだけどな、レッドトラウトは何とかいけたんだけど、ゴールデントラウトは全く手が立たなかったんだよな~、あはは」


「あらぁ、レッド相手でもかなり大怪我をして帰ってきてましたけど……?」


「まぁ、マーレったら。だから “何とか” だったのよ。怪我をしなければ “余裕だった”って事じゃない」


「あらまぁ、そうよね。だからこの人たち またダンジョン旅に出て武者修行しているのよ~。今年再々戦するんですって」


カウンター業務をしていた羊三姉妹が教えてくれた。

ダンジョンで鍛え直した人たちが それでも大怪我をするって マジでトラウトってどんな魚なのかが気になる。


「来年には 村に残って漁に参加してみるか?」


「いいの?」


そうか、例の奴らも今年中に片が付くだろうことを思えば、いいのか。

ただの破落戸や誘拐犯ならなんとでも出来そうだしね。


「あらぁ、ヴィオは銀ランクになったから トラウト漁に参加することは出来るわ」


「まぁ そうだったわね、村の子供達も銀ランク以上になったら漁に参加できるようになるのよ」


「あらまぁ、じゃあ来年はヴィオが初参加になるのね。とっても美味しいお魚なのよ」


ホワホワした雰囲気の三人は必ずマーレさんから順番に喋るんだけど、打ち合わせをしている訳でもないのに凄いよね。


「ヴィオちゃん先生、銀ランクになったのか?」


「うん、先月戻ってきた時にね」


銀色のタグは時々自分でも眺めてしまう。お父さんのは三つ穴が開いているけど 私のは穴無しだ。


「おぉ!すげえな! その年齢で銀ランクなんてリズモーニでも珍しいんじゃねえの?もうお祝いのパーティーはしたのか?」


パーティー?

ギルマスたちを招待して オークナイトの豚丼祭りをしたけど あれはパーティーと言っていいのだろうか。

金ランクになる時にはお兄ちゃんたちと一緒にお祝いをしようと言ってたけど、今回は特にそんな予定はない。


「ええ~!?やろうぜ お祝いパーティー!

だってすげえことだぞ? 十歳以下で銀ランクでも珍しいけど、まあこの村ではそれなりにいるけどよ、七歳はまずいねえぞ?」


やっていないと告げれば リーダーのディスさんが パーティーをしようと言い出した。

地下訓練場で自主訓練をしていたらしいトニー君たちも上がってきたところだったので 「面白そうだ」と賛成し、レン君たちは「美味しいものが食べれるのか?」と興味津々。

お父さん的にもお祝いをするのは賛成らしくて どうやらパーティーをすることになりそうだ。


「こうなったら 奮発しねえとな。俺たちはヴィオちゃん先生に世話になった訳だし、美味い物を仕入れてきてやるよ」


「ええっ!?わざわざ仕入れに行くの? 別にこの村にも美味しいお肉は沢山あるよ?」


「いやいや、確かに肉はこの村が一番だけど パーティーだぜ?

甘い物とか珍しい物もあった方が良いだろ? 後この村って酒があんまりねえしな。

祝いの日くらい酒を飲んで楽しく行こうぜ!」


私は子供だし お酒は料理に使うくらいだし、お父さんも飲まないから家にお酒は殆どない。

だけど村にはないのだろうか。


「まあそうじゃな、各家で作っておる酒はあるが 種族によって好みの味もあるしなぁ。

うちの村は 色んな種族がおるから 酒を仕入れるのは大変なんじゃろ」


辺境あるあるらしいけど、辺境は住める人たちが住むから人種や種族もバラバラになりやすい。だけど 安全な地域では 同じような気候や風土を好むヒトたちが集まるから同種族であることが多いんだって。

猫獣人だけの村とか、草食系獣人の村なんてのは珍しくないらしい。

リズモーニは 海人族は王都より南にしかいないようだけど、それ以外の種族はドワーフ、エルフ、獣人、ヒト族と混ざり合っている。

皇国はヒト族しかいないようだけど、ドワーフはリズモーニが断トツ多いんだって。もちろん各国に旅して永住した人たちもいるようだけどね。


「そっか、お酒は色んな種類があるんだね。

まだ子供だから飲めないし お酒は興味ないけど、甘い物はいいかも」


記憶にある甘い物と言えば ダンジョン産の果物が一番だね。あとはパンケーキかな。

ケーキやお菓子というのは そんなに食べる機会はない。

多分村から出たことがない子供達は食べたことがないのではないだろうか。


「そうか、そしたらヴィオ 領都まで行って 色々買うてくるか?」


「いや、ヴィオちゃん先生の祝いなのに 本人が買いに行くのは意味ないでしょ!

俺たちが行ってくるよ。最近色んな町に出かけてたから 結構うまい店を見つけて来てんだ」


お父さんが一緒に買いに行くかと誘ってくれたけど、チャラ男に止められた。

確かに私が買いに行くなら そこで美味しい物を食べれば終了だしね。多分チャラ男たちは お祝いをしたいと言いながら お祭りがしたいだけだろうけど、パーティーをすることで子供達も美味しい物を食べられるのであればいいかもしれない。


「だろ? 任せてくれよ。俺たちヴィオちゃん先生には感謝してんだからよ」


「へぇ~、面白いことを計画してるじゃねえか。

だけどヴィオの昇格祝をするのは良いな。俺もお前たちに色々助けてもらってるし 参加するぜ!

この村じゃ祭りはあんましねえし子供も喜ぶんじゃねえか?

お前らに任せんのはちょっと心配だけど、森に肉を取りに行くわけじゃねえしな。

折角の好意だから俺のマジックバックを貸してやるよ。時間停止もあるし 容量もそれなりにあるぞ」


「おぉ!あんたは防具職人だったよな?時間停止のマジックバックは助かるぜ!

っし、んじゃ帰って来たばっかりだけど 行ってくるわ」


私たちが帰ってくる=ボアの皮が大量に届く という事でアランさんが皮を取りに来たんだろう。

話を聞いたアランさんが 乗り気になってマジックバックをリーダーに貸し出してあげている。あの鞄はお父さんが貸してもらっていたやつだ。


スチーラーズの三人は 挨拶もそこそこに 鞄を受け取ったらすぐにギルドを出て行った。

まあ肉とか回復薬とかはこれから購入するんだろうけど 忙しい人たちだね。


「なんかせわしない人達だったね」


「そうじゃな。じゃが 昇進祝はしておらんかったからなぁ。それを皆で出来るのは嬉しいな」


「やった!美味い飯!甘いもの、超楽しみだぜ」


「村のお祭りだったら クッキーも参加できるかな」


「ララは流石に留守番だな。まだミルク以外飲めねえし……」


「あらぁ、村のお祭りにするなら 村長さんとも計画しないとね」


「まあ、まずはギルマスとサブマスに報告ね」


「あらまぁ、楽しくなりそうだわ」


ギルドの受付前は何だか皆がウキウキソワソワしているけど、私も楽しみです。

昇進祝というのは お祭りの建前になりそうだけど、まあそんな事はどうでもいい。皆と楽しくお祭りが出来るなら十分だもの。


うっかりそのまま帰りそうになったけど、ヒュージボアの皮とお肉をしっかり納品して ポイントとお金も頂きましたよ。


ところで あの三人組はどこの町まで買い物に行くんだろうね。戻ってくる日程とか聞いてなかったけど、その辺はどうするんだろうか。

まあ 土魔法に木魔法が得意な人たちがこれだけいる町だもの。きっと当日でもなんとでも出来るんだろう。

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