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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第384話 銀ランク昇格手続き


「ただいま戻りました~」


ギルドの扉をお父さんに開けてもらえば 大きな声でご挨拶。

15時頃という中途半端な時間だから ギルドの中は閑散としていた。


「あらぁ、ヴィオだわ。アルクさんも おかえりなさい」


「まぁ、本当ね、今回は随分長かったのね、おかえりなさい」


「あらまぁ、ヴィオったら しばらく見ない間に随分大きくなったのね。おかえりなさい」


カウンターから顔を出したのは マミムの羊お姉さんたち。そっか、ギルド職員になったんだよね?

裏方業務からはじめたと聞いていたけど もうカウンター業務をするようになったの?


「マーレさん、討伐報告お願いします」


「あ、俺も俺も」


三人はカウンターに獲物を並べて討伐報告をするようだ。

私たちは とりあえず帰宅の連絡と 手紙の確認だね。


「あらぁ、ヴィオたちが戻ってきたら タキ主任が 手続きをするって言ってたわ。呼んでくるから 会議室で待っててくれるかしらぁ」


マーレさんからそう言われたので 二階に上がる。

そういえばこのギルドでは 番号札とか無いよね。大きなギルドでは当たり前に渡された番号札だったけど、使う人も滅多にいないからか ここでその札をもらったことはなかったことに今更気付いた。


会議室に入って直ぐ、バタバタと階段を駆け下りてくる音が聞こえたと思えば 会議室の扉が開いた。

その瞬間お父さんに抱え上げられて何事かと思ったけど、サブマスさんが 両手を伸ばしていた事で察しましたよ。


「サブマスさん、ギルマスさん、タキさんも、ただいま戻りました」


「おう、今回は長かったな。上級ダンジョン踏破おめでとうさん。

色々お前らには伝えとくこともあるからな、まずはゆっくり座れ。アスラン、お前も落ち着け」


クスクス笑うタキさんと 呆れた顔を隠さないギルマスさん。

抱っこ出来なくてしょんぼりしているサブマスさん。ふふっ、この三人の顔を見れば 帰って来たんだなって実感するよね。


「じゃあ まずはランクアップの手続きからさせてもらおうかな」


タキさんがそう言ったところで マミムのお姉さんたちが見慣れた機械と はじめて見る機械を持って入ってきた。


「あらぁ、ヴィオのランクアップだったのね」


「まぁ、嬉しいわ」


「あらまぁ、ヴィオ わたしたち 今回が初めての手続きなの、よろしくね」


おお、それはこちらこそ光栄ですよ。


「まずはこっちの魔道具に ギルドカードを置いて 起動させれば カードの持ち主の記録が見れるからね」


タキさんが カードと機械……じゃなくて魔道具を触りながら三姉妹に教えている。

普通は一対一

珍しい手続きの様子を眺めていたら お父さんがギルマスと何やら話している。


「三姉妹が受付に入れるようになるなら随分人数に余裕が出来るようになるな。

ナチも来年には受付させるようになるんか?」


「いや、ナチは 十二歳まで冒険者で経験を積ませるらしい。本人が希望すれば成人まででも良いかもしれねえけどな。

今はルンとトニーと三人でパーティー組んで動いてるぞ」


「ああ、あれはパーティーでの活動じゃったんか。面倒見がいい二人じゃからかと思っとったぞ」


ナチ君も十歳からギルドで働くかと思ったけど あと二年半猶予があるなら 銀ランクの中級くらいにはなってそうだよね。そういえばハチ君たちも洗礼式を終えた筈だよね?という事は 冒険者登録したのかな?


「あら、ヴィオったら こんなに沢山ダンジョンに行ってるのね」


「まぁ!護衛依頼もしているし、初級ダンジョンの単独踏破は二回もあるわ。タキ主任、初級ダンジョンは ダンジョンの指定はなかったですよね?」


「ああ、初級だったら 大小関係ないよ。中級踏破も銀ランクはパーティーで良いから 特に制限は無し。へぇ、ルエメイか、あそこは初級にしては大変なダンジョンだけど二回目だしね、流石だよ」


「あらまぁ、中級だけじゃなくて上級のダンジョンも踏破してますわ。依頼ポイントもかなり多めにクリアしてますし 問題ないですね」


どんな風に情報が見えているんだろうね。

四人は 少し大きめの魔道具を前に ワイワイと盛り上がっているんだけど、あれに色んな情報が記載されているって事なのかな? その辺はハイテクだよね。


「全ての条件を満たしていると確認が出来たら この用紙に必要事項を記載して、タグとカードを この魔道具にセットしてね」


「「「はい」」」


真剣な三姉妹がタキさんの指導を受けながら 手続きをしてくれている。

魔道具に魔力を流して しばらく待てば 出来上がったらしく、最初に手続きをしたときと同じように 紙は無くなり 銅板っぽかったギルドタグは銀板に変わっていた。

ギルドカードは特殊な板だそうなので パッと見は変わってないけど 返されたカードには 表記内容が変更されていた。

裏にもダンジョン記録が並んでいるので いくつかを選択して見えない様にしておく。


「ヴィオちゃん 銀ランク昇格おめでとう。サマニア村で最年少銀ランク白級冒険者だね」


タキさんからおめでとうを言われた後、三姉妹、ギルマス、サブマス、お父さんにもおめでとうと言ってもらえた。


「ふふっ、嬉しい。ありがとう。

次の目標は金ランクだね」


「ははっ、普通は銀ランクの初級になりたいっていうんだけど ヴィオちゃんらしいね」


あ、そうだよね。白級、初級、中級、上級があって やっと金ランクに挑戦だもんね。まずは初級を目指して頑張ります!



「じゃあ 銀ランク冒険者への注意事項は三人からね。

ヴィオちゃんは聞いたことがあるかもしれないけど 一緒に確認してね」


もちろんですよ。

三姉妹は順番に 銀ランク冒険者になった時に告げておくべき注意事項を教えてくれる。

ダンジョンでのマナーに関しては 銅ランクになる時点で教えてもらうんだけど、それを守っていない冒険者は多かったよね。

ここまで丁寧にやってくれていないのか、それとも本人に聞く気がなくて 忘れてしまったのか。


銀ランクになれば 国境を越えることが出来るようになる。

それまでも可能と言えば可能だけど、商人などのパスがない限り かなり高額な入国料金が徴収されるので 普通は移動しない。

銀ランク以上になれば かなりお安く移動することが出来るのだ。ちなみにお兄ちゃんたちが乗った船は 船賃にその料金も含まれているそうです。


「銀ランクの白級から初級になるには 護衛依頼を一回以上、依頼ポイントは四百ポイントが必要よ。そのうち魔獣討伐は五十件以上あることが必須になるの」


銅から銀になるのは依頼ポイントが二百だった事を思えば 単純に倍は稼ぐ必要があるんだね。しかも魔獣討伐が五十件必須という事は 確実に戦える実力が必要という事だ。


「初級から中級になるには 護衛依頼が二回以上、依頼ポイントは六百ポイントよ。魔獣討伐は同じく五十件以上ね」


採集依頼などだけでは銀ランクで上がっていけないという事だね。

というか それだけポイントを稼ぐ必要があるのに スチーラーズの三人が弱かったのは何故なんだろうか。

ああ、そっか。“魔獣討伐” と書いてあるだけで 魔獣の指定がないなら ゴブリンだけでもOKという事だね。

それで上級とかになった方が怖いと思うけど、まあだから今鍛え直しているのか。


「中級から上級になるには 護衛依頼を三回以上、依頼ポイントは八百ポイントね。魔獣討伐が五十件以上なのは一緒よ。

銀ランクの上級から 金ランクになるには 指定された中級ダンジョンの単独踏破と、上級ダンジョン踏破、指定魔獣の討伐ね。

この上級ダンジョン踏破と指定魔獣の討伐はパーティーでも大丈夫よ」


上級になった時に 詳しいことは教えてもらえるらしいけど、お兄ちゃんたちは この指定中級ダンジョンに挑戦するために メネクセス王国で頑張っている筈だ。

一応 ダンジョンでのマナーなども再度教えられて 銀ランク昇格手続きは終了した。


「うん、三人とも ヴィオちゃんの手続きがいいタイミングで入ってくれてよかったね。

昇給手続きは完璧だし、説明も丁寧で良かったよ。

これで 受付試験は終了だね。おめでとう」


「あらぁ、嬉しいわ」


「まぁ、ヴィオ ありがとう」


「あらまぁ、合格なのね、嬉しいわ」


「マーレさん、ミーレさん、ムーレさん、おめでとう!」


まさかの受付試験だったとは驚きですよ。

だけど 直接おめでとうが言える機会を頂けて私も嬉しい。

三姉妹は手を取り合ってウフフと喜び合っている。

うんうん、このおっとりしながらもテキパキしてくれる感じ、ギルド受付にはぴったりだと思いますよ。

羊三姉妹はギルドの癒しです( *´艸`)

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