第382話 ルエメイ 2度目の踏破
一階で野営をした翌日、以前は 毎回練習の為に【索敵】をしていたけど マップ情報は外と同じく残っていたので 新たに【索敵】はしていない。
ただ、マップ情報が残っているだけで 魔獣の情報はないんだよね。
どういうことかというと 【索敵】をして見える地図は 位置情報ありの現在地マップな訳だ。カーナビや スマホの道順案内みたいなものだね。
そして 今見えている地図情報は 以前マッピングしたものを見ているだけなので 紙の上の地図を見ているのと同じ感じと言えば分かるだろうか。
この洞窟エリアでは 正面か左右の通路から出てくるくらいだし、相手も足音を消せるような高位魔獣ではないので 【索敵】無しでも十分対応が出来る。
多分森に行けば 【索敵】をしておいた方が安全だけどね。
そして寄り道せずに 真っすぐ下りてきたお陰で お昼を少し過ぎたくらいで五階に到着した。
「今日の野営は六階でいいかな」
「そうじゃな、流石に七階まで行くには時間が短いから 今日は六階でええじゃろ」
という事で 簡単に昼食を頂いて六階へ。
採集を楽しめるのは七階からだからね。
他の豊作ダンジョンに行ってから思うのは、このダンジョン 後半に出てくる相手も食べれないやつが多すぎるって事。
ゴブリンにウルフにオークだもん。
オークもナイトが出てくれたら美味しいお肉なんだけど、残念ながらノーマルオークである。
ホーンラビットとイエロースネークくらいしか 食べられる肉を落とさないのだ。
だけど 前回と違うのは 蛇と兎の肉しかなくても 美味しく食べられる調味料が増えたって事。
野菜系も然程採集は出来ないけど その分果物は沢山ある。
蜘蛛の糸も見つけ次第狩りまくっているので ルエメイで販売しても リリウムさんに持ち帰ることは十分できる。
一日一フロアをゆっくり満遍なく討伐採集しながら進み、六日目にボス戦を行った。
ここのボスは オーク&ゴブリンセットなので お父さんと相談した結果 ソロ討伐をすることになったよ。
お父さんとは十階フロアに下りず 階段で別れる。
前回はオーク一匹とゴブリンが五匹くらいだったと記憶しているけど、一人で入ったからだろうか、オーク一匹にゴブリンが二匹という 非常に少数で登場されました。
果樹の下にいたほうが人数多い問題。
まあソロだしね、初級ダンジョンだもの、危険性を考慮してこうしてくれているんでしょう。
という事で開幕直ぐに【フレイムバレット】でサヨナラです。
前回は 手抜きボス部屋にイラついて やりましたけど、今回は ちゃんとわかった上でやってますからね。
またかよ、なんて気持ちでやった訳じゃないですよ。
誰に言い訳してんだって話だけど まあいい。
ひな壇の上に出てきた宝箱を開ければ 懐かしい謎肉が入ってますよ。
鑑定眼鏡で確認すれば 『オークナイトの肉』だそうです。
なんと!
ここにはオークしかいないのに その上位種の肉が貰えるなんて これは非常にラッキーではないですか?
そりゃ高値で売れるわな。
というか 銀貨二枚で前回は売ったけど 安かったんじゃないかい?
まあ辺境価格って事かもしれないね。
もちろん今回は売りませんよ。謎肉ではなく オークナイトの肉だもの。
「終わった~」
「おお、問題なかったようじゃな」
扉が開いて外に出れば お父さんはすぐそばで待っていてくれたらしい。
ふふっ、心配していないなんて言ってたけど こうして待っていてくれるのは嬉しいものですよ。
「お父さん、謎肉を鑑定したら オークナイトの肉だったんだよ。凄いラッキーだよね」
「おお、そうなんか。そりゃ美味いはずじゃな」
「だから今夜は オークナイトの肉で 豚丼にしよう!」
「おぉ!あれか‼ええな」
甘いたれをたっぷり絡ませた 北海道豚丼、ここに北海道はないし 豚でもないけど 気持ちはあれを再現しておりますよ。
大好きな豚丼を オークナイトの肉で作ると聞いて ウキウキしているお父さんが可愛い。
九階はまだリポップしていないので 素通りして八階へ戻りましょう。
早めに野営地に入ったら テントとお風呂を準備してくれるお父さん。
素早すぎる行動に 思わず笑みがこぼれる。
私はお米を炊飯魔道具にセットして お肉の準備だ。
シロネギを白髪ねぎにして、水にさらして置いておく。
タレは 醤油、お酒、ハッチのハチミツを混ぜておく。みりんが欲しいけど まあなくても美味しいから良いとしよう。
少し厚切りにしたオークナイトのお肉を焼き始めれば たちまちいい匂いが漂い始める。
お米は五合分炊いたけど 足りるかな……。
ちょっと心配になりつつも たっぷりのお肉を焼いていく。
焼けたお肉は一旦お皿に避けておいて 美味しい油が残っているところにリーガの欠片を入れて 香りづけ。
ヤバイ、涎が出てきそうなんだけど。
焦げないうちに リーガは取り出して 調味液を入れる。
ハチミツ多めにしているから 少しトロミのある調味液は グツグツし始めると とろみが更に増してくる。
ヤバイヤバイ、めっちゃお腹が鳴ってきた。
グツグツしてきたタレに さっきのお肉をドボン。
しっかり絡めて お肉が茶色くテカテカに。
こんなに素敵なテカリ茶色が似合うのは 豚丼のお肉と ボディビルダーだけだと思う。いや、松崎○げるさんもこんな色だったな。
「お父さん出来た!」
「おお、スープも丁度できたぞ」
二人だけなのでね、テーブルの上に炊飯器と フライパンを置いちゃいますよ。
相変わらず横並びで食事をするのは もう癖だよね。
お父さんの丼は ヘルメットくらいの大きさで 笑っちゃうくらいデカい。
私の丼は 大人のお茶碗ぐらいかな。けど 今日は二杯くらい食べれそうな気がするよ。
二人だけだから今日の夕食は豚丼とスープだけ。
皆と一緒の時は 肉とパンやコメの消費量が激しすぎるから 副菜も沢山作ってたけど、二人だけだと おかず二品とかになっちゃうよね。
それでもお父さんは嬉しそうに ご飯をよそって お肉を乗せて 白髪ねぎをバサッと乗せている。
足りなければ自分で作ればいいし そもそも干し肉だけで過ごす人が多いのに 温かい料理が食べられるだけで贅沢だという事です。
「うんんん~~~~! 美味しい~~~‼」
「おお、久しぶりに食べたがやっぱり美味いなぁ。
ヴィオ ありがとうな」
ワシワシと頭を撫でられて そういえばボスドロップだからかと思い出す。
美味しいものは 一緒に食べた方が より美味しいからね。この豚丼は ギルマスとサブマスにも食べさせてあげたいね。
「ははっ、これを食ったら 確実にサブマスがパーティーメンバーになるじゃろうな。
けど そろそろタキに引継ぎは終わる頃かもしれんな。
これは本格的にギルマス会議が終わったら サブマスがメンバーになることを考えた方がええかもしれんぞ」
マジで?
確かに 最初にそう言い始めた時から タキさんへの引継ぎは始めているって言ってたもんね。
パーティーに参加するってのは冗談だと思ってたけど、本当に一緒に活動できるなら凄く楽しそうだ。
「次にお出かけするときは 魔法陣セットも持ち歩かないとだね。
結構お宿で時間もあったし、色々実験できそうだったもん」
「まあそうじゃな。儂もマジックバックを持てるようになったから ヴィオの鞄に余裕もできたじゃろうし ええと思うぞ」
豚丼は 結局一杯と半分で満腹になったけど、残りはお父さんがペロリと平らげてくれました。
お肉はまだ二キロほど残っているので これは村に帰ってから二人に豚丼を振舞おうと思います。
ダンジョンを踏破し 村に戻ったのは八日目の事。
ギルドでは直ぐに会議室へ案内され、最初から結構な人数で対応してくれたので 直ぐに手続きは終了した。
お姉さんたちが言ってたように 前回の大量持ち帰りと同じことが起きると発表していた事で 近所の村からも 商人が来ていたというから驚いたよね。
踏破記録はサマニア村に戻ってからで良いというのは前回も同じだったので すんなり通った。
三回目、もし来るとしたら先生たちと一緒に来るかな。
その時は 下まで行くかな?
でも先生なら 五階の湖は見てみたいと言いそうだ。
また来るねと挨拶をして ルエメイの村を後にした。




