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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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〈閑話〉??????


雇った破落戸共だけでは 銀ランクが増えたことで怖気づき 逃走する可能性があると思い、メネクセスから連れてきた奴らに監視役を命令した。


「あなた達が陛下の妻と愛娘を見捨てて逃げた事を陛下に告げても良いのよ?」


「なっ、そんな、あれは 俺たちの依頼じゃなかった」


「そうね、あなた達への依頼は ピンク髪の親子を探す事だったものね?

あなた達があちこちのギルドで声高に聞きまわってくれたおかげで 余計に隠れるように逃げ回るはめになったみたいだけど。

それに それが無ければ リズモーニで安全に過ごせてたでしょうね。

あの皇国にさえ行かなければ 聖属性を隠す必要もなく、もっと安全に子育てができたでしょうに……」


「それはっ!」


「ええ、ええ知っているわ。宰相からの依頼がそうだったんですものね?

だけどどうして依頼主に 詳細を聞いてから動かなかったのかしら。

普段あまりない高額な依頼料金に飛びついてしまったんでしょう?

結局 出張経費を差し引けば 手元に残った額はわずか。借金奴隷待ったなしだったところを救って差し上げたのは誰だか分かっている?」


「……俺たちに何をさせたい」


あの女の襲撃以降、遺髪を持って逃げた冒険者を泳がせておいた事は良かった。

ガキの誘拐、いえ 上納することに許可が出るまでに時間がかかった理由は こいつらを見つけるためだった。

元々素行の良くなかったこいつらは 稼いだ金をその日に使い切るような生活を繰り返し、借金が膨らんでいた。面倒な組織から借りた金の返金時期が迫った時に 宰相が出した依頼を見つけて食いついた。

一先ず手付金で借金の元金の半分以上を返済したらしいけど、依頼達成までにかかった時間は予想を超えるもの。

戻った時には利子が膨らみ あり得ない額になっていた。


王都にいたら借金奴隷に落とされると 逃げ出していたこいつらは 裏の仕事に使いやすい。

侯爵閣下は 宰相との繋がりもあるこいつらを 子飼にすべく 借金を肩代わり……ではなく、その組織の一部を消し、吸収したらしい。


メリテントの町から報告書を送った時に こいつらをリズモーニに向かわせていると聞き 今回の監視役を思いついた。

類は友を呼ぶ、丁度良さそうな奴らをスカウトしながら王都に向かうように指示を出されていたこいつらは 王都でも良い感じの使い捨てられる奴らを捕まえてきた。


「陛下の愛娘を 陛下の元へお届けするのよ。あんたたちがスカウトしてきた奴らは実行役ね。

娘の周りには上級の冒険者が沢山いるわ。

そいつらを掻い潜って攫うのは大変だと思うの。

だからあなた達にしてもらいたいことは2つ。

まずは同行している冒険者のレベルの確認、それから 実行役が逃げないかの監視ね」


「あんたたちが直接ダンジョンに行けば早いんじゃないのか?」


「残念、私たち冒険者ギルドの登録が出来ないのよね。ダンジョンに入るには 冒険者のランクも関係あるって言われたから諦めたのよね」


入れるならさっさと入って 迎え撃つ準備だってするけど、無駄に目立つわけにもいかないものね。


「わかった、じゃあ とりあえずは 2階層までの奴らの動きを確認し 報告しに戻る。

このダンジョンは上級だけあってかなり広い、3階より下に行かれたら 追いつくのはかなり難しいからな。一度報告に来た後は 結果報告になるはずだ」


「なんでそんなに時間がかかるんだ? さっさとやればいいじゃないか」


マックスの質問に 冒険者たちが苦笑いで答える。


「ダンジョンの中は昼夜がないことが多い。ここは11階層から森になるし 夜があるから やるとしたら11階だ。

大体 10階のボス部屋までは 同じ距離を戻る必要がある。

それだけ強い冒険者を殺すのは無理だろう、たとえ無力化できたとしても長い時間は無理だ。だとしたら追いつかれるだろう?

10階層のボス部屋に入れば 1階層までの転移陣がある。

ボス部屋に入れば 他の奴らは途中から入る事も出来ねえしな。それが一番安全に早く連れてこれるって事だ」


ダンジョンってそんな風になっているのね。

夜がないなんて意味が分からないわ。

だけど中の事は慣れているこいつらに任せた方が良さそうだという事で、まずは2階層までの報告を待つことにした。



◆◇◆◇◆◇



ダンジョンに入った翌日、奴らが戻ってきて報告を受けた。

陛下の娘も冒険者としての活動に慣れているらしく かなり歩くペースが速いとの事。

冒険者たちのレベルはかなり高く、魔獣が現れたら即座に討伐をしている事から気配察知などの能力も優れているだろうとの事。

後は 町での尾行や監視に気付いていたらしく、かなり警戒しているから 近づくのは難しいとの事。


「料理が上手ってのはどういう意味だったんすかね」


「ダンジョンというのは過酷な場所だと聞いたことがあるが、子連れで料理を作れるほどの余裕があるという事か?」


報告を終えて冒険者が居なくなった後に残された私たちには 疑問だけが残ってしまった。


「まあ 今回無理だったとしても 村に戻れば気も抜けるでしょう?

そっちでの下準備も必要だし、さてどうしようかしら」


「であれば お前たちで先に村に行けばいいのではないか?

俺はあいつらが戻ってくるのを待っている。

もし〔土竜の盾〕と話が出来るのであれば 娘の交渉をしてもいいだろう?それでうまくいけば 戦う必要もないな」


「それなら私も残るわよ?」


「いや、ジェーンは 母親が生きていたと見せかける必要があるだろ? マックスと夫婦役で噂を撒くにも二人は ゲドゥとの合流をした方がいいだろう」


ちっ、ハンスに他意があるとは思えないけど、もし〔土竜の盾〕との話し合いが上手くいけば 私たちの下工作は無駄になり、ハンスが功労者としての栄誉をもらうことになる。

だけど今のハンスの言葉には一理あるから反論が出来ないわね。仕方がないか。


「わかったわ。じゃあ こっちのことはハンスに任せるわね。

私はしばらくマックスと夫婦役か……」


「てことは俺 陛下の役ってこと?」


「冒険者の役って事よ。あくまでも行方不明になった娘を探す冒険者夫妻、特徴は陛下とその妻に似ているけど 本人と言えば バレた時に拙いんだから 分かってるわね」


「ちぇ~っ!まあ陛下役とか分かんねえし 冒険者の方が気楽だな」


はぁ~、先が思いやられるわね。


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