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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第351話 ウミユ その18


トンガお兄ちゃんたちが戻ってきてくれたおかげで 採集のスピードが上がった。

とりあえずあいつらが11階で襲撃をするつもりだというのが確定したので、高原エリアでマッタリする必要がなくなったともいう。


この日は7階に近いセフティーゾーンまで進み野営、この広い高原エリアだけど 1日1階層を踏破するペースで動くことにした。

上の階で抜かされたはずの冒険者は2組いたけど、そのうちの一組は6階層で、もう一組は7階層で追い抜いた。


休憩時間が終わる頃に奴らの盗聴をするんだけど、ほとんど会話は無くなってます。

【サイレント】を使って喋っている可能性も否定できないけど、ゼエゼエ ハアハアと言う声は聞こえているので、多分疲れているだけだと思います。

一応夜の間には追い付けるように、必ず各階の5つ目か6つ目のセフティーゾーンで夜営をするようにはしているので、朝起きた時には 10人揃っているから追いつけているみたい。


私たちは右、中、左のチームに分かれて 採集&討伐もしているし、お肉の相手は確実に倒しているので、24時間以内に追いつけるのであれば 魔獣に関しては足元だけ注意していれば大丈夫な筈。


そしてウミユダンジョンに入って7日目の午後、9階のセフティーゾーンに到着した。


「今夜は夕食以外に 4人分のお弁当を作るからね、夕食は皆にお任せして良いですか?」


「「「勿論‼」」」


この1週間、ほぼ毎日 昼と夜の食事を作る練習をしていた土竜の人たち、元々器用な人だったんだろう、かなりお料理の腕は上達して来ています。

まあ 銀の上級になれる人が不器用って事はないのかもしれないね。


フリーズドライのスープについては内緒のままなので、3つのお鍋に 3種類のスープを作ることにした。

ウミユに戻った時点で 大鍋、フライパンなどの調理用具も買ってくると言ってくれたので、皆のお皿とスープ用の深皿も買ってきてほしいとお願いした。


「ああ、ヴィオ 深皿じゃったら11階に行けば作れるからいらんじゃろう」


お願いしたところでお父さんからそう言われ、そういえば11階からは森だから素材は沢山あることに気付いた。

私のスープ皿も ワンプレートのお皿も お父さんのお手製だからね。という事で お鍋類だけで良さそうだね。


夕食用とお弁当用の調理をしているから 今日は火台が大量です。

テーブルの上では 野菜を刻む音、肉に下味をつける為に揉み込む音、パンをこねて 叩く音など、色んな音が混ざり合う。

火台にはお湯を沸かしている鍋、これからスープを作る鍋など、大量の鍋が並ぶ。

学校やレストランの調理場にも見える状況に笑いそうになる。


「お父さん、ダンジョンでのお料理が当り前になったら この光景も当たり前になるのかな」


「ははっ、まあここまで豪快にやる奴らは少ないじゃろうけどな。

火台にテーブル、全部魔力を使うじゃろう?

儂らは魔力操作を毎日しておるし、これくらいの物を作るのに消費する魔力が少なくなっておるからええが、普通の冒険者はそもそもの魔力も少ないし 攻撃や身体強化以外に使おうとは思わんと思うぞ」


そういえば そんな事も聞いた覚えがあったような なかったような……。

けど 使わないと魔力が増えることもないし、使えば使うほど消費魔力は減るようになるんだから、野営地ではどんどん使うべきだよね。

後はご飯を食べて寝るだけなんだし、そしたら魔力だって回復するのにね。


「まあな、けど 普通の冒険者は そもそも飯が行動食や保存食だろ?

あれは然程魔力の回復を助けてはくれねえ。俺たちはちゃんとした料理を食うようになって、休憩明けの魔力回復具合に驚いたもんだぞ。

これを知れば 多少荷物になっても料理しようって思う奴らは増えるだろうな」


「それに 明日の夜みたいに誰かが襲ってくるなんてこともあるでしょう?

基本的にダンジョンで気を抜くことは出来ないから、気配察知や身体強化は常にしている状態ね。

だから 魔力は少しずつ減ってるようなものなの。

それもあるから 野営地だからと言って 必要と思わない事に魔力は使わない人の方が多いわね」


だからこそベテランの冒険者は 勝手に魔力が増えているんだって。

私みたいに使い果たして寝落ちして、ガッツリ回復してなんてことは 普通はしないようだ。

けどお兄ちゃんたちも 魔法を覚えるようになってからはそうしてたよね? 最後の見張り番の時は 魔力切れになりそうになるなんて無茶もしてたし。

今は水生成魔法の 魔力抜かない水を回復薬のかわりに飲んでるから そんな事はないようだけど。


土竜の人たちの説明を聞いて 思わずお兄ちゃんたちを見つめる。

スス~っと視線を逸らされたけど、お兄ちゃんたちも自覚はあったんだね。

最初はテーブルも驚いてたし、火台だって小さなお鍋でお湯を沸かせる程度の物しか作ってなかったもんね。

それが今や ダイニングテーブルに、どこのキャンプ場だよと思うくらいに並んだスープ鍋、今回の豊作ダンジョン用に新調した中華鍋風のフライパンを2つ置けるだけの火台。

これらを野営地に到着した途端 作っちゃうんだもんね。うんうん、やっぱりサマニア品質なんだね。



夕食は土竜の人たちがメインで作り、チェックするのはクルトさん。

私たちは明日以降、念のため7日分のお弁当を4人分。多分1日に2階層くらい突破してくるだろうから 今回より早いとは思うけど、ここまで7日かかってるからね。


朝と昼用にピタパンサンド、これは一人2つずつの計算で作ってる。

ダンジョンだと沢山作ってるから いっぱい食べてるけど、元々は行動食で動けていただけあって 2つあれば十分とのこと。

何故その人たちが あれば5個も6個も食べられるのかが不思議でしょうがない。


夜用には 煮物、ナムル、和え物、サラダなどの野菜類と、から揚げ、照り焼き、みそ焼き、フライ、煮つけなど、肉類のメインを7種類ずつ。

毎日少しずつ 混ぜても、1種類ずつを選んでも良いように大皿に纏めて入れている。

11階に行ったら 大皿も増やしてもらわないとだね。


色んな種類を作っているから 暴力的な良い匂いが充満していて あちこちで空腹を知らせる音が鳴り響いている。

この階で近くに人がいたら 発狂するんじゃないかな。

一応索敵範囲には 追いかけてきている筈の破落戸もまだ追いついてないくらいだから大丈夫だと思うけどね。

さあ、明日のボス戦に備えて しっかりご飯を食べるぞ!


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