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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第338話ウミユ その5


テントの準備が終わったころに やっと6人が復活しました。

ドゥーア先生もそうだったけど、魔法を使っていた期間が長いほど 衝撃が大きいみたいです。


「うおっ!テントいつの間に‼俺たちも設置するか」


起動したテリューさんにより テントの準備が始められたんだけど、6人組だけあって大きなテントをトンテンカンテンしながら 設置してます。

私たちと お兄ちゃんたちのテントは 前から見れば四角、横から見れば三角な感じの ザ・テントって感じのだけど、テリューさんたちのテントは 洞窟みたいな形だった。


「大きいね」


「いつも全員が一緒に寝る訳じゃないけど、街道の移動中なんかで 大雨とかになって移動が出来ない時とかは テントで数日過ごすことになるでしょう?

その時に狭いと辛いから 広いのにしたの」


シエナさんがそんな風に教えてくれたんだけど、そういえば今までそんな激しい天候不良に見舞われたことはないね。


「天気が荒れやすい時期も ダンジョンに居ったら分からんからなぁ」


どうやらリズモーニでは風の季節に大雨が降りやすいらしい。川が増水することで トラウトたちが遡上してくるんだって。


「だったらトラウト漁をする人達は凄く大変だね。川の水とトラウトの両方に気を付けないと駄目なんでしょ?」


「そうじゃな、だからこそ 高級魚の扱いになるんじゃ」


成る程、村人たちは晴れた日に こぞって釣り上げに行くらしいけど、その時期だけに訪れる冒険者たちは多少の雨ならものともせずに川に突撃するんだって。

毎年溺れて流される人もいるらしいけど、その人たちが助かったのかどうかは教えてもらえなかった。


「さて、夕食準備と魔法の話、どっちを先にする?」


テントを張り終えた男性陣が戻ってきたところで トンガお兄ちゃんからの提案。

まだ夕食を食べるには早い時間だけど、レシピを教えながらであれば 遅くはない。作り終えてもマジックバックに入れておけば 熱々で食べられるしね。


「ちょっと待ってくれるか?

オトマン一回結界停止してくれ、ネリア、レス あっちの様子確認してくれるか?」


「「「了解」」」


私もマッピング上の魔力を確認すれば 8人中の5人は固まって4つ目のセフティーゾーンに到着したみたい。2人ほどが私たちの場所との中間地点から戻って行ってるから 彼らが斥候役なのかもしれないね。

後4人は まだ3つ目と4つ目の間くらいをかなりゆっくりな速度で歩いている。

5:3:3のパーティーと予想してたのに この4人はどういう組み合わせで4人になったのだろうか。


「セフティーゾーンにいる奴らは それなりに慣れた冒険者みたいね、野営準備を始めてるわ。

戻った斥候役の二人が 今日中に行かないのかって言ってる」


「そのさらに後ろの……4人だな、こいつらは もう帰ろうって言ってる奴と 依頼放棄したら自分らが殺されるって言ってるな。依頼者に会ってるのか?」


「慣れてる方が 高原では手を出さないって言ってるわ。まあ誰がいつ通ってもおかしくない場所だしね。ああ、しぶしぶながら了承したみたい」


「後ろの4人は 多分斥候役の一人が入ってるんだな。そいつが…いいぞ、聞きだせ。

…………は?どういうことだ?」


ネリアさんが 手前の冒険者を、レスさんが後ろの遅れている方を盗聴してくれているみたいだね。

5人組は意外と冷静に動いているみたいだね、逆にそうできる人が こんな依頼を受けるんだと思うと プロなのかな?って思っちゃうよね。

後ろの遅れてる3人組は体力も無ければ ホントにただの破落戸なんだろうね。

この人たちが酒場でボロってた人たちなのかな?


「レス、どうした?」


「俺たちが合流するなんて予定になかったと、これじゃあ 依頼を受けた時と状況が違い過ぎるから断っても良いはずだ、だとよ」


「という事は 儂とトンガたちが一緒なのは敵さんも分かっておったという事じゃな?

じゃがこの町に来た時には既に監視されておったことを思えば 儂らがこの町に来ることを知っておったという事か?」


「でも この町に来るって決めたのは アンヤの後でしょ?

元々王都方面に行くってだけで 目的地も決めてなかったし、ゲルシイの関係者だとしても あの時にはまだウミユの事は知らなかったから違うよね」


常に【索敵】をしているとはいえ 明らかに怪しい動きをしている人以外はマーキングしてないし 気付かなかったのかもしれないよね。

結局 依頼者の事は今考えても仕方がないという事になり、後ろの3人組は出来れば生け捕りにして聞き出そうという事になりました。



という事で、ここからは夕食の準備です。

トンガお兄ちゃんが 鉄板を置けるテーブルにしてくれたので 肉炒めなんかは鉄板テーブルでやってもらうとして レシピはどうしようかな。


「お鍋とか油とか調味料がそれなりに必要な料理と、そうじゃないのだったらどっちが覚えたい?」


揚げ物だと 専用の鍋を持っておく方がいい。

私たちは使用後の油を【クリーン】で綺麗にして そのままマジックバックに収納しているけど、そうじゃなくても揚げ物鍋とフライパンは別にある方が良い。


「え、えぇ、どうしよう。ねえどうする?」


「まずは 手順が少なくて 使うものも少ない方がいいんじゃないのか? 俺たちが作れるようになるかも問題だし」


レスさん、そんなに壊滅的な感じなんですか?

という事で まずは簡単な肉野菜炒めと、茹でて和えるだけのナムルを教えることにしましたよ。

野菜炒めをレスさんが、ナムルをシエナさんが覚えることにしたようです。

誰もノートなんて持ち歩いてなかったので 1冊ずつ渡したら ノート代を少し多めにくれました。

在庫が大分減ってきたから 首都に戻ったら買わないとね。


「肉を焼いてから 野菜を入れるのか?一緒じゃ駄目なのか?」


「肉に火が通らんで生焼けになってもええならな」


「茹でるのはどれくらい?色が変わるの? 触ればいい?」


お父さんが肉野菜炒め、私がナムル用の野菜を茹でてるんだけど、質問内容がマジで料理初心者すぎて笑う。茹でてる最中の野菜を触れば熱すぎますよ。

茹ですぎて柔らかくなり過ぎても、時間が短くて固くても、それはそれでいいんじゃない?くらいに思っているから 時間は決めてない。

いつもは他の料理をしている間茹でてるから見てもないしね。

そう言ったら ガーンと背景に青い縦線が出たかと思うくらいにショックを受けられた。


「失敗しても 段々慣れるから大丈夫だよ。柔らかすぎたなら 次はもう少し短い時間にしてみようとか、そうやって調整すればいいんだもん。

料理屋さんでお金をもらってるわけじゃないし、今日は失敗だったね!って笑えるのも良いんじゃない?」


「そう、そうよね。ヴィオありがとう。それなら私でも頑張れる気がする」


うん、頑張ってください。

ナムルにそこまで気合を入れる人も珍しいとは思うけど、そういえば 料理が出来ないと自称してた友人から「卵かけご飯にかける醤油って どれくらいかければいいの?」と聞かれたことがあった。

その時は冗談だと思って 適当にピッピか クルーで良いと思うよ。と答えた気がするが、後日「TKGなんて流行りなくなればいいのに」と言ってた事を思えば きっと失敗したのだろう。

卵かけご飯の醤油を失敗するとか 意味不明過ぎたけど、いまのシエナさんを見ていると あれは本気だったのだと思う。


トンガお兄ちゃんのところでは テリューさんとアンさんがパンの作り方を習っているけど、シエナさんレベルなのだとしたら パンは買ってくる方が良いと思います。


ネリアさんはルンガお兄ちゃんに野菜の切りかたを習っていて、オトマンさんはクルトさんにスープを習っている。

ダンジョンだけど、完全にお料理教室と化しています。

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