第326話プレゼントと新しい素材
先生たちと宿で別れる前に ブン先生とエミリンさんからプレゼントをもらった。
箱を開ければ2つのイヤーカフ。
まさかと思って二人に聞けば 片方ずつに髪色を変化させる魔法陣と 瞳の色を変える魔法陣を入れたのだという。
そっか、一つだけに2種類を込めようとしてたから中々出来なかったけど、耳は二つあるんだから 1つずつで良かったんじゃん!
「お嬢様とお別れして直ぐに 気付きまして 何度か試作して完成しましたの。
見ていてくださいね」
そう言ってエミリンさんが自分の耳に付けた右のイヤリングに手を触れると 茶髪だった髪色が水色になり、左のイヤリングに触れれば 黒い瞳の色が 黄色に変化した。
「わぁ!凄い、エミリンさん綺麗! 海のお姫様みたい!」
海人族は青や緑や銀色の髪色を持つ人が多いという。
フンワリした水色の髪と金に見える瞳は 儚げに見えて まさに人魚姫みたいに見える。
「まぁ、うふふ、この色を選んだのは 海人族を意識してましたから嬉しいですわ」
外したイヤリングを鑑定させてもらえば 右耳のイヤリングは氷の魔石が、左耳の魔石は木の魔石が使われていた。そっか属性の色でその色を出すようにするんだね。
私の髪飾りの魔石は土属性だから茶色になるのか。
そして箱に入っていたイヤーカフについた小さな魔石は茶色、これを着ければ 髪も瞳も茶になるという事だろう。
「お父さん、着けてみていい?」
お父さんが頷いたので 髪飾りと眼鏡をはずして 元のピンクゴールドの髪と菫色の瞳になる。
それからイヤーカフを耳介に着けて魔力を流す。
ツインテールにしている髪を持ち上げれば見慣れた茶髪、瞳の色は見えないけど 皆が満足そうなので 多分茶色くなっているんだろう。
「お嬢様こちらをどうぞ」
エミリンさんが差し出してくれたのは手鏡、流石ですね。
覗けば 眼鏡をしてないのに茶色い瞳に茶色い髪の美少女がいた。
「お父さん!」
「ああ、ちゃんと顔が見れて その色じゃと 安心するな。
スティーブンさん、エミリンさん、本当にありがとう。何と言っていいか……、本当にありがとう。
ヴィオへの贈り物と言うておったが せめて材料費だけでも払わせてくれんじゃろうか」
「まあ、アルク様ったらいけませんわ。
これはわたくしとスティーブンが 先生から出された課題でもあったのです。
学生時代以来、中々燃えましたわ~」
「ええ、最初は一つだけに拘り過ぎて大変でしたが 発想の転換をする事が出来たのも良い経験でした。
ですから これは私たちからの贈り物とさせてください」
その後 ドゥーア先生からも援護射撃が出たことで 二人からのプレゼントという事で落ち着いてしまった。魔法陣のお道具、魔法の教本の写本、数々のドレス、先生たちからは貰い過ぎなんだけど、何かあれば私の発案した魔法の代金だと言われてしまうんだよね。
「ああ、それから プレーサマ辺境伯閣下からも感謝の手紙が来てました。
ヴィオ嬢とアルク殿が直接料理をなさったとか?
お孫さんが非常に喜ばれていたようで、魔法の練習と剣の練習に取り組む姿勢が変わったとも書いてましたよ」
ああそっか、先生は前辺境伯閣下とお友達なんだよね。
黒猫さんだと思っていた閣下は 黒豹さんでした。
「そういえば こないだお兄ちゃんたちと入ったゲルシイでも また新しい素材を見つけたんです。
とっても美味しい食材だったので またレシピが増えました」
「なんと!?そうなのですか?
ゲルシイはウイスラー侯爵領でしたね。あそこには料理人を派遣していないな……。
ヴィオ嬢、その食材はまだ余裕がありますか?」
それなりにあるけど、ウミユで減る可能性もあるから余裕があるとは言い難い。
このダンジョンも豊作ダンジョンだと聞いているから 同じものがあれば良いけど、違うかもしれない。
「そうか……。それもあるのか。ふむ……。
だが ヴィオ嬢たちの作る料理が美味しいのは既に分かっている事。料理人を呼んできたところでダンジョン踏破の日数は読めないし……」
「旦那様?でしたら 踏破なさった後に屋敷へお越し頂いてはいかがですか?」
「おお、オットマール そうだな。
アルク殿、サマニアンズの皆さん、もしこのウミユダンジョンを踏破された後 直ぐに次の旅へお急ぎでなければ 我が屋敷へ招待させてもらってもいいだろうか。
もし新しい食材が足りなければ どのようなものかを教えてもらえれば そのゲルシイに依頼を出しておく。どうかな?」
うっかり美味しいもの発言をしたせいで 王都にお招きされることになりそうです。
お兄ちゃんたちは驚いてたけど 是非伺いますと了承の返事。
今回のダンジョンでさらに新しいものが見つかる可能性もあるけど、それも含めて 見てみたいとの事。
とりあえず 調味料は十分に採ってきているので 足りないとしたら米だろう。
でもあのダンジョンの 深層階に米の為に潜れとは言い辛い。
ということで メネクセス王国の家畜の飼料として生産しているらしいことを伝えて それを購入してほしいと伝えておいた。
オットマールさんは少しだけ驚いていたけど、元々ハズレと呼ばれて 捨てられていた素材の美味しさを知っているので 直ぐに手配しますと言ってくれた。
そんな約束をして、お父さんとトンガお兄ちゃんは 先生たちと一緒にギルドに行くことになり一旦お別れだ。
「じゃあヴィオ嬢、また明日」
「はい、先生たちも また明日です」




