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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第319話 アンヤ遺跡ダンジョン 前半



「あれ? ここはそんなに町から近い訳でもないのに受付がないんだね」


「初級だからね。間違って入っても低層階でダンジョンだと気付けるし 低層階で死ぬような可能性は低いからじゃないかな」


早朝からダンジョンに向かったんだけど、ダンジョンらしき場所に受付はなかった。

まあ確かに アンナープをはじめとした辺境の初級ダンジョンにも受付はなかったから 初級はそんなものなのかもしれないね。 

白い石柱が点々と立っている中心にある門のようなものがダンジョンの入り口のようだ。

反対側からは入れないというのは フルシェと同じ。


「じゃあ 入るね」


「うん、僕たちも直ぐ近くにいるからね」


今回は私のランクアップの為のダンジョンでもあるので、基本的には私が一人で行動する。

お兄ちゃんたちも後ろからついてくるけど 魔獣討伐などは私が行うことで話をしている。余程の事がない限り手を出さないというのは お父さんと二人旅の時と同じである。


「おぉ~~~~!壁画は少なめだけど 石像が結構あるね」


「ヴィオ、ゆっくり見るのは帰りにした方がええんじゃないか?」


はっ、そうだね。時間制限もあるし 先にボスまで行っちゃってから 帰りにゆっくり見ることにしよう。



「これがヴィオの勉強してきた事に関係するんだ?

ただの飾りだと思ってたけど 意味あったんだね」


「学園の先生らが こぞって遺跡ダンジョンに興味津々らしいぞ」


「へぇ~、何書いてっか全然わかんねーけど ヴィオはこれを読めるのか?」


お兄ちゃんたちも興味深げに周りを見渡しているけど、ゆっくり見ると楽しいんですよ。文字は勉強中ですが 翻訳できるようになったからね、戻ってきてから確認するのが楽しみです。

後ろ髪を引かれる気持ちはありつつも まずは2階へ行きましょう。


【索敵】をわざわざかけ直さなくても この狭さであれば常時展開のものだけで歩いている間にマッピングが終了するだろう。

ガヤガヤと 石像を見て楽しんでいる声を聞きつつ 先に2階に下りて探索を始める。

いるのはスモールラットと ホーンラビットだけ。どうやらゴブリンはもう少し下の階にいるらしい。


姿が見えた時点で 魔法で倒していく。


「【エアショット】」


スモールラットが消えた後には 鼠の尻尾……。

そうでした、最近豊作ダンジョンだったから忘れてたけど 普通のダンジョンだと肉は落ちない事の方が多い。

という事は 今回の魔獣にうまみは無し。ホーンラビットの角だけ集めておこうかな。


ゴブリンの腰布、スモールラットとウルフの尻尾はいらないので 唯一売れる素材がホーンラビットの角だからね。

初級ダンジョンの何が楽しくないかって 宝箱の楽しみがない。

パニックルームにはあるだろうけど ほぼないと言っていいのが初級ダンジョンだ。

まあ 初心者がダンジョンという異空間になれる事を目的にしているのであれば 仕方がないのかもしれないね。


「お兄ちゃん、お父さんも 3階に下りちゃうよ~」


「ええっ!早い。ヴィオちょっと待って~」


1階でのんびりしてたお兄ちゃんたちが下りてきたころには 既に粗方の敵は討伐済みで 通り道ではない遠くの敵だけが残っている状態だ。

3階へ続く階段の近くで声をかければ 慌てて駆けてくる音が聞こえたので待ってます。


「まあ このレベルの魔獣じゃ 危なげもない筈だよな」


「忘れてたけど 上級ダンジョンについて来れるレベルだからな。銅ランクのままなのがおかしいんだよ」


上級ダンジョンを猛ダッシュで駆け抜ける人たちにオカシイとか言われたくないです。

お兄ちゃんたちが追い付いたことで3階へ。

1階層あたり1時間もかからないので 4階で昼食休憩を取り、午後もサクサク進んでいく。

中級や上級とは違い 階が深くなったからといって そうそう複雑化しないのも初級ダンジョンだ。

5階からウルフとゴブリンが増えたものの ノーマル種だから 柔らかいし 短剣で十分倒せてしまう。

低層階でホーンラビットの角も拾ったから 5階以降は角も拾っていない。


「あ、この階がパニックルームみたい。

今日はここで野営でも良いかな?」


「ははっ、まさか1日でここまで潜るとは思わなかったね。

けどこのレベルならこんなもの? 僕らもあの頃から【索敵】が使えてたら もっと楽だったね」


「ヴィオ、パニックルームは手伝うか?」


小さな個室は偶数階にあったけど 8階には2つの部屋。そのうち一つがこのダンジョン唯一のパニックルームだった。

9階にも小部屋はあるらしいけど パニックルームは広いし ここで良いと思う。


「ううん、もし大変そうだったらお願いするかもしれないけど まずは一人でやってみる」


「 分かった。近くで待機しておくから 無理はするな」


皆が任せてくれるのがありがたい。

アントと思われる集団がいる扉の前に 壁を作る。私が一人でやるなら久しぶりにバレットでやってみよう。


「【ウォーターウォール】【フレイムバレット】」


壁は扉のギリギリで。自分の手で少し開ければ 開ききらない扉が消えてアントが飛び出そうとしてくるけど 粘着力高めの壁にしているから くっついたところから動けなくなっている。

その間に 炎弾を放てば 小さな青い炎が 花火のように室内で弾ける。

着弾した相手から キラキラエフェクトで消えていくので なかなかド派手である。


「うん、威力も調整できるようになったし 大体同時着弾するから ドロップアイテムが壊れなくていいね。お父さん、どうだった?」


「あ~……、そうじゃな、ウッドラースの時よりも 数は多かったようじゃが 魔力切れもしておらんし 成長したな。魔力が増えたんか 魔力操作が上手くなったんか、その両方か。

まあ 何にせよ 安全にパニックルームを片せるのは凄いと思うぞ」


「ははっ、瞬殺だったね。僕たち全く出番なしだったね」


「すげえ フレイムバレットって あんなにすげえんだな」


「あの魔法って 時々使うやつ見るけど 傷つけるくらいで 倒せると思ってなかった。

いや、全弾あの圧縮した炎だったからか?

ヴィオ お前ますますヤベエ奴になってんな。知らねえ奴らの前では その魔法使うなよ」


まあ確かに6歳児が使う魔法ではないと思ってるので これは家族の前でしか使わないようにしておきます。

けど綺麗だったよね?

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