表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

359/430

第318話 アンヤの町



四泊五日でアンヤの町に到着した。

ゲルシイの町から王都に繋がる街道があるためか、盗賊は現れなかった。



「あのな、そんなにポンポン盗賊に出会ったら怖えわ。

何でちょっと残念 って感じになってんのか聞きたいくらいだぞ」


クルトさんは ダンジョン以外でもツッコミ担当が板についてきましたね。


「まあ 普通は会いたくない相手だよね。だけど熊3人に虎のパーティーでしょ? 流石に悪者ホイホイのヴィオが居ても このパーティーに喧嘩を売りに来る人はいないんじゃないかな」


まあ全員が2メートルほどの長身マッチョだもんね。

どう見ても強者感半端ない人たちに たった一人の上質な餌では割に合わないのだろう。

アンヤの町は 王都領にしては素朴な町だった。

お父さんが言ってたように 学園の生徒たちが銀ランク昇格の為にこのダンジョンに来るからか 宿屋、食堂、武器防具、魔道具などのお店は一通りそろっているものの、宿と食堂以外は冒険者ギルドの近くに1店舗ずつしかない。


「学生さんたちが沢山来るなら お店が足りなさそうだね」


「そうでもないだろ、武器防具は修繕に出すくらいだろうし、魔道具も回復薬とかの追加購入しか用はねえ。基本は王都で買ってくるからな」


ルンガお兄ちゃんの言葉に成程と納得。そりゃお金持ちの人たちだもの ちゃんと準備して来てるよね。

馬車で来る学生たちの為だろう 全ての宿屋には馬車置き場と厩舎がある。

まさに学園の生徒たちのための町なんだろうね。


「さて、ギルドに顔を出すんは明日でええな?」


「うん、明日は図書室に行ってからダンジョンに入る申請かな」


「え?初心者ダンジョンでも調べるの? 多分ゴブリンくらいしか出ないよ?」


宿にチェックインしてから明日の予定を話し合う。

このダンジョンは お父さんも お兄ちゃんたちも入った事がない。

ただ学生が入るレベルの初級だからという “ゴブリン程度” なのだろう。


「トンガお兄ちゃん、そういう油断が命取りになることもあるんだよ。

もちろん然程強い敵がいるとは思えないけど、どんな場所なのかは調べておくに越したことはないと思うの。通常種を知らないと 変異種が出てきた時に分からないでしょ?」


「そっか~、そうだね。僕たちは噂を拾うぐらいで 後は現地で確認なんてしてたけど それじゃあ危険だね。うん、ヴィオも力業で行こうと思えば 僕たちより行けそうなのに ちゃんと調べてるんだもんね。

僕たちも中級以上の時はそうしようか。売れる情報も見つけられそうだしね」


お兄ちゃんたちは強いから 現場で確認でもなんとかなるんだろう。

面倒な敵、強い敵なんかの情報は 冒険者たちとのコミュニケーションで得てくるのかな。

私は そっちの情報収集ができないからこそ 資料を使って調べているだけだ。

自分たちのやり方でも十分だろうに 私の面倒なやり方も肯定してくれるのは優しいよね。



翌日 お兄ちゃんたちは 町で情報収集。

私はお父さんと一緒にギルドの図書室へ。

資料は初級ダンジョンだけあって薄い。

ただ 学生たちのために地図は詳細だった。


アンヤ遺跡ダンジョン、1階は遺跡状態でスライムのみ、下に進むダンジョンで10階層からなる。

ボスは10階のみ、転移無し。

敵はお馴染みの 鼠、兎、狼、ゴブリンの4種。ボスもゴブリン隊ということだ。


「パニックルームは一つ、コニベアと似てるね。魔獣も少し種類は違うけど 初級ダンジョンで会ったことのあるのばっかりだったよ」


「まあ大抵初級は似通ったレベルの魔獣じゃからな」


図書室で調べた後は受付で ダンジョンに入る申請をした。


「銅ランク冒険者ヴィオさん、7日間の予定ですね? 帰還予定日より3日以上遅くなるようでしたら遭難とみなされ捜索隊が派遣されます。

その場合30ナイルのお支払いとなりますが 本当に7日でよろしいですか?」


申し込みをしたら 日程表にツッコみが入る。

広くもない洞窟ダンジョンだ。1日に3階くらいは移動すると思うので 少し余裕を持たせたつもりだけど心配されてるようです。

往復だからかな?お父さんからも長めに書いておいて 早く帰ってくる分には問題がないからと言われ10日の予定に変更した。

流石初級ダンジョンなだけあって 止められることはなかったね。




「申し込みは出来た?」


「うん、7日にしたら心配されたから10日の予定にしたよ」


「まあ 普通の銅ランク冒険者なら それでも早いかもしれねえからな。いいんじゃね?」


宿に戻れば お兄ちゃんたちは既に帰ってきており ダンジョンの打ち合わせをしていく。

ルンガお兄ちゃんは10日でも早いというけれど、広くもない採掘もできないダンジョンでそんなに時間がかかるものなのかと不思議になる。


「学生はやっぱりいないみたい。来月から長期休暇だから そこからは一気に増えるみたいだけどね。

丁度良い時期に来たね」


どうやら学園では期末テストじゃないけど そんな感じの試験があるらしい。

試験が終わればエミリンさん達が言ってた 学年度末のパーティーとやらがあり、それが終業式のかわりのようで、パーティー終了で解散となるんだって。

終業式はドレスアップして学校に行くらしいから 貴族だよね。

卒業式は先週終ったらしいので その卒業生が このダンジョンに来るのかもと思ったけど、冒険者登録をする学生たちは4年生の時に銀ランク試験を受ける人が殆どだという事で、卒業生は 中級以上を回るだろうとのこと。


なのでこの1か月ほどは お客さんが居なくて閑散期なんだって。

どうりで 宿の呼び込みが激しかったはずですね。

お値段も割り引いて頂けたので 非常に良い時期だったようです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ