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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第309話 ゲルシイの森ダンジョン その15


1組が20階のボス部屋前ゾーンに行ったことで 残っているのは14名と私たち。4組だけとなった広場は随分閑散として 過ごしやすい。


「そういえば 早朝から20階に行く人たちが多かったの?」


「いや、ヴィオたちがテントに入ってから2組、朝方2組だったから 夜にボス戦した人もいると思うよ。まあその場合は 21階に下りて直ぐのセフティーゾーンで野営かな。

後はボス部屋の前もそれなりに広いから そこで仮眠してから入ったかもね」


そっか、まあボス部屋は次の人たちのための準備時間があるとはいえフルシェは5分だったし、ここが1時間とかのはずがない。

であれば 1時間に1度は交代できるんだろう。となれば既に全員がボス部屋に行っててもおかしくないもんね、休息大事だし、夜は休むべきだね。


納得したところで やることはない。

魔力訓練も人がこれだけ人がいるならやる訳にも行かないし ふむ。


「おお、ヴィオトランプをするか」


「あ、そうだね、折角持ってきたのに使うことが無かったもんね。お兄ちゃんも一緒にしよう」


「ああ、そういえば僕らも時間つぶしの為に買ったはずなのに鞄の底に入ってるかも」


時間さえあれば土人形を頑張って作ってるもんね。

私も 寝るまでは魔力操作の訓練をしてたからすっかり忘れてた。正にこういう時の時間つぶしにぴったりだね。


まずは魔王抜きから始め、七並べを始めたところでルンガお兄ちゃん起きてきて参加。

お姉さんたちの次に待っていた 女1:男4のパーティーが下りた頃にクルトさんも起きてきた。昨日お兄ちゃんが話しかけた人たちは 私たちの前の順番だったんだね。


「くわぁ~、よく寝た。

おお、後2組か テントしまうぞ~」


起き抜けだけど寝惚けてないのは 中で朝食を食べてきたのかな?

テントを素早く収納して トランプに参加する。


「そういえば昨日はあんなに多かったのに 全然来ないし 戻っても来ないね」


「上から下りてくるのは昼過ぎくらいから集まり始めるよ。戻り組が無いのは確かに珍しいね。昨日あれだけいたことを考えたら もっと戻ってきそうだけど……」


常に満員状態なのだと思っていたのに そうでもないから驚いていたんだけど、上から来るにはそれなりに時間もかかるもんね。

夜にかけて 溜まっていくって事なのか。


「お前さんらを見たからだと思うぞ、というかそっちの嬢ちゃんを見てだな」


隣から声が聞こえて思わず振り返ってしまう。

昨日も思ったけど渋い声ですね。バリトンボイスっていうの?葉巻と赤ワインが似合いそうです。


他のパーティーがアレコレ想像を膨らませて好き勝手な噂話を繰り返していた中、この人たちは全く我関せずって感じだったんだよね。

子供嫌いだと思ってたから まさか話しかけられるとは思わなかったよ。


「わたし?」


「あ~、急に話しかけてすまないな、俺たち〔草原の牙爪そうが〕銀ランクパーティーだ。

コイツはリーダーのノイシュ、俺は サブリーダーのルーヘンだ。

えっと、何が言いたかったかって 悪い意味じゃねえんだけど、そんな小さい子が赤メダルを持って入れるって事は 自分達でも深層階を目指せるんじゃねえかって勘違いした奴らが多いって事」


ん???

それって今までは ココでクルクルしてたけど、私を連れて行けるなら 思ってたより深層階って楽勝と思ったって事?

それって私の能力と関係なくない?自分の実力があるかどうかじゃないの?


「ああ、このダンジョンは 20階まででもそれなりに稼げるし、ここまでは然程強敵もいない。

だからここを根城みたいにして ずっと繰り返して潜ってる常連が多い」


あ~、モドキとギルド職員の癒着も常連だったからこそなのかな。

まあ ここの2組が下にいて 上に呼びに来るってのも 常連が伝えてルール化してるのかもしれないしね。テーアさん達からそんな事言われたことないもん。


「でも 私がいるのと 戻ってこないのに関係あるの?」


「ん~、そっちの兄貴達は 最近このダンジョンを踏破したんだろう?

常連組がそんな事言っていた。

俺たちは 弟たちのランク上げとマジックバック目的で来ているが、君らはそっちの妹用って感じだろ?

最近踏破した奴らが 妹を連れてこれると判断しているんだから 妹が危険にさらされるようなことはないレベルなんだろう。って事だと思うぞ」


常連が多いと 踏破した人の事とかも覚えてるんだね。

お兄ちゃんたちを見つめてみれば 三人とも不思議顔、うん、これは誰のことも覚えてないってやつですね。

サブリーダーの熊さんも苦笑してます。


「強い奴らの実力を見抜けるならまだ良いが、そいつらの “踏破した” という結果しか見てないから こういう判断をするんだろうな」


踏破者がそう判断するレベルって?

何だか人任せな判断の仕方すぎて危険だね。

自分たちの能力を理解してないって事?大丈夫?


「へぇ、てことは あなた達は 俺たちの実力を見抜けるってこと?」


トンガお兄ちゃん、いつになく挑戦的な物言いだけど 怒っている感じではなく ちょっと楽しんでる?


「冒険者は相手の力量を測るのは常識だ、それくらいできないと死ぬ。

あんたらも大概だが その父親が守ってるなら何の心配もいらないんだろ」


お父さんの威圧感ってこと? 今は訓練中じゃないから魔力も出してないし いつもの優しいお父さんだけど 獣人同士分かり合える何かがあるのかな?

お父さんも お兄ちゃんたちと顔を見合わせている。


「ふっ、過大評価されている気はするけど 光栄だよ。

俺たちは〔サマニアンズ〕、俺がリーダーのトンガだ。こっちは父と妹だ、よろしくな」


「ゲッ、サマニア村の出かよ。だったらそっちの妹も普通じゃねえってことか。

今回は遭難者が続出しそうだな」


トンガお兄ちゃんと あちらのリーダー、狼獣人のノイシュさんが握手をして笑い合う。

そしてサブリーダーのルーヘンさんは熊獣人さん、其々の弟さんとパーティーを組んでいるので 私たちと同じような感じだね。

ところで ルーヘンさん、普通じゃねえとはどういう意味ですか?

サマニア村は 魔境とか秘境とか プレーサマ領都の人以外からは かなりヤベエ場所との認識です

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