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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第307話 ゲルシイの森ダンジョン その13


ゲルシイの森では20階の中ボスでもマジックバックが出る確率は30%である。

マジックバックではなくとも 魔道具であることは確実で、10階に比べるとそれなりに高く売れる物が出るとあって、深層の攻略は難しい または、30階のボスは無理!という人が20階を繰り返すらしい。


「だからね、19階の最後のセフティーゾーンは満員な訳。

20階のボスをやった人たちが 21階に下りてから もう一回戻って を繰り返すからね」


「ええっ、そしたら新しい人たちが入れなくない?」


エンドレスボス戦が出来ちゃいますよね?

それはボス側からチェンジを言い渡されないのでしょうか。


「いや、常に2組ほどは20階のボス部屋前に待機してっからな、上がってきたやつらは 19階に行かねえとそこで〆られる。

んで、2番目に待ってる奴らが 上に声をかけに行くんだよ」


「それって、戻ってきた人たちに声掛けに行ってもらえば良くない?

態々待ってる人が呼びに行くって事?」


上がる人たちに行ってもらった方が面倒はなさそうなのに、冒険者って結構面倒見がいい人が多い?


「いや、待ってる奴らが行かねえと 行ったふりして そこで待って順番を抜かす奴もいるからな。

ボス戦の時間はどれくらいかかるか分からねえ。20分くらいで開くときもあれば 2時間くらいかかる時もある。上にいる奴らは分かんねえからな。

戻り組を ちゃんとセフティーゾーンに連れて行くのも兼ねてんだよ」


ああ、面倒見がいい訳じゃなかったね。

けどそうやってルールがあるのは こうしたダンジョンならではなのかもね。


「じゃあ ず~っと 目的のアイテムが出るまでグルグルし続ける人もいるんだね」


「ん~~~、まあそうだけど、大体3回くらいで戻る人が多いと思うよ」


水生成魔法が知れ渡った今、食材は19階にいくらでもあるし永久機関だと思ったんだけど そういうわけではないらしい。


「普通の奴らはマジックバックを目的に潜ってるからな。

ここまで来るのに手に入れたアイテム以外に ボス部屋でもドロップアイテムが出るし、それこそボス戦のお宝もある。

それが入りきらないと 盗まれる可能性もあるだろ?だから大体3回くらいで一回戻るって感じだな。

そういう事が必要ない奴らは30階まで行ける実力があるし、30階は1階に戻るしかねーからな」


そういえば 転移陣がないラスボスは扉が開いて帰れたけど、転移陣があるラスボスの時って 入ってきた扉あったっけ?

もしかしたらなかったかもしれないね。

今回はそれをちゃんと見ておかないとね。



私たちは1日に1階層を移動するペースで進んでいる。

各階5カ所のセフティーゾーンがあるため 4つ目のセフティーゾーンで野営をするようにしている。

今現在17階だけど、すでに3組ほどの冒険者たちが私たちを追い越していったのを確認している。

お兄ちゃんたちが言ってたように 真っすぐ階段を目指して 軽く走りながらである。


私たちはマンティス以外の魔獣は見つけ次第狩りまくっている。

マンティスは食べるところがないのでいらないんだけど、仲間はずれが嫌なのか 他の魔獣と戯れていると向かってくるので仕方なしに倒している。


「ほとんどエンカウントしないね」


「おう、これなら下まで行っちまうか」


こんな声がよく聞こえます。

折角の豊作ダンジョンを全く楽しんでいない冒険者たちに驚きですけど まあ 仕方がないのかもしれないね。

時々同じ階で野営をしている冒険者の魔力をキャッチするけど、私たちは4つ目、相手は5つ目のセフティーゾーンなので問題なし。

お陰で 露天風呂を毎晩楽しむこともできています。


「木が少ないからハズレ袋もないね。

深層階は森なんだよね?袋の仕入れもできるかなぁ」


果物の生る木はあるけど、醤油と味噌、油の木は草原エリアには見つからない。

あれらは大概森に生息しているらしいので 多分深層階にしかないのだろう。


「僕らも結構色々試して使ったから あんまり残りは多くないんだよね」


「儂らも領主邸でも使ってきたから 在庫は大分減ったな」


「え?領主邸ってなに?どういうこと?」


夕食準備中に在庫の心配をしてたら お兄ちゃんたちに驚かれた。

そういえば 領主邸に行ったことは話してなかったっけな?


王都からの帰り ドゥーア先生からの依頼で 先生のところの料理人たちをプレーサマ辺境伯邸に送り届ける約束をした事。

送り届けるだけのつもりが 前辺境伯にお招きを受けて お屋敷に入ることになった事。

そしたらドゥーア先生から聞いてたらしい イチオシ料理を作ってほしいと頼まれた事。

作っている間に 現領主家族も集まってて 何か知らん間に全員集合になってた事。


「で、最後は皆で一緒にご飯を食べたんだよね。

意外と思ってたより気さくな人たちだったよ。

豊作ダンジョンの買取も勧めてくれるって約束してくれたし、辺境伯のところの料理人さんがレシピを覚えたら 貴族にも広まるしね、そしたらどこでも買えるようになるよ」


ドゥーア先生のところの料理人さんは プレーサマだけじゃなくて 仲良しの領主たちのところへ数組が行ってるみたいだからね、きっとそこからどんどん広がっていくはず。

来年には 醤油と味噌のお料理が屋台にだって出てくるはず。


「いや、何がどうなったら領主と飯食うことになるんだよ……」


「僕たちもあのままヴィオたちと行動してたら そこに参加してたのかもね」


「それを楽しめたって ヴィオすげえな。てか父さんも一緒だったんだよな?」


お兄ちゃんたちが若干呆れてる?

私たちだって不可抗力だったんですよ、馬車から下りる予定だってなかったわけだし。


「ははっ、流石に儂は緊張したぞ?

じゃが まあ なるようになったな。

ヴィオは領主のご令嬢からも 学友にならんかと誘われるくらい気に入られとったがな」


年も近いし 女子同士だし、なによりドゥーア先生に気に入られるレベルには賢いと思われたんだろうね。けど辺境伯のご家族は良い人だったけど 他がそうとは限らないし、出来れば関わりたくない人種なんですよね。


「えぇ~、勿体ない。ヴィオってばお貴族様の生活とかしてみたくないの?

学園の先生のところでは 随分お姫様みたいな生活してたんじゃないの?」


トンガお兄ちゃんがそんな事言うけど、お姫様の生活とは?

確かにお風呂とお着替えに関しては姫っぽいとは思ってたけど、後はお勉強もそうなのかな?お姫様って勉強しっかりしないとだもんね。


「ん~、そうだね、今まで体験したことないくらいお姫様みたいな感じだった。

ドレスとか一生 着る事なんてないと思ったけど 凄かったよね」


「ああ、髪もクルクルにしてもらって お姫様みたいじゃったな」


「んじゃさ、辺境伯の誘いを受けたら ずっとそんな生活できんじゃねえの?

ヴィオはそっちが良いとか思わねえの?」


クルトさんの質問に 最近どっかでそんな質問されたなと思うけど、気持ちは同じだよね。


「思わないよ。たまにだから楽しくて良いかもしれないけど、毎日は嫌だな。

色々制限も多そうだし、ヒトの裏を読みながらグチグチするのとか面倒そうだもん。

だったら 悪徳冒険者たちみたく ズバっと斬り捨てちゃえた方がいい。貴族の場合 どう見ても屑だとしても斬捨てできないでしょ?」


「「「……」」」


「まあ、ヴィオは貴族じゃなくて良かったな。って事だ、うん。

あとな、貴族じゃなくても 早々簡単に斬捨てれるもんじゃねえからな?

あいつらは確実に俺らを殺しに来てた、だから正当防衛。基本的には関わらない、いいか?」


「はぁ~~~い」


「誰だよ、こんなに戦闘狂にしたの」


返事したのに納得されてないってどういうこと!?

お兄ちゃんたちも苦笑してないで そんなことないよってフォローしてください。

お父さんもですよ!

ホント こんなかわいい子を戦闘狂だなんて 失礼しちゃう!


ちょっと血気盛んで やられそうになるなら万倍返ししたいと思っているだけですw

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