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第27話 学び舎 2日目


昨日は夕飯を食べた後の記憶がない。

いつの間にか寝ていたらしく、気が付けば朝だった。


お父さん曰く 夕飯の途中から舟をこぎ始め、スープに顔を突っ込みそうになったから 布団に移動したと言われた。

お風呂は危険だからクリーン浴にしておいたと言われて、あまりの恥ずかしさに穴を掘りたくなった。

子供は寝てこそ成長するもんじゃ。というのがお父さんの持論だから、ガハハと笑って流されたけどね。


そんなこんなで 今朝も家から半分は歩いてみる。

昨日よりは少し距離が延び、大木のてっぺんが見えるくらいまでは歩いた。


八百屋のエルザさん、ヤチロさん夫妻と おはようの挨拶を交わしていたら、今日も元気な声が聞こえてくる。


「いや~だ~、に~にと行きたい~~~~。」

「だから、まだロンはムリなの。猫になっちゃうだろ?」

「いやにゃ~~~~。」

「は~な~せ~~~」


昨日みたくダッシュで逃げる感じではないようで、路地を覗き見れば ルン君の洋服に必死で爪を立ててしがみ付く黒猫と、その黒猫を必死で引きはがそうとしているレン君の姿と 散らばっている甚兵衛。


「あぁ、もう。ほんとにこの子は毎朝!」


エプロン姿のリリウムさんが ごねる子猫の鼻先で何かを翳せば 眠くなったのか 力が抜けていく子猫。その隙にレン君が子猫の爪を ルン君の洋服から引きはがし リリウムさんに引き渡した。

あれはマタタビとかそんな感じの物だろうか。


「もうええか?行くぞ?」


興味津々で見つめていた私に苦笑しながらも 付き合ってくれたお父さんに声をかけられ、そう言えば登校中だったと思い出す。


「あー!ヴィオ‼」

「ん?あぁ、ほんとだ。おはようヴィオちゃん、おはようございます アルクさん。」

「あら、おはよう。ヴィオちゃん、昨日はうちの息子がお世話になったみたいね。ありがとう、初めて自分から皿洗いをしたいなんて言うから、驚いちゃったわぁ。」


ルン・レン兄弟から挨拶を受け、リリウムさんも子猫を片手に お礼を言われた。

あのその首の後ろを摘まんだ感じでビローンとなってるのは大丈夫なのですか?


「レン君、ルン君、リリウムさん おはようございます。

リリウムさん、私は何もしてないの。レン君が魔法の練習にもなるからって頑張っただけだよ。」


練習になると 焚き付けただけで、実際にお手伝いを買って出たのは レン君だもの。

リリウムさんに 褒められて嬉しいけど恥ずかしいのか「おれ先に行くからな~」と走って行ってしまった。


「あらあら、一人前に照れてるのかしら。

まぁ、やんちゃだけど ヴィオちゃんの事を 凄く尊敬しているみたいだから、仲良くしてあげてくれると嬉しいわ。」

「じゃあ母さん、僕も行ってくるね。ヴィオちゃん、アルクさん一緒に行ってもいい?」

「あぁ、勿論じゃ」

「うん、一緒に行こ」

「楽しんでおいで」


レン君の姿はとうに見えなくなったけど、目的地は同じだからね。

お父さんの抱っこのままだけど、ルン君と一緒にギルドに行くことになったよ。


「ルン君、今日は何の勉強をするか決まってるの?」

「うん、今日は算術と戦う授業の二つがあるよ。」


ほうほう、昨日助けてくれた虎先生が武術を教えてるって言ってたから、その授業があるのかな。

授業は昨日の【言葉と文字の座学】&【魔法の実技】の日と、【算術の座学】&【武術、戦闘実技】の日を交互に行ってるんだって。

毎日同じだと飽きるから、ってのが大きな理由みたい。



「あらぁ、今日は一緒に来たのねぇ。」

「まぁ、だけど 1人足りないんじゃない?」

「あらまぁ、本当だわ。どうしたのかしら。」


ギルドの扉を潜れば 羊三姉妹に会った。

今日は色違いのリボンがついたワンピースを着ているけど、やはり色は赤、緑、黄の三色だ。

昨日は髪のリボンだったけど、今日はワンピースの襟元についたリボンで見分けるようだ。


「あぁ、レンは先に教室に行ってると思う。ヴィオちゃん 僕 先に行ってるね。」


ギルド1階のテーブルにでも座っていると思ったレン君の姿がなかったので、ルン君は教室に確認しに行くのだろう。弟想いの良いお兄ちゃんだ。


「ん?お父さん 今日は下まで一緒に来てくれるの?」

「おぉ、昨日はうっかりしとったが、この階段はヴィオには随分高さがあったじゃろ? 教室までは一緒に行こう。」


昨日は 階段の手前で見送られたのに、今日は三姉妹と話しながら お父さんが階段を降り始めたから びっくりして聞いたらそんな答えが返ってきた。

確かに昨日は 途中でエデル先生に助けてもらったんだったね。もう少し大きくなるまではおねがいします。



教室に入れば レン君は既に到着しており、何故か真ん中のテーブルに座っている。


「じゃあ 授業が終わる頃に 迎えに来るからな。今日も楽しみなさい。」


お父さんに頭を撫でられて振り返れば、手をヒラヒラしながら階段を戻って行ってしまった。

運動の授業が終わる頃に 迎えに来てくれるんだったら、帰りの階段も安心だね。


「レン君、今日はそこで良いの? 一番乗りだから端でもいいんだよ?」

「こっちの方がヴィオに教えてもらいやすいだろ?」


「そこ俺の席!」と昨日言われたからね。一応確認してみたんだけど、何その答え。バカ可愛いんですけど?

それは 昨日みたく3人並んで教えて欲しいという事だろうか。

だとしたら私が真ん中の席で、二人が端の席で寄る方が良いんじゃないの?とか思うけど、レン君の中では決定しているみたいだから、まぁいいか。




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