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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第256話 学園の見学 食堂と訓練場



本館の1階と2階は教室で、3階は実習室と呼ばれる部屋が並んでいた。

ダンス教室はだだっ広い部屋で 壁際に椅子が並んでいた。


「この教室は貴族科の生徒がよく使うのですが 1,2年生の時は全員の必須科目の中にダンスが入ってますからね、否が応でも2年間はダンスを練習することになるのですよ」


ちょっと苦い顔で笑うブン先生と 懐かしいですわと微笑むエミリンさん。

ブン先生はダンスがお嫌いなようですね。

というか必須科目にダンスって 貴族みたいだね。


「うふふ、お嬢様 わたくし共は貴族ですからね。毎年学年末にはパーティーがございますし、卒業の時には 盛大な社交パーティーがございますわ。

其処では必ず1曲は踊る必要がありますからね、特に高位貴族の皆様は 王族の方々のファーストダンスの後、まだ人が少ない中でのセカンドダンスを披露しますから大変ですわ。

わたくしは伯爵令嬢でしたから 皆様がワラワラとホールに集まってからしか踊ることがございませんでしたので 非常に気楽に楽しめましたわ」


う、うわぁぁ。それは凄いね。

ということは あれですね、卒業パーティーが婚約破棄イベントの起きやすいアレですか。

いや、けど卒業記念って かなり大掛かりっぽいし、そんなところで “たかだかお前の婚約関係の事とか発表してんじゃねーよ” ってなっちゃうよね。

だったら学年末のパーティーが事件現場かもしれないね。


「うふふ、お嬢様は巷の恋物語をご存じでいらっしゃるのですね。

ですが わたくしが知る限り この学園のパーティーでそのような事件が起きたことはございませんわ」


「私が教師をしてからもないね。そんな事があれば 破棄をする側の貴族とその家族が貴族社会から弾き出されるだろうし、ましてや 王族がそんな事すれば 廃嫡待ったなしだろうね」


どうやらこの学園では悲しい婚約破棄イベントは起きないそうです。

学園に通う皆様 良かったですね。




ダンス教室の他は 丸テーブルが沢山あるお茶会室、楽器演奏を行う音楽室、歌の練習ができる声楽室など、基本的にこの階の全ての教室には防音の効果があるらしいので 音漏れは気にしないで良いとのこと。

何だか教室の種類が 貴族っぽくてちょっと笑う。

ケーテさん ダンスなんてできるのだろうか。

護衛として侍女として同級生になって通うつもりだと言ってたけど、そうなれば このダンスもお茶会も必須だよね?

うん、頑張れとしか言えないね。



本館から 芝生の綺麗な庭を眺めながら石畳の通路を歩けば 食堂棟に到着。

って、食堂だけの建物があるとか驚きです。


「昼食時間は それでもいっぱいになるのだよ。食堂で食べる者もいれば 外の庭でシートを敷いてピクニックをする者もいるし、昼休憩時間は混み合うから 前後の授業間の少し短い休憩時間に食事をする者もいる。

学園長期休み中の今は食堂も休みだけど、通常時は 朝の10時から夕方の17時までやっているからね、早めの夕食をここで食べてから帰る学生もそれなりにいるね」


学生用の食堂だからか 町の食事処で食べるより安いんだって。

であれば 南門を使う生徒たちは助かりそうだね。

食堂はお休みだったので 外から眺めるだけで終わり。


ちなみに食堂の2階は貴族専用フロアで 豪華な食事を食べたい人たちが利用するらしい。

1階は 長いテーブルが幾つか並んでいて相席上等な作りらしいんだけど、2階席は 4人掛けまでのテーブルがゆったり設置されているようです。

ちなみに個室も完備されていて、個室の中には 自宅から専用の料理人を連れてきて 調理できるようなお部屋もあるんだって。

なんだそりゃ~~~!って感じですけど、まあ棲み分けしてんだったらいいのかな?


ちなみに、1階の食堂のお食事は日替わり定食、3つのメニューから選択制で1食500ラリ、青銅硬貨5枚ですよ。

青銅硬貨って持ち歩かない人が多いから、大抵の人はチケットを購入しているらしくって 25枚綴り(1か月分)のチケットで12ナイル(=1万2000ラリ)なので1食分お得。絶対チケットだよね。


で、貴族階で食べることができるのは フルコース料理で 1食10ナイル(1万ラリ)だそうです。

私1階が良いです。というか 2階のお部屋で 自分で作っても良いですか? いや、2階に行くときに貴族に絡まれそうだからやめとこ。


「先生たちも2階で食事する事 あるんですか?」



「「「ないです(わ)」」」


三人揃って同じお答え、私も同じ気持ちです。

本館と食堂は大きな建物だったんだけど、本館以外に目立って背の高い建物はない。

壁に囲まれただけのところと、丸い屋根の建物が2つほど見えるだけ。


「あの壁に囲まれた場所は武術訓練場ですね、手前が第一、奥が第二、丸い屋根は魔法の訓練場で同じく二つあります。

基本的にこの外にある訓練場を使うのは3年生以降に武術専門科を選んだ生徒たちですね」


武術専門科は騎士コースと冒険者コースの二つあるらしい。

騎士コースは所謂お貴族様の騎士である。平民でもこの学園に入れるレベルの後ろ盾があるなら騎士コースを選択することはできるし、卒業後活躍すれば一代爵位だけど騎士爵を頂けるみたいです。

で、そんな貴族が通う学校だけど 冒険者コースなるものがある。

こっちは騎士コースとは違い、実践で戦えるように実地訓練も多いんだって。

騎士コースは礼儀作法とか、王に謁見するときの作法、社交も授業にあるけど、冒険者コースにそれはない。ダンジョン研修は両方やるけど、冒険者コースの方が断然多いんだって。


「武術専門のコースを選ばない人も魔法の練習はあるのですか?」


「勿論ありますよ。基本的な魔法の使い方は大抵実家で学んでいますが、そうでもない方もいますからね、そういう方も生活魔法や盾や壁の魔法は学園で使えるように学びます。

自分の身くらいは護れないといけませんからね」


そっか、お貴族様は トイレは流石に自分でやるだろうけど、お風呂だって完全お任せ洗浄だし 明かりをつけることも、乾燥野菜を作ることも、罠を解除することもないもんね。

そういえば他国では生活魔法を知らないところもあったって言ってたね。


で、食堂棟の裏側、壁の方に回り込めば 大小幾つかの池? 噴水? と大きな木が幾つかある憩いスポットがあった。

通路となる石畳以外は 芝生なのか 短い緑の草が生えているので草原っぽかったんだけど、ここはもう公園みたいに整備されてて凄く気持ちが良い。


「こうした水場が所々にありますし、ああして大樹もあれば 過ごしやすいと生徒たちからも人気なのです。明るくて 広い水場、建物の間にある 少し暗い水場、泳げるほどの大きな水場、生徒の希望を聞いて 少しずつ種類が増えたようですね」

暗い水場とか ちょっと寒そうだけど、それが良い人もいるんだね。


食堂棟と訓練施設を外から確認した後は、南門の方から本館の外を通って 東門の方へ回っていく。

広い!広いよ!

これ 普通の子供だったら 学内を動き回るだけでも体力増強されそうだよね。



「さて、かなり歩きましたが 大丈夫でしょうか?

ああ、ヴィオ嬢とアルク殿は平気そうですが この辺りで休憩しましょうか」


先生が振り返って確認してくれたけど、私とお父さんはダンジョンでも町の移動でも基本は歩きだからね、走ってるわけでもないから大丈夫。

ただ、エミリンさんとブン先生は こんなに歩くのは久しぶりという事で ちょっとお疲れ気味。

まあ 結構な距離歩いたもんね。


ということで 食堂裏と同じように 癒しスポットらしき場所で お昼休憩をすることになりました。

今日は食堂がお休みと聞いていたので お昼ご飯を作ってきているのだ。

お父さんと料理長さんとのコラボランチ、シートを広げてピクニックです。


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