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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第254話 はじめての魔導学園


週明け 木の日の朝、朝のランニングを終えたら クリーン浴ではなくお風呂に入れられました。

今日は学園見学だから 午前の訓練もないからかな?


用意されたのは バルーン袖の白シャツにAラインの紺色スカート、膝が隠れるくらいの長さで制服っぽい感じ。 

スカートの裾には二重の金糸で刺繍されているんだけど、よく見れば魔法陣で習った記号と文字だから これも何らかの保護をされている?


「こちらは形状記憶と汚れ防止ですね。お洋服の場合は こうしてぐるりと一周することで発揮する魔法陣なのですよ」


なんと、基本型は丸と三角の組み合わせだけだと思ったのに、ここで違う形まで出るとは!

でも鎧などのシールド系の場合は 習っている魔法陣を裏に刻むか縫い込むようで、こうした防汚とか形状記憶のようなものくらいしか 書けないのだという。


「ですから こちらのベストのように 魔法攻撃を軽減させるような効果を得るためには 円状の魔法陣が必要となるのですわ」


そう言ってエミリンさんが着せてくれたのは濃紺のベスト、よく見れば濃紺の糸で細かい魔法陣が刺繍されている。洋服だと刺繍で魔法陣なんですね?

まさか、貴族子女の嗜みとラノベで書かれていたのは この魔法陣の為?

確かに紙の上で書くだけでも大変な魔法陣を 糸でチクチクとか絶対無理。


最後に濃い緑のタイツを履いたら いつも履いてるロングブーツを身に着ける。

髪は両サイドの髪を編み込みにしてから後ろで纏めるハーフアップ、薄紫のレースリボンを結んで完成。

と思えば エミリンさんと メイドさんたちが悩み始めてます。


「これは 可愛すぎるわね」


「ええ、ちょっと危険ですわ」


「旦那様が一緒だとは言え 教師たちから声をかけれて足を止めれば 他の者達からも見られますわ」


難しい顔をしながら相談する事2分ほど、レースのリボンが解かれて 久しぶりに黄色い色変えのリボンを装着された。

たちまち変わる茶色い髪色は 久しぶりに見たけど 制服みたいに見えるこのお洋服には こっちの方が似合っていると思う。


「ええ、こちらでも可愛らしいですが まだ色で目立つという事はないでしょう。

お嬢様、学園は様々な人が出入りいたします、危険性を少しでも排除するために 色変えをさせていただきますね」


「大丈夫です、お父さんとお揃いの色は好きだし、このお洋服も何だか制服みたいで こっちの色の方が勉強出来る生徒みたいに見えるから」


ピンク髪の学生ってヤンキーみたいじゃんね。

そう思って伝えたら 本物の魔導学園の制服だと答えが返ってきてびっくりした。

折角学園に行っていただくなら 学生気分を楽しんでいただきたくてって。え?魔法陣とか入ってる制服とかバカ高くないです?


朝食時にお父さんへ支払いの事も相談してくて聞いたんだけど 既に制服の事は知っていた。


「ははっ、ヴィオ嬢が 制服を着て学園に行くことで 通っても良いかもと思ってほしくて用意した賄賂だからね。勿論 強制ではないんだけど 折角だから 通っている気分を楽しんでもらえると嬉しい」


なんと!

学園は様々な種族の人が通うだけあって、この制服もドワーフの生徒達用のものらしい。オーダーメイドではなく既製品だから そこまで高い訳ではないと 支払いも拒否された。

多分これも 回復魔法の功績云々ということなのかな。ありがたく受け取ります。





学園までは馬車で移動です。

宿があった方には正面玄関があるけれど、そちらだけだと貴族が通いづらいので 反対側にも門がある。

というか 東西南北に門があった。

主に他国から通う生徒たちが入る寮がある東門

リズモーニ国内だけど領都にタウンハウスが無い生徒たちが入る寮から近い西門

冒険者登録をして 活動もしている外延部の町に定宿を持っている生徒たちは南門(正面玄関側)

そして領都にタウンハウスを持つ生徒たちは北門を使うようだ。



大きな門には 警備のための騎士が立っており、貴族が通う学校なんだなと納得。

例の如く ブン先生が御者をしているからか 顔パスで通過。中身の確認とかはないんですね。


「まさか儂が魔導学園に足を踏み入れることになるとはな……」


まさかのお父さんが一番緊張しているというレアな状況です。


「アルク様 学園はこの長期休暇期間中、生徒の家族や 来年度以降に入学希望の学生と家族が見学に参りますの。お嬢様が制服をご着用なさっていますから、わたくし共も お嬢様の身内だと思ってもらえますわ」


エミリンさんが説明してくれているんだけど、この制服を着せられたのは そんな理由もあったのですね?

お父さんも一般人の立ち入りあると聞いて 少しほっとしたみたい。

お父さんにとっては 上級ダンジョンの方が気楽なのかもね。


門を通ってしばらく走った馬が停車したのは 玄関ポーチのような場所、丸い花壇は馬車が一定方向からしか入れないようにしているのかな?

ていうか ここ学校なんですよね? 外からは壁で見えなかったんですけど 広すぎません?

門から学校までも結構ありましたよね。そして馬車の窓から見えたのは宮殿ではないのでしょうか。

世界遺産とかを紹介する番組でも見た事があるような、イギリスとかの宮殿みたいですよ。


「旦那様、私は馬車留めに預けてから追いかけます」


「そうか、では本館校舎から案内しているので追いついてきなさい」


本館という名があるのであれば 別館も勿論あるんだろうね。

大きすぎて全体像が全く見えないけど、宿から先生の家に行くまでの馬車が走った距離を考えれば この敷地の広さが伺えるというものだ。


というか 魔法の権威と言われる先生が案内役!? それっていいの?


「ん? 私の案内が不思議かい? まあ 私はあまり案内役をすることはないけれど、教師が案内をするのは珍しくないよ。

特にエミリンとスティーブンが私の生徒だったこと、今は屋敷で働いている事は 学内の教師なら皆が知っている。

そのエミリンが一緒にいて 学生に見えるヴィオ嬢がいるのであれば エミリンの身内だと思われるだろう。であれば 私が共に居てもおかしくはないという事さ」


まあ家で働いてくれてる人の身内なら 案内役をしてもおかしくないのかな?

というか 他の先生たちも案内役をするって この学園で働く貴族たちは 意外とフットワークが軽い?


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