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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第237話 出発


ケーテさん一家とのダンジョン散策はとっても楽しかった。

多分、テーアさんとタディさんとの旅だと お兄ちゃんたちの旅と同じくらい常識を知らずに行動していただろうけど、ケーテさんとガルスさんのお陰で 普通の冒険者とは。というのを学ぶことが出来た。

他の冒険者と一緒に行動するのは 出来るだけ避けた方がいいというのも 改めて実感したね。


※注 ケーテ達も金ランクに育てられているので普通ではありません ※


フルシェのギルドで踏破の手続きをしたけれど、金ランクと銀ランクが付き添いで入ってるから 全く問題なく、非常にスムーズな手続きをしてもらえたよ。

多分 ラスボスも大人たちが中心になって倒したと思われてるけどね。


そしてテーアさん達は ダンジョン内で言ってた通り これから川を北上してグーダンを目指すらしい。

私たちが来た道を逆走するって事だね。

唐揚げ用の 深い鍋を購入することはお勧めしておいたよ。




4人と別れて 私たちは王都行の準備です。

ケーテさん達は直ぐに出発したけど(どれだけ豊作ダンジョンが楽しみなのだろうか)私たちは 武器のお手入れを依頼したので フルシェの町に2泊3日したんだ。


もちろんお宿は〖招き猫亭〗

踏破したことを告げれば あまりの速さにルルムさんがびっくりしてたけど、息子のロンダくんが冒険譚を聞きたいと言ってくれたので、夕食時間には お喋りも楽しんだんだ。

長女のリンダちゃんは お母さんのような女将さんになりたいと、看板娘としてお宿の手伝いをしているらしいけど、長男のロンダ君は 冒険者になりたいんだそう。

洗礼してギルドの登録もしたらしいけど、まだ町中依頼だけなので 青銅ランクになったばかりなんだって。

もしこのまま本気で冒険者を目指すなら、銅ランクになった後 しばらくリリウムさんのところに預けることも考えているっていう事だけど、年下のレン君との差にショックを受けなければいいね。



武器を受け取り ルルムさん達一家にも別れを告げれば フルシェの町を出発だ。

ここから王都までは 真っすぐ南へ街道を進む。

王都から ダンジョンまでの直通馬車だと半日、徒歩だと2日弱の距離だ。流石に今も馬車が行き来している道なので ウインドダッシュは出来そうにない。

仕方がないので 普通の冒険者親子風の速度で歩きましょう。


「お父さん、歩いてる人たちも結構いるね」


「王都までの道じゃからな、街道整備は行き届いとるし 盗賊なんかも流石にこの近辺は避けるから 危険性が少ない。

であれば 馬車代を節約するために歩く人も増えるんじゃろうな」


そうか、私たちも 川からの移動の時に初めて乗った(半日で降りた)けど、それまでの旅は歩いてたもんね。

麻袋のようなものを沢山積んだ押し車を運ぶ人、若い冒険者パーティーと思われる3人組、小さな馬?ロバ?に女性が横座りで乗っていて、その動物を引いている男性。

色んな人が行き交う道は 今までで一番活気があるように見える。


遅すぎる人たちは抜かしていくけど、あの速度だと 休憩場に何時くらいに到着するんだろうか。まあ 索敵にも魔獣の気配が一切引っかからないこの辺りなら 街道沿いで雑魚寝をしても スリ以外の危険性は少なそうだけど。


道行く人たちを観察しては どんな人なのか、何をしに行く人たちなのかを想像しながら お父さんとああでもないこうでもないと楽しく話しながら歩いている。

勿論 聞かれたらちょっと……という内容は【サイレント】を使っている、その辺抜かりないのだ。


セフティーゾーンとなる野営地は沢山の人が居て、馬車もテントも今までになく所狭しと設置されていた。

流石にこの中で泊るのは……と思い、お父さんの抱っこスタイルで脱出。

同じ様な人はそれなりにいたようで、街道沿いに点々と天幕やテントが張ってあったので、私たちも それに倣って ある程度離れた場所にテントを設置した。


「今日は流石に儂が準備する。ヴィオはちょっと待っとれ」


ということで お父さんのリュックを見張る役目を頂きましたよ。

ササっといつも通り【アースポール】でテントを吊り下げ、結界の魔道具を テントを囲むように4点設置した。入口のスペースが少し広めになっているのは何故だろうか。


「お父さん、結界 入口のところ広くない? いっつもギリギリにしてるよね?」


「ん?あぁ、今日は食事も中で軽く食べるくらいになるじゃろうし 夜にトイレに行きたくなったら困るじゃろう? 儂は外でええが ヴィオは中で出来るようにな、したくなったら儂が外に行くから遠慮せんと言うんじゃぞ」


まさかの私のトイレ事情を酌んでくれての事でした。確かにこれだけ開けた街道、トイレ事情がちょっと困ってたんだよね。流石に脇道に逸れたところで 急に土壁が出来たら驚かれるし、所々にある 明らかにトイレ用に残されていると思われる 背の高い草むらとかで頑張った。

夜の草むらとかちょっと足元が見えなくて嫌だなって思ってたから 非常にありがたいです。


トイレ問題も解消されたところで テントに潜り込む。

健脚な大人冒険者は まだまだ距離を稼ぐべく 通り過ぎていくし、馬や馬車もまだ走ってる。

街道はそういった人が通るので、私たちのようにテントを張る人たちは 街道から5メートルくらい離れた草むらだ。道に近すぎると砂埃もあるしね。


そんな人通りが多いので今夜と明日の朝は 作り置きご飯をテントで食べるだけだ。

とはいえ、こうなることは予想してたので ピタパンサンドを含めた色々を〖招き猫亭〗で作ってきている。ついでだからルルムさん達にも 醤油と味噌で作るレシピを教えてきた。

2袋ずつ素材も渡してきたので、是非楽しんでもらいたい。もしかしたら 素材採集の為に冒険者復活するかもだね。

奥さんの出産までは お宿の通常営業はしないらしいので、その間に練習をしてくれたら看板メニューになるんじゃないかな。


「ルルムのやつ、調味料目的でダンジョンに行きそうじゃったな」


から揚げを食べながら お父さんがボソリと呟く。まさに同じことを考えてたよ。


「ルルムさんが、っていうより 奥さんにせっつかれそうだよね。煮物と味噌炒めに大興奮してたし。ナムルも結構気に入ってたよね」


から揚げは男子に大好評だったけど、油で揚げるところを見ていた奥様的にはカロリー的な心配をしていたんだよね。美味しいからこそ危険だわ、って呟いてた。

それに比べて煮物もナムルも味噌炒めも野菜をたっぷり使っているから 罪悪感が少なめなのだろう。

王都近郊にも小さいけど豊作ダンジョンはあるらしいので、息子さんを連れて採集に行ってくださいませ。


スープはフリーズドライの物にお湯を注げばいいだけなので、これもテントの中で頂く。

結界も既に設置済みなので 匂いも音も気にしないでいいのは気楽である。一応索敵は続けているけど、範囲はテントの周辺10メートルくらいだけにしている。

クリーン浴をして トイレを済ませれば 後は寝るだけ、おやすみなさい。




翌朝、テント襲撃なんてイベントも起きることなく起床。

まあ 王都の目と鼻の先でそんな事をする奴はいないということで お父さんも一緒に寝たくらいだしね。

朝食を終えれば いよいよこの国の一番大きな街、首都リズモーニだ。

ドゥーア先生は覚えてくれているだろうか、会えれば嬉しいけど 水生成魔法の事で忙しい可能性も高いから 期待はしないでおこう。


そんな少しの不安と、期待、大きなワクワクを抱えて お父さんと街道を歩いた。

いよいよ首都に向けて出発です。

エルフ先生との再会までもう少し

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