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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第233話 フルシェ遺跡ダンジョン その15



ダンジョン7日目となりました。

相変わらず 他のパーティーに会うことが無いため、ケーテさん達の魔力操作訓練は順調です。

昨日からは午前に索敵をした方が 昼食時に水生成魔法で お昼のスープ鍋を満たすこととなり、午後の索敵をした方が 夜のスープ鍋を満たす役割分担をし始めている。

樽一つ分じゃなくても 十分練習になるし、折角作った水が無駄にならないのは良いことだ。


今日は12階の散策をしてから 13階を回る予定。

とはいえ 普通の宝箱は 先行した人が開けている為 空箱だし、私たちに残されているのは 通路の中央に置かれている 明らかに罠があります!って主張している宝箱、それから パニックルームと その中にある宝箱だけだ。


「普通の宝箱の中身も 魔獣と一緒にリポップするの?」


「考えたことが無かったけど 多分そうだと思うわ。一度でも開けた宝箱が空のままなのであれば 殆どのダンジョンにある宝箱は空のはずだもの」


そっか、確かにそうだよね。出来立てホヤホヤのダンジョンにしか宝箱存在しない説が出来上がっちゃうじゃんね。


「そうだな、それにこのレベルのダンジョンだったら 確実にパニックルームにある宝箱の方が高価で希少な物が入ってるぞ。

あと、どう見ても罠があると分かっている宝箱は 罠解除ができる斥候が居ない奴らは開けないな」


ここに来るまでに 数箱 罠あり宝箱を開けてきている。

短い矢が飛び出してきたもの、開けたと同時に色水が割れて盾の内側が真っ赤に染まったもの、バネの玩具みたいなのが飛び出してきたものなどだ。

どれも索敵で内容物を確認したうえで 水の盾によって保護した状態で開けたので 全く問題なかったけどね。


「あの罠あり宝箱が全部残ってるって事は、先行している人たちに斥候が居ないって事なのかな」


罠ダンジョンに来てるのに 解除の練習をしないとも思えない。壁や天井、床にあった罠も、私たちはどんな罠が出るのかを 楽しみながら発動させてたけど、魔獣が少ない階でも全部そのままだった事を思えば、先行者は 罠を避けて通っているんだと思う。

何のために このダンジョンに来ているのだろうか、謎だ。


「まあ だけど 休憩できる小部屋が確実に一つは空いてるわけだし ペースが速くていい事よ。

3週間はかかると思っていた踏破も 思ってた以上に早く済みそうだわ」


テーアさんの言葉に それもそうだと納得する。

先行者の目的も 罠の練習ではなく、ダンジョン踏破の数を稼ぎたいのかもしれないしね。

そんな風に思い直し 再び上階を目指す。そして13階に到着したところで はじめて自分達以外の冒険者の存在を確認した。


「母さん、5人組がいるわ。小部屋にいるって事は休憩中って事よね。この場合 どうするべき?」


13階の魔獣は 下に残っていたのと同じくらいの数だ。今居るパーティーが 先行していた人たちなのだろう。だとしたら 今は軽食休憩か、早めの昼食休憩かな?

午後に14階を目指すなら パニックルームも開けれるけどどうだろうか。


「そうね、小部屋は二つ、そのうち一つはパニックルームね。今居るパーティーが戻る人なのか 進む人なのかにもよるかしらね」


ああ、全くその考えはなかったけど 戻ってきている人って可能性もあったのか。

その場合は下の魔獣を倒していたパーティーは 既にこの階にはいないってことだね。


「お父さん、その人たちが個室にいるなら 私たちがパニックルームを開けてもいいんじゃないの?」


「そうじゃなぁ、壁をするから 漏れ出ん可能性はあるんじゃが、パニックルームを開けると叫ぶの(シャウト)が必須じゃと言うたのは覚えとるか?」


勿論覚えている。その階層を走り回る事になるから いる可能性を考えて 開けちゃった人は必ず叫ぶんだよね。


「パニックルームを開けると 中にいた魔獣が一気に出てくると同時に 独特の威圧、あれじゃ 儂やトンガが 戦う時に見せる魔力の圧があるじゃろう? あれに近いもんが発せられるんじゃ」


「そう、だからある程度慣れている冒険者なら パニックルームが開いたのは 肌で感じることができるわ。討伐に出ることもあるし、回復中であれば 自分たちは【アースウォール】なんかで身を守って退避することもあるわね」


「あぁ!って事は この階でパニックルームを開けちゃうと、今居る冒険者にも気付かれる可能性があるって事なのね?」


お父さんとテーアさんの発言に ケーテさんが気付いた様子。

壁を作ってから開けている現状、あまりその圧を感じてないから大丈夫だと思うけど、討伐中に出てこられても困るから開けない方がいいだろうという事だった。

残念だけど仕方がないよね。


という事で パニックルームは放置して そのまま階層をうろついている魔獣だけを討伐して歩く。索敵で場所を確認しているけど 突然出てこられても大丈夫なように 私は短剣と 魔法だけで戦っております。


「ヴィオでも 短剣じゃオークを倒せないのね。ちょっと安心したわ」


「私の手が小さいから どうしても剣も小さいからね。力も強化してるけど 元々が少ないし軽いから オークの皮膚は無理なんだよね」


だから魔法で攻撃するんですよ。

ケーテさんから見る私は 学び舎に来たばかりの 訓練場を走るだけでヒーヒーしてた時代だから、急に強くなってビックリという事なのだろう。

勿論その間に手合わせもしてるんだけど、やっぱり最初の印象が強かったんだろうね。

だからこそ、まだそんな幼女な部分が残ってて安心らしい。

私の印象どうなってんの?って逆に不安になったけどね。



「あれっ、ほんとに人がいた」


「でしょ? 私耳が良いんだもん。絶対いるって思ったんだぁ」


うわぁ、なんか面倒そうなのが来た。

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