第222話 フルシェ遺跡ダンジョン その4
食事を終えたところで 【クリーン】で綺麗に片付けますよ。
お父さんが作ってくれたテーブルも 土魔法ですから元に戻します。
「土魔法をそんな風に使うなんて考えたことが無かったわ……」
「ケーテさんは 土魔法も得意になってるから 出来ると思うよ? 机があった方が 沢山並べられるし 食事の時は便利だよ。
食後に戻せば スペースも広がるし 魔法って便利だよね」
「そんなに 便利に使うなんて あまりいないと思うわ……」
お兄ちゃんたちも 今は便利に使ってるよ?
是非 魔力操作の訓練頑張ってください。
「気力も体力も思った以上に回復したし、とりあえず3階のセフティーゾーンを目指しましょう。この子達が先導すれば時間がかかり過ぎるから、今日のところは ヴィオにお願いしたいのだけど 大丈夫かしら?」
「うん、大丈夫。じゃあ 壁を消すね」
リポップ組はなかったようで 魔獣はいなかったので 土壁を消して 3階を目指して歩く。罠も全部解除というか 発動させたので リポップ時間と同じだけ経過しないと 再発動はしないらしい。
マッピングをしているので 迷子になることなく3階に続く階段へ。
階段を上り切ったところで【索敵】を展開。
やはりここにも冒険者の姿はなく、魔獣も満遍なくいるようだ。床ではなく 壁に罠が3か所、部屋が2つ、それから珍しいけど 通路に宝箱がひとつある。
「冒険者はナシ、壁に罠が3か所、お部屋が二つだけど パニックルームじゃないけど どっちかが今日の夜営地かな。あと 4階に上がる階段の近くの通路に 宝箱っぽいのが一つあるよ」
「へぇ~、そんな細かく分かるのね。私も練習するわ」
「これは 冒険者として覚えとくべきだな。アルク良いのか?」
「ギルマスたちには伝えとる。教える相手は選んどるが お前さん達なら悪用することも それを伝える相手も選べることもわかっとるからな」
お父さんたちの言葉を聞いて、うっかりいつも通りに索敵結果を伝えてしまったことに気付き焦った。
まあ 二人の言葉に 敢えてやらせたって事も分かったけど、先に教えといて欲しかったです。
「ケーテも、辺境伯の護衛騎士になったとしても この技は 周囲に教えない方がいい。もしもの時の為に辺境伯閣下にだけ伝えるなら良いが、騎士団長にすら 伝えるのはどうかと思う。
伝えるなら閣下から伝えるだろうから お前は 使えることを他に知られないようにしておきなさい」
確かに 権力者には垂涎の能力だろうけど、そこから 色んな人に使われちゃうと そのうち悪人も使い出しそうだよね。
テーアさんからは その能力を隠すために 聴力強化、視力強化、気配察知の能力をしっかり伸ばしなさいと言われています。
そうか、それを駆使して 気付くのが早いって思わせるんですね。なんか 格好良いね。
さっきまでの 唯々固まっていた時とは違い、真剣に見つめてくるようになった兄妹。視線で火傷しそうですよ。
そんな冗談はさておき、このダンジョンは5階おきに階層が広がるようで、3階のここは2階と同じくらい、魔獣も同じ種類だけ。素早さとかが早くなっている筈らしいけど あまりにも微調整なのか 分からないレベル。
お父さんからの指示もあり、シカーバット以外には短剣での攻撃をしています。
忘れてましたが コボルトの咆哮は やっぱり私に効果はなく、敵を招くだけの攻撃だったんだけど、どうやらケーテさんには効果があったようで、しばらく震えが止まらなかったみたい。
今まではコボルト戦の時には 水の盾を自分に張ってから攻撃をしていたらしく、まさか生身(結界鎧があるんだけどね)で 行くとは思ってなくて 水の盾を張り損ねたらしい。ごめんね。
満遍なく敵を殲滅しながら到着したのは罠のある場所。
今度は壁にある罠を 再びテーアさんに解説してもらっています。
「壁の罠は 飛び出し系、落ちモノ系、吹き出し系の3種類が多いわ。
この場合は ここ、丸い印があるでしょう? 丸は 石に関する物ね。多分このレベルのダンジョンだったら 石が降ってくる感じかしら。通路的に大岩が来るような斜面じゃないしね」
おぉ!大玉転がしならぬ 大岩転がしがあるんですか?
風雲!タ〇シ城 を知る私としては 大興奮のイベントですよ?
それは置いておいて、テーアさんが少し離れたところに下がるように言い 槍で壁の罠を叩いた。
パラパラパラ
叩いた途端 天井から石が……、いや 小石が降ってきたね。
これは 痛いというより うっとおしいって感じのレベルでは?
その後2か所も 水がシャワーのように降ってくる、蔦がビロ~ンと伸びてきてびっくりするという体験をして罠は終了した。
あの蔦は何だったんだろう。
しばらくしたら消えたけど、水も魔法だからか 水溜りになることもなかったしね。
ダンジョン様の お戯れだろうか。
そんな感想に答えが出る筈もなく とりあえず小部屋に向かう。
部屋の主は1体だけ。多分ピッグ、いや ボアかもしれない。あの二種類は よく似ているので身体を見ないと見分けがつかない。
「ボアかピッグなので 今夜のお肉になることを期待してます。あ、私がやっちゃっていいのかな」
「肉……、そうね 期待しておきましょうか。
ヴィオの魔力と体力に問題が無ければ お願いしても良いかしら?」
「うん、じゃあ行くね」
索敵くらいじゃ魔力はあまり消費しないからね。短剣と鞭をよく使ってたから魔力は問題なし。体力も森程の歩く距離がないから問題なしだ。
という事で 扉を開いてご対面したのは 小さめのボアさんでした。
私たちの姿を見た途端 臨戦態勢で沈み込み 猛ダッシュを仕掛けてくるけど 既に壁は作ってますよ。
ドーン
透明なのでボアは気付かず水の壁にぶつかり 少しふらついたところに【エアカッター】で首チョンパです。もうエアの方が便利すぎて ウインドの方を全く使ってないね。まあいっか。
吊り下げを忘れてた!って思ったけど ここはダンジョンでした。
キラキラエフェクトの後、大きな葉っぱに包まれたお肉が鎮座しておりましたよ。
やったね 肉ゲットだぜ!
 




