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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第220話 フルシェ遺跡ダンジョン その2


階段を下るのではなく 上がるのがこのダンジョン、2階に到着したところで 【索敵】を展開。

魔獣の姿は点々と確認できるけど 特に冒険者らしい姿は見えない。洞窟タイプなので 床、壁、天井全てを丸っとマッピングできるのは非常に便利である。

そして 多分アレが罠のある場所なのだろう、全体がグレーで描かれるマップ上の床に 一部 白いタイルのようなものがあった。

そのまま進めば 行き止まり。という道の途中にあるので もしかしたら注意喚起のためにあるのかもしれないね。


「ふむ、この階には 冒険者の気配はないね。じゃあ 三人で散策してみなさい。罠の体験が初めてのヴィオの為にも 全ての通路を確認するようにね」


「「わかった(わ)」」


テーアさんが 周辺を確認して 二人に告げる。ケーテさんと ガルスさんが了承し、ガルスさんの先導で歩き始めたんだけど、テーアさんは【索敵】で確認したのだろうか、それとも別の何かで冒険者の確認をしたのだろうか。一緒にいればそのうち分かるかな?


お外とは違い 真剣な表情で歩く兄妹、会話も殆どなく 耳を澄ませているって感じ。

聴力強化すれば……、というか【索敵】はしてないのか?


最初の通路から まず右の通路に行くようだ。

通路の先には スモールラットが数匹、その奥の天井にはシカーバットが待っているのがわかる。


(止まれ、先、小さい、魔獣、数匹)


通路に入る前に ガルスさんが停止の合図をして 口パクと手で この先の魔獣を示している。

え? これ毎回するの? 凄く手間がかかりません?

そう思ったけど、もしかしたら 私の為に敢えてやってくれているのかもしれないから 様子を見ることにしよう。

ガルスさんの合図に ケーテさんも真剣に頷いており、ケーテさんからヴィオは待っててと言われたので そのまま待つことにした。


二人が静かに飛び出していった先には やはりスモールラットが3匹、ガルスさんが立ちあがった2匹を剣で斬り、もう1匹をケーテさんが槍で突き刺した。

キラキラエフェクトが出た後に残ったのは いつもの尻尾。二人もこれは捨て置くつもりのようで 戻ってきた。

先のシカーバットはまた後で処理するのかな?


ちなみに お父さんたち大人組は 私たちの10m程後ろからついて来ているので あのやり取りも見ていた筈だけど、お父さんはどう思ったんだろうか。

距離が遠いし 多分私たちに聞こえないように何か話し合っているようだけど、必要な事であればまた教えてくれるだろう。


「スモールラットだけだったから 倒しちゃったけど、次はヴィオもやってみる?」


ケーテさんがにこやかに言ってくれるけど、近接二人だったら魔法でやった方が良さそうかな?


「うん、私は 二人の近くだと巻き込みそうだから 魔法で攻撃することにするね」


「ああ、短剣と鞭だったよね。そうだな、確かに 俺たちが近接だから 遠距離攻撃があった方が助かる、じゃあ ヴィオちゃんもよろしく頼むね」


タディさん達との対戦時は 鞭も短くしたもので対戦してたから 近接のイメージが強いのだろう。

間違いでもないけど、鞭の攻撃は結構危険だから 人がいる時は巻き込みそうで使いづらいんだよね。

魔法の使用に許可が出たのであれば 遠慮なく参戦できそうだ。


という事で進んだ先にはシカーバット、ここでも 少し手前で【アースウォール】をガルスさんが作り 停止させられ (飛ぶ、魔獣)と口パクされた。うん、知ってる。

兄妹二人で方針を決めたらしく、私には魔法で補助をよろしくと言われた。

どうやら飛んでる相手は ケーテさんの槍で行くみたいだね。ってか、ケーテさん魔法はどうしたんでしょうかね。


ガルスさんが土壁を崩したところで ケーテさんが飛び出したんだけど、私は場所をそのままに 魔法でやりますよ?


「【エアショット】」


指ピストルで 空気弾を5発。1匹だけ避けられて羽を貫通するだけになったけど、後の4匹は眉間に当たったようですね。

フラフラと落ちてきた1匹を 驚いた様子のケーテさんが 槍で切り落としたら キラキラエフェクトの後に 蝙蝠の羽だけが残った。


「えっ!?」


「ヴィオ……」


隣で固まっている ガルスさん、蝙蝠の羽が足元に積もっている中 固まっているケーテさん。

あれ?駄目でしたか?


「魔法で攻撃するって言ってたけど 駄目だった?」


「いや、言ったし 駄目じゃない。駄目じゃないけど 詠唱は?」


ガルスさんが遠い目をしながら言うんだけど、訓練の時も詠唱してなかったよね?

あれ?ってか そうか、ケーテさんや ガルスさんの時は短剣か武闘の組手が多かったから 魔法との混合でやったことはなかったね。

それは テーアさんと タディさんの時だったと思い出す。それでも詠唱してたかどうかは……自分の対戦相手とやるだけで必死ですよね。


「どうしたの? いつも以上に時間がかかってるわよ」


「母さん……」


心配したテーアさん達が 私たちの近くに来て 何があったのか確認される。

お父さんは聞きながら 笑ってるけど、そうなるのは分かってたって事かな?


「ケーテも 学び舎で使うようになってから土魔法は無詠唱だろ?

ヴィオはそれが他の魔法もってことだろう。それからな、ここまでの散策を見てて 先にヴィオのやり方を見るのも一つだと分かった。

てことで、ここからは ヴィオが先導、俺と母さんが殿を務めるから お前たちもよく見ておけばいい。

ガルス、下手したら お前より ヴィオの方が先に金ランクになるかもしれんぞ」


「「えっ!?」」


えっ!? タディさん なんてことを言うのです、それってどんなハードルのあげ方ですか?


「まあ ヴィオはいつも通りに動けばええ。罠の場所は確認済みじゃろう?」


焦ってたら お父さんからいつも通りで良いとお達し。

ふう、びっくりしちゃうじゃない。

ケーテさん達は 大丈夫?と心配げだけど、この階にそんな心配されるレベルの魔獣はいないですよ?


そう思いながら 【索敵】で確認し終えている通路を順に歩いていく。

お父さんと二人の時でも ダンジョン内では 然程会話をする訳ではないので 静かに、だけど ケーテさん達程の緊張感はなく歩く。


通路の向こうではスモールラットを追いかけるゴブリンがこちらに向かって走っているのが分かる。曲がる手前で その情報を後ろの二人に伝えてから角を曲がる。


「【エアカッター】、【アースランス】」


ゴブリンには首チョンパ魔法を、スモールラットには 進行方向の床から 斜めに土の槍を生やすことで 自ら槍に刺さりに行った感じだ。


「【エアバレット】」


その直後 シカーバットが数匹飛んできたので 複数匹の敵に効果的なバレットで攻撃をすれば 通路がキラキラになってしまった。

おぉ、消え切る前に次が来ると結構派手だね。


だけど特に欲しいドロップアイテムではないのでそのまま通過。

大丈夫 スライムさんが片付けてくれるからね。


途中 T字路になった場所で 左右からコボルト、前からゴブリンという複数の敵が来たんだけど、これも何度も練習しているので いつも通りに対処する。


「【エアウォール】」


まずは風の盾で分断する。土壁にしないのは相手の顔が見えないからだ。中が見える水の壁か風の壁は便利。風の場合は 触れば怪我もするしね。

ドンドンと壁を怒りに任せて叩いているコボルトは放置しておいて、先にゴブリンから片付けましょう。

鞭に砂の魔力を流し 振り抜けば 胴体部分で真っ二つ、そのまま壁越しにコボルトにも鞭を振るえば 3体の魔獣がエフェクトと共に消えていく。


ふぅ、魔獣が多めの通路から歩いてきたけど こんなもんかな?

後は 罠の道だね。

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