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第22話  魔法の授業


5人で一緒に部屋に入った途端に違和感を覚える。何だろう。


「あらぁ、何か困ってるのかしら?」

「まぁ、どうしたの?」

「あらまぁ、私たちで分かる事かしら?」


私がキョロキョロしていると、三姉妹がどうしたのか質問してくる。

なので、部屋に入った時の違和感を伝えてみた。


「あらぁ、そうね、このお部屋には魔法がかけられているからかしら。」

「まぁ、それを感じたのね。このお部屋は 魔法の練習や武術の練習があるから、壁とかが壊れないように沢山魔法がかけられているのよぉ。」

「あらまぁ、私たちは気付けなかったのよ~。ヴィオちゃんは魔法が得意なのかもしれないわぁ。」


三姉妹が教えてくれるんだけど、話し始めは必ずマーレさんからなんだよね。

打ち合わせをしている訳じゃないようだけど、これが三つ子のなせる業なのか?

しかし、魔法ね……。

防御結界とかは確実だよね。学び舎の生徒だけの為にある場所じゃない筈だから、大人たちの訓練だと相当激しそうだし、強力なのが張ってるんだろうね。


「あとは、空間を広げる魔法陣が使われているわよ。実際の部屋の倍くらい広くなっているわ。

はじめまして ヴィオさん。人族のアリアナよ。魔法学を教えているわ。」


「はじめまして、ヴィオです。よろしくおねがいします、アリアナ先生。」


空間魔法!マジックバッグがあるから 存在はしていると思ったけど やっぱりあるんだね。

声をかけてくれたのは女性の先生。この先生も人族なんだね。

お父さんがお手本にすればよい先生だって言ってた。


先生が入室したところで一つ目のベルが鳴り、生徒たちが入ってくる。

部屋の中は地面というか……うん、地面だね。

何て表現していいか分からないけど、石畳とかタイルはない。土が踏み均された地面だ。

入口の扉を入って左右と奥、コの字型に階段状の段があり、生徒たちは好きな場所に座る。

壁とか無いけど、ベンチ代りなのかな?



チリ~ン チリ~ン


「はーい、じゃあ始めますよ。

三姉妹は今日も魔力操作の練習ね?

それから6歳以上組は攻撃魔法と 補助魔法の練習ね?

的は出しておいたから、順番に使いなさいね。

それから5歳の3人は、生活魔法の練習ね。」


ここでも年齢別なんだね。

まぁ魔力の差もあるだろうし、自己紹介でも言ってたことを思えば生活魔法をクリアしてから攻撃魔法とかの練習をすることになってるのかな。

しかし、最年長さんが魔力操作?

ギルマスたちが 驚いてたのは これが理由かな?

はじめに魔力操作してなくても魔法が使えるって 凄いと思うけど、魔力操作に慣れてからの方が 魔法って使いやすいんじゃないのかな?


「兄ちゃんファイアボールできるようになって恰好いいのに、おれ まだ生活魔法なんだよな~。ちぇ~。」


ちょっと拗ねているレン君を見て、攻撃魔法を使いたがる子供たちの為に その順番にしているのだと理解した。

先に魔力操作をさせようと思っても、見えるものではないから 続かないんだろう。

実際に使ってみて、威力が安定しないとか、そういうことを経て 操作の重要性を実感させて、単調作業でも嫌がらずに出来る年齢になってからやらせる。という事なんだろう。


「わぁ~なんでこんなに!」

「とりあえず的に向けて飛ばせ!」

「ファ、ファイアボール‼」


ド~~~~ン


レン君の兄、ルン君が打ち出したファイアボールはテニスボール大だったのに、今 兎のトニー君が出したファイアボールはバスケットボール大だった。

狙ったわけではなく、大きくなっちゃったんだろう。

「おっきくなっちゃった」が許されるのは、マギ〇信二だけだろう。


アリアナ先生が駆けつけて、双方から話を聞いた後、トニー君をめっちゃ叱ってます。

新入り()に良い所を見せようと思って いつもより気合を入れたら、気合じゃなくて魔力が多めに入ったらしく 暴発寸前になってしまったらしい。

良い所ではなく、あやうく恐怖体験をするところだったようです。

トニー君たちが無事で良かったです。

安心と魔力切れでベンチに横になっているトニー君の顔色は少し悪い。


「魔力切れは頭痛や吐気、めまいなどの症状を起こします。

それで死ぬことは有りませんが、場合によっては気を失うこともあります。

こうした訓練場では大丈夫でも、魔物の討伐をしているときに そのような状態になれば 魔物によって殺されることもあるでしょう。

自分の魔力残量は常に気にしておくことと、無茶な魔法は使わない事を大切にしましょう。

一度は魔力切れも体験しておくと良いですが、必ず安全な場所で行いましょうね。


魔力は 寝ていれば自然に回復しますが、討伐現場などでは魔力回復薬を使うこともあります。

回復能力の高い薬程 高価になりますし、自分の魔力量の最大量を大幅に超えるようだと 魔力酔いという症状が出ることもありますので、自身の魔力量を知ることはとても大切ですよ。」


MP切れで死ぬゲームもあるけど、ここでは最悪気絶で済むんですね。

魔力枯渇で最大MPが上がるというのは ラノベやゲームの定番な訳ですが、ここではどうなんだろう。

生活魔法は 魔力が少ない人たちでも使えるようにと改良されたものらしく、一日に何度クリーンをしても減った感じはしない。

となれば 生活魔法以外の練習をしないと 枯渇からの回復は出来ないかもしれない。

ふむ、資料室で 安全な攻撃魔法以外の 自宅でも出来る魔法を調べてみよう。


先生の説明を聞きながら 「トニー大丈夫かなぁ」と心配しながら私の左腕に掴まっているハチ君と 「お、おれ まだ攻撃魔法使えなくて大丈夫だ」と 震えながら 私の右腕に掴まっているレン君を どうしたら良いかなぁと思っていたりする。

二人の尻尾は ビビり過ぎて 完全に自分の股の間に収納されている為、幸せパンチはない模様。



「あらあら、二人ともヴィオさんを護るのではなく 護ってもらっているのかしら?」


回復薬をトニー君に飲ませて 上の子達に練習を続けるように指示した先生が戻ってくる。

そして少し困った顔の私を見て、状況を把握してくれたようだ。


「ち、ちがっ。ヴィオが怖がるかと思って守ってたんだ。」

「ぼく ちょっとこわかった~。びおも怖かったよね?」


バっと手を離したレン君と、素直に怖かったと認めたハチ君。


「私は(近くにいるモフモフ(魅惑)に抗えなくなりそうなのが)怖かったかな。」


先生は副音声《心の声》が聞こえてしまっていたのか 笑ってるけど、特に突っ込まれることはなく、生活魔法の練習を見てくれることになった。



「「「クリーン」」」


手を洗うサイズの水玉を出し、両手が包まれたら弾けて消えた。

隣では ちょっと小さいバランスボールくらいの水玉が作られている。

でかくないか?


「大きすぎますよ。もっと小さく」


先生に言われて 消えた水玉。


「「クリーン」」


もう一度二人が唱えたクリーンは、やっぱり同じくらいの大きさである。

大きければ良いという訳ではないのがクリーンだ。

トイレで毎回こんな大きな水玉を出しているのか?

お尻と樽の中身、一緒に洗う事になっちゃわない?

最終消えるとはいえ、混ざりそうで嫌なんですが。



1度で成功している私に 先生が目配せをしてくるんですが、どう伝えれば良いのか分からないんですけど?

子犬と子猫もウルウルしながら見つめないでください。

雨の日の段ボールに入った子犬と子猫じゃないんだから……。


「対象物を想像すれば出来るんじゃないかなぁ。

例えば、手を洗いたいなら この手が入ればいいでしょう?

〈クリーン〉 ね?」


私の手のひら大の水玉を出して見せる。

二人は 自分の手を見て、私の手を見て、もう一度自分の手を見る。


「びおの手 洗う練習してもいい?」


自分のだと上手く想像できないのかな?

了解の意味を込めて 両手を上に向けて差し出せば「クリーン」という詠唱の後、私の手だけを包み込む水玉が現れて、弾けて消えた。


「できたぁ~」


しょんぼり尻尾はブンブン振られ、ピョンピョン跳ねるハチ君は嬉しそう。

悔しそうなレン君が俯いてるから「レン君もやってみる?」と手を見せてみたら頷いて「クリーン」と唱える。

先程と同じように小さな水玉が現れて、私の両手を包んですぐに弾けて消える。


「おれもできた!」


嬉しそうにバク宙したレン君。

おぉ!流石猫‼

ハチ君とハイタッチで喜ぶ様は 両手を何度も洗われた私も見ていて嬉しいよ。


「あんなに練習しても出来なかったのに、ヴィオさんの一言で出来ちゃうなんて、本当に先生の素質があるのね。凄いわ。」


先生もホッとしたようで良かったです。

「小さく」と言われても サイズが想像できなければ、難しいのかもね。

男の子だから 家でのお皿洗いとか手伝ってなさそうだし……。


「レン君、ハチ君、おうちで ご飯の後のお皿洗い お手伝いすると良いよ。

1枚ずつお皿をクリーンで洗うの。コップとお皿で大きさが違うでしょう?

大きさに合わせて洗うことに慣れたら、もっと上手になれるし、お母さんがとっても喜ぶと思う。」


「「やるっ!」」


ギュンと振り返った二人がヤル気マンです。

リリウムさん、タキさん、お手伝いしてくれる人手が出来ましたよ。




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