第217話 合同パーティー?
「タディさん!?」
「おうっ!ひさ「ヴィオ! ホントにヴィオじゃない! 元気にしてた? まさかサマニア村じゃない場所で会えるなんて思ってなかったわ」
食堂に入ってきたのは タディさんだった。
最後に会ったのは 昨年の火の季節の終わりだったから 半年以上ぶりである。
タディさんの声に被るように 駆け込んできたのはケーテさん。
私の顔を見るなり 駆け寄ってきて ギュッと抱きしめてくれた。久しぶりに会ったけど ケーテさん 背が伸びて大人っぽくなった気がする。
「ヴィオ 大きくなったわね」
「本当ね、半年ぶり位だけど 身長が伸びたのが分かるわ。良い訓練が出来てるのね」
「ケーテさんも、テーアさんも久しぶり。私も こんな遠いところで会えるなんて思ってなかったから びっくりした。
タディさん、ガルスさんも 久しぶりです。
タディさん、さっき言ってたダンジョンってどういうこと?」
テーアさんには ひょいと抱え上げられましたけど 本当に身長伸びてます? こんなまだ簡単に 抱き上げられてますけど。
というか、さっきのタディさんの言葉が気になってるのですよ。
ということで、まさかの場所で まさかの人たちと再会した訳で、再び お茶タイムになりました。
「……ってことでな、二人のランクアップの為にも 色んなダンジョンを回ってるんだ」
タディさんの話によると、昨年の秋から 本格的にダンジョン巡りを行い 討伐ポイントを貯めまくった ケーテさんは 先月 銀ランク白級にランクアップ、お兄さんのガルスさんも 銀ランク初級になったらしい。
ケーテさんの目標は 銀ランク中級以上になって プレーサマ辺境伯の護衛騎士になることだ。
兄のガルスさんの目標は 金ランク冒険者だ。
ケーテさんは ポイントを集めるだけで そのうち目標を到達できるけど、お兄さんの方は ランクアップ試験がある。
試験は 指定された中級ダンジョンの単独踏破、上級ダンジョン踏破記録(パーティーで可)が必要だ。
流石に お兄さんもまだ 単独での中級ダンジョンは厳しいらしい。
ケーテさんにしても どうせ辺境伯の護衛騎士になるなら 色んな体験をしておいた方がいいからと、金ランク夫婦のスパルタ教育で 更に色んなダンジョン巡りが増えたらしい
今回の目的は 私たちと同じ フルシェの町が管理している遺跡ダンジョンだという事なので、是非一緒に行かないかと提案してくれた。
「私は嬉しいけど、いいの?」
「むしろ お願いしたいわ。私たちと一緒に入ると どうしても親だからって甘えが出ちゃうでしょう?
ヴィオが庇護対象にならないことは分かっているけど、同じくらいのランクの冒険者だけでの行動というのも やってみれば良い経験になると思うのよね」
「ん?母さん どういうこと?」
私としては お父さんと二人なら入れない可能性が高いダンジョンだから 一緒に行ってもらえるのは嬉しいけど、二人の修行の為には邪魔にならないか心配だ。
そう言えば テーアさんとしては 私がいた方が 二人の刺激になるという。
だけど どうやら二人も初耳らしく、ガルスさんが驚いている。
「ヴィオが入る為に 私たちも同行すると見せかけるけど、中での行動は基本的に あなた達三人で動きなさいという事ね。
罠のあるダンジョンは あなた達は既に何カ所か経験させたでしょう? ヴィオは未経験らしいから 教えてあげなさい。
逆に アルクさんに鍛えられたヴィオの行動を見て 学べることは学びなさい。
私たちは ダンジョン内では 一定の距離をとって 行動するわ。危険性が高い時は 助けられるようにするつもりだけど、今までみたいに直ぐには駆けつけられないと思ってちょうだい」
おぉ、テーアさん 中々のスパルタですね。
というか お父さんとの行動は いつも一定の距離をとってるんだけど、ケーテさん達は違ったのかな?
規格外のお兄ちゃんたちと お父さんの行動しか知らないけど、ケーテさん達はどんな風にダンジョンで行動するんだろう。
「わ、分かった。ヴィオ、私と兄さんが ちゃんと守るから 安心して」
緊張した面持ちで テーアさんに頷くケーテさん。ここから緊張してたら疲れちゃうよ?大丈夫?
「ケーテさん、私も8カ所 ダンジョン回ってきたからね そんなに守ってもらわないと駄目なほどじゃないから大丈夫だよ、自衛はちゃんとするからね。
だけど、罠は初めてだから ガルスさん、ケーテさん よろしくお願いします。
あっ、私たち今日 この町に到着したから まだダンジョンの下調べをしてないの。明日は ギルドでお勉強をしたいんだけど 時間は大丈夫ですか?」
「へぇ、ヴィオちゃん 毎回ダンジョンの下調べしてるんだね」
ガルスさんが不思議そうな顔で聞いてくるけど 当り前ですよ。全ての魔獣や素材が書いている訳じゃないけど、どんなダンジョンかの情報を調べるのは超大切だからね。
「ヴィオ、私も一緒に行くわ」
「じゃあ 今日中に 武器屋に行かないとね。
出発は……週明け 木の日にしましょう」
「ああ、ダンジョンじゃが、儂らは来月の2週目には 首都に行く用事があるでな、長くても2週間半の予定で頼みたい」
「首都に用事か?」
「ああ、ドゥーア先生に会いに行く約束をしておるんじゃ」
「ああ、そういえば 昨年 村に来てたわね。その関係かしら?
けど、そうね。20階層だから どこまで潜れるかだけど、行けるところまで行きましょう。2週目の聖の日に 15階に到達できてなければ 10階ボスの再挑戦で 戻ってくれば良いわ」
洞窟ダンジョンなら 然程採集物がある訳ではないから 時間はかからないだろう。
罠のレベルによるけど、私たちのダンジョンで時間がかかるのは 素材採集にかける時間だからね。それが無いなら サーチ&デストロイなだけだ。
予定が決まったところで お宿の宿泊手続きです。
そういえば お話を先にするってんで 手続きしてなかった事を 皆すっかり忘れてたよね。まさかの再会からの 合同パーティー、週明けが楽しみだね!




