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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第214話 乗合馬車と冒険者 後半


「くぁ~、中にずっといると 身体が固まって仕方ねえな、出発は何時だ?」


「30分後には出発しますが どちらか行かれるので?」


「30分だな、よし、リリ、ルルア ちょっと付き合え」


「んもぉ~♡ 」


「えっ、わ、私は……」


「ラウ~ル~、時間も短いんだし ルルアはお留守番でいいじゃぁん♡」


「それもそうか、ルルアは夜だな、行くぞ」


街道にある休憩所に着いた途端、馬車の後部扉が開き 大剣男が出てきましたよ。

上から眺めてたら どこかにお出かけするつもりのようだね。

この時間は お馬さんの休憩、水分摂取、トイレ休憩、ストレッチなどの時間であって 昼食休憩はまだ先なんだけど、自由な人だね。


御者さんは時間になったら出発しますからねと言ってるけど、今回 冒険者として名乗り出ているのは此奴らしかいないから 多少は目を瞑ることになりそうだね。

チラリとお父さんを見上げれば 興味なさげにしてた。冒険者時代が長いお父さんからすれば 珍しくもないのかな?


しなだれかかった猫お姉さんの肩を抱いて 休憩場をぬけて 裏の林に消えて行ったけど、歩きながら お姉さんのお尻を掴んでるところを発見。

今時分の日本じゃ テレビ局関係の人間ですら 出来ないレベルのセクハラですよ。

コンプラ委員会に訴えられちゃいますよ? まあ この世界にそんなものは存在しないけど。


二人が消えてから 他のお客さん達も 順に外へ出てきた。下僕の二人も 出てきたところで 兎のお姉さんを慰めている。

お姉さんも ヨヨヨって感じで 二人に 慰められているけど、何を見せられてるんだろうね。

パーティーとして 成立してなくない?


『てか 30分しか休憩ないのに 野外で盛ってくるって あの人達 発情期なのかな』


『ブホォっっっ‼‼‼』


『えぇっ!?お父さんどうしたの、大丈夫?』


『ゲッホゲッホ、ゲフンゲフン』


突然お父さんが 激しく噎せだして びっくりしちゃったよ。必死で背中を擦るけど お父さんもちょっと涙目だし 何か気管にはいっちゃった感じ?大丈夫?

とりあえず【サイレント】を発動したままなので 外の人たちが心配することはなかったけど お水飲む?


『あ、ああすまんな。ヴィオ、え~~~っと、あれじゃ。あの冒険者らには関わらんようにしよう』


ん? うん、そのつもりだよ。

この馬車に乗っている人は ご年配の人か おじさんしかいないから良いけど、若い女性が居たら餌食になりそうだし 碌な冒険者じゃない感じだもんね。

大丈夫、私 冒険者なら誰でも良い人なんて思うような 純真無垢な子供じゃないからね。心配いらないよ。


トイレの為に私たちも 屋根から下りたら あの冒険者に移動させられたおじさんが声をかけてきた。


「屋根は辛くないかい? 寒いようなら おじさんの毛布もあるから使ってくれていいよ。何なら後半は私が上でも良いんだけど」


「ううん、お外を見ながらゆっくりできるのは楽しいから大丈夫だよ。私たちも毛布とマントもあるし、お父さんが温かいから大丈夫なの」


中に入るなんてノーセンキューですよ。

絶対お断りだなんて言えないから お父さんの腕の中にスポンと嵌って 大丈夫だと言えば ニッコリ笑って それは温かそうだねと納得してくれた。


トイレ休憩は 林の木陰に 【アースウォール】を作って 速攻終わらせる。おばちゃん達は その辺でペロンとお尻を出して やっちゃってるけど、私は一応個室を作りますよ。

【アースウォール】を作るのに あまり人目につかない方がいいだろうと 休憩所より少し奥に行ったのがいけなかったね。

大剣男たちが歩いて行った方向ではなかった筈なんだけど、移動して来ていたのか、ただただ 声がでかいだけなのか、喘ぎ声が聞こえてましたよ。


トイレを終えて 戻ってきた私がげんなりしてたから お父さんや 他の大人たちが心配して 聞いてきたので それに正直に答えたのは駄目だったっポイ。


「獣が鳴いてるみたいな アンアン オンオン オラオラ言ってたのが聞こえてたの。

あんなに大きな声出してたら 流石に魔獣が寄ってくるんじゃないかな」


心配してたのはお父さんだけじゃなく、おばちゃん達もだったから その場が凍り付いたみたいになっちゃったよね。ゴメンゴメン、6歳幼女が言っちゃダメなアレだったかもね。


「あ~ 御者殿、支払いは そのままでええが 儂らは 今日の昼休憩を過ぎたところで 馬車を下りてええじゃろうか。

目的地はフェルシェじゃし、アビドガに向かってから行くより 街道を外れるが 直接行く方が 近いんでな」


「あっ、ああ、まあ 確かに。だけど 街道を逸れたら それなりに魔獣も出ますよ?」


「問題ない、儂は銀ランク上級じゃし、娘も銅ランクの冒険者、実力だけなら それ以上あるからな。

それより 精神衛生上よくない影響を与えたくないんじゃ」


「銀ランクの上級!?あっ、でも、はぁ~~~、まあそうですよね」


「今夜は 夜営もあるし 夜にそんな事をされたら 困りますしね」


そうか、今日の予定は テント泊じゃんね。それで盛られたんじゃ 皆の安眠妨害じゃない?

えっ!?てか 兎のお姉さん 夜にって言われてたけど、テントでされちゃうの?

思わず 残ってた冒険者たちを見つめてしまえば 兎のお姉さんも 自分の身に今夜起こりえることが分かったのか 二人の男に縋りついている。

あ~、まあ そこは どうにか大人ですし頑張ってください。


というか、私たちは この後のロング休憩(昼食休憩)で馬車旅を離脱することになったらしい。

御者さん的には お父さんのランクを聞いて 是非残ってもらいたいと思ったようだけど、あれと同じ空間にいるのは嫌だなぁ。

お父さんはさっさと 退散とばかりに 私を馬車の荷台部分に登らせて あの二人が戻ってくるときに会わないようにしたくらいだ。



その後 休憩時間に遅れることなく戻ってきた大剣男たち。

猫お姉さんは お色気ムンムンな感じで 火照った顔を隠すことなく戻ってきたんだけど、まあ 馬車の他の乗客たちの視線が冷たいのなんのって。


「野営地の近くで 大きな声を上げれば 魔獣が寄ってくることもあります。その場合の魔獣討伐をなさった場合は 護衛依頼ではありませんので 依頼料金の支払いもないですし、馬車代金の割引もありませんので お願いしますよ」


御者さんまでそんな事を冷たく告げたもんだから 二人はちょっと気まずい感じになってました。

上からそれを覗いていたら お父さんに抱え上げられて 抱きしめられましたけど 見せたくないって事でしょうかね。

何だか 逆に照れ臭くなっちゃうね。

お父さん 多分 私 腐ってる系の大人だったと思うけど、良い子に育つように頑張るね。


まあここで逆切れするような奴じゃなくて良かったね。


そんなちょっとしたイベントは起きたものの 無事に休憩を終えた馬車は再び出発し、魔獣にも 魔鳥にも襲われることなく 昼食休憩の野営地まで 移動することが出来ました。

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