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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第212話 乗合馬車での移動


船が到着した町は リスケットという町で、王都の最北端にある。

リズモーニ王国というのが “日本” だとしたら、王都は “東京都” である。

そして 王様がいる場所が “千代田区” で、王様が住んでいるのが “国会議事堂” みたいな距離感だ。


リスケットは 千代田区と町田市くらいの距離があると思ってもらえれば 決して近くはないことが分かるだろう。いや、実際の距離感は知らんよ? だけど ここから王都までは まだまだ距離があるという事。


ただ、このリスケットの町は リズモーニ王国北部からの 様々な素材が集まる主要町、首都までは街道がバッチシ整備されているから 馬車に乗って4日くらいで到着するらしい。

とはいえ この時の馬車というのは 徒歩護衛付きののんびりスピードではなく、護衛も騎馬スタイルが多いので アシスト自転車速度らしいけどね。


で、ここから首都リズモーニ行の馬車も 勿論出ている。途中幾つかの町を経由していくという 乗合馬車は およそ1週間で首都に到着するという。

〔水竜門〕のリーダーが言ってた「丁度いい」は 徒歩で向かった時間の事。ゆっくり歩いて旅をすれば 2週間以上はかかるから 丁度いいのではという事だったんだけど、そんなのんびり歩くことはないので やはり時間が余りそうだ。


「さて 移動方法もそうじゃが、それでも首都には随分早く着きそうじゃな」


「うん、王都の近くのダンジョンは お父さんと二人じゃ入れないかな」


「ん~、学生の授業で入るダンジョンがあるっちゅうことは聞いておるから そこまで難しくないと思うが ヴィオの見た目がなぁ……」


能力云々というよりは 見た目で断られそうだよね。

色変えの魔道具があるんだから 姿変えの魔術具とかもあればいいのにと思ったけど、そんなものがあれば 犯罪者が犯罪し放題になると思って反省した。


「昔馴染みが王都の隣町で宿をやっとるから そいつに声をかけてみようとは思うが、冒険者を止めて随分経つし 無理かもしれんから期待はせんでくれ」


お父さんの昔馴染みですって?


「それって〔大樹の祠〕時代の仲間の人?」


「おぉ、よく覚えとったなぁ。そうじゃ、嫁さんが普通の相手でな、サマニア村では恐ろしくて住めんっちゅうんで 危険性の少ない町で結婚したんじゃ」


あ~~~、そうね、こうして他の町に出てみると サマニア村に住んでた人たちが凄かったのはよく分かる。住んでいれば 特段普通の人なんだけど、きっとスタンピードとか 何かが起きた時に その凄さは発揮されるんだろう。

いや、トラウトの季節に 稼ぎに来た冒険者が脱落していくのに、村の大人たちは 村長の家の近くで トラウト狩りを楽しんでいるって聞いたから やっぱりおかしいのかもしれない。


本人も冒険者で 子供も強く育てたいなら あの場所は凄く良いんだろうけど、そうじゃないなら うん、避けるかもしれないね。

けど 引退してて 奥さんも普通の人なんだったら お誘いするのは嫌がられそうだけどね。だから期待するなって事か。うん、無理なら観光だけ楽しもう。



今後の方針が固まった事で、リスケットの町に1泊し、翌朝出発する王都行の乗合馬車を利用することにした。

素材を運ぶ馬車とは違い こっちの馬車は 2頭引きだけど15㎞/hくらいの速度で走っている。

街道が整っている事、複数台の馬車で移動する事で 徒歩の護衛役は居ない。

まあ 複数台の馬車のうち、どれかには冒険者が乗っているのは常識で、何かが起きた時には その冒険者に依頼することがあるみたいだけどね。


『それって 凄い賭けじゃない? だって銅ランクの冒険者かもしれないのに 皆を助けないといけないの?』


『まあな、護衛の依頼を受けた場合は 守れなかった場合ペナルティが課せられるが、この場合はそのペナルティは勿論ない。とはいえ 襲ってきた相手によっては 本人も死ぬ可能性があるから 戦いはするじゃろうがな。

何らかの形で護った場合は 乗車代が無料になる、護衛代金が支払われるっちゅうことはあるみたいじゃがな。まあたいていの場合は 自信がある奴らが自分から名乗りを上げるから そうじゃない奴らには無理な依頼はせんがな』


乗合馬車の待合所で お父さんと【サイレント】を使って内緒話。

待合所と言っても 部屋がある訳ではない。馬車が停まっているところに 御者さんが立っていて目的地を書いた木板を持っているから 声をかけるだけだ。

馬車の出発時間が来るか 乗車可能人数に達したら出発という事で、私とお父さんは 人数が揃うまで馬車の近くで立っているという感じだ。


「おう、アビドガの町まで頼む、俺たちは銀ランク中級の冒険者だ」


「二つ目の町だな、ギルドカードを見せてくれ。

1人は白級か……。まあ他が中級なら大丈夫そうだな。道中何かあれば依頼するがいいか?」


「その場合は乗車料金無料以外に依頼料もでる? 出来れば実績も欲しいんだけど」


「そうだな、起こった内容によるが 盗賊か ランクの高い魔獣討伐があれば 依頼料も色を付けよう」


そろそろ出発時間かな? という頃に 冒険者パーティーが御者さんに声をかけてきた。男性3人に女性が2人、この場合カップル不成立となるのではないでしょうか とか思うのは男女差別とか言われちゃいますね、失敬失敬。

でもって お父さんが言ってたように 自分から名乗ったね。

自信があるって事だろうかね、うん、ある感じですよね。なければ そんな 露出の多い格好は出来ないですよね。


5人組もの人数が乗り込むことになったので、時間前だけど 乗車人数ギリギリって事で出発となりました。同時発車予定だった馬車も 銀ランクがこの馬車に乗った事で 安心したようだね。

という事は 他の馬車も 一緒にいる間は この人たちが守るって事なのかな? なんだか責任重大だね。大丈夫なのだろうか。

全部の馬車に冒険者が乗らない事は滅多にないらしいけど、一応魔道具もいくつか持っている筈だというのはお父さんの体験談。


まあ 整備されてる王都までの道で 盗賊が出ることは滅多にないらしいし、魔獣も魔獣除けがあるから然程脅威ではないとは思うけどね。

なんだろう、この人たちのチャラチャラした感じが 村にいるスチーラーズの三人と被るから不安になるのかもしれないね。

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