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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第201話  グーダン大山ダンジョン その12



夕食をたっぷり食べて 食休みをしたら 待ちに待ったお風呂タイム!

早速お風呂にお湯を貯めようと思ったところで お兄ちゃんたちからの質問タイム。そういえば お湯をそのまま入れるってしないって言ってたね。


「水魔法の時も 水生成魔法の時も 温度を考えないで用意してるでしょう?

だから お水を作ろうって思う時に 温かくなるようにって考えて魔力操作したら お湯になっただけだよ」


三人ともポカン顔になってたけど、浴槽も大きいからね 少しずつお試し魔法をやってます。

ついでに お湯の水玉を作って シャワー風に降らせるのもやって見せたら 絶対に完成させると 真剣に考えこみながら お湯張りをし始めた。

どうやら 入浴できるのはもう少し先になりそうだ。



「ははっ、湯沸かしの魔道具があったら それでええと思うのが普通じゃからな。ヴィオは 足りないものを補う魔法を上手に考えることができる、これは良い魔道具士になれるかもしれんな」


魔道具は作れるようになりたいけど、それを専門にするつもりはないかな。

自分が使う分と 仲良しの人が使う分を作るには良いけど、知らない人の分まで面倒を見る気はない。

魔道具については 夏にドゥーア先生と再会した時に聞ければいいけど、3週間くらいしかないから 時間が足りないかな。

そもそもドゥーア先生と会えるかも半信半疑だしね。


そんな事を考えながら お兄ちゃんたちはまだ試行錯誤しているので、お父さんと二人で明日の朝食の準備をしていく。

卵も野菜もたっぷりあるから “お野菜たっぷりキッシュ(風)”を作ろうと思う。


ジンセン(人参)キャベチ(キャベツ)スピニッシュ(ほうれん草)を下茹でして、スピニッシュは水きりして一口大に、ジンセンはみじん切り、キャベチは粗みじん切りにする。

煮物とかだと大きさを揃えた方が食べやすいけど、キッシュの場合は大きさが違った方が食べ応えがあるので 敢えて大きさをバラバラにしてみる。

あぁ、後はベーコンも入れておこう。一口大に切ったベーコンも準備。


卵と言ってもココッコは魔鳥なので 卵もそれなりに丈夫だ。だから卵を割るのも 身体強化をしてからボウルにコンコンする必要がある。強化魔法をかけない私は非力な6歳幼女なのだ。

フリーズドライのコンソメスープ1食分を粉々にして 卵にイン!塩コショウも加えて 野菜とベーコンも加えて混ぜ合わせる。


「おぉ、結構なボリュームじゃな。あとはこれを焼けばええんか?」


「うん、今焼いたら 匂いでお兄ちゃんたちがハラペコになりそうだから 明日の朝に焼いても良いかなって思ってるけど……」


「くっくっく、そうじゃな。折角風呂の準備をしとるし、明日の朝に焼こうか」


お父さんが見張り番の最後だという事なので、朝焼いてもらうことにした。折角だから焼くときに チーズを削ったのも入れて欲しいとお願いしたので、焼いている匂いで明日は皆が起きそうな予感だ。



「出来た~!ヴィオ、出来たよ!確認してみて」


「俺はコレ無理だ~」


「俺もシャワーは無理だった。ヴィオ お前凄いな」


嬉しそうな声が上がり トンガお兄ちゃんが呼びに来てくれたので お父さんと二人で確認しに行ったら、ルンガお兄ちゃんと クルトさんは座り込んでた。

二人とも得意属性に水は持ってないもんね。水生成魔法が作れるから 練習すればできると思うけど難しかったらしい。

湯船に手を付ければ 少しぬるいけど お湯だった。


「うん、この量を貯めれたのも凄いね。お湯になってるし」


「そうでしょ? シャワーもできたよ。ほら【ウォーター】」


水玉が浴槽の上にフヨフヨと出現し、お兄ちゃんがパチンと指を鳴らせば 水玉からシャワーとなってお湯が降り注いでいる。水玉を触ってみれば 良い感じに温かい。


「うん、適温だし シャワーになってるね。トンガお兄ちゃん凄いね!」


「やった~!ダンジョンでは ルンガとクルトに 良いとこ全部持ってかれてて、僕の魔法は全然ダメだったけど、鉱石の索敵ぶりに 凄いって言ってもらえた~」


ギューっと抱きしめながら そんな事をいうトンガお兄ちゃんに、ルンガお兄ちゃんとクルトさんが呆れ顔だ。私もそんな事を気にしていたなんて思ってなかったからびっくりだよ。


「トンガお兄ちゃんだって、サンドカッター使えるようになったし、今日だってこんな素敵な浴槽を作ってくれたでしょう?

いつだって凄いなって思ってるよ? ルンガお兄ちゃんも クルトさんも、3人ともそれぞれ得意不得意があって 補い合ってるのも格好良いなって思ってるよ」


「も~、ヴィオ、良い子すぎる」


お腹に頭をぐりぐりされるのは ちょっとくすぐったいんですが、なんだか感極まってる感じなので 小さな手ですが お兄ちゃんの頭をナデナデしてあげます。

ついでに熊耳も サワサワしちゃいますが、これは不可抗力というか 役得という事で良しなに。フワフワのケモ耳は 時々ピクピクして 非常に触り心地が良かったことを報告しておきます。



ということで、ちょっと遅くなったけど 入浴タイムです。

一応【アースウォール】で目隠しをしてからお風呂に入ります。洗い場ように スノコも準備してくれたので そこでシャンプーをしてから ゴシゴシ身体も洗います。

毎日クリーン浴はしているので 汚れてはいないけど やっぱりこうして身体に泡を付けて洗浄できるのは 綺麗にしてるって感じがして気持ちが良い。


自宅だったら このまま水玉シャワーなんだけど ここは水はけをしやすいように 斜面にしている訳ではない ただのセフティーゾーンなので 泡はクリーンで洗い流す。

結局クリーンをするなら泡いらなくないって思った? 違うんだよ、さっきも言ったけど 泡を付けて洗うっていう工程が スッキリさせるってこと。


泡を落とせば 背の高い湯船によじ登る。うん、これ階段があった方が良かったかもね。内側に椅子を用意してくれたけど、外はなかったもんね。冒険者として鍛えてたから余裕でよじ登れたけど、素っ裸でよじ登る姿は 誰かに見られてたらちょっと恥ずかしい感じだったね。


ふは~~~~


湯船に肩まで浸かり 湯船の縁に頭を乗せて空を見上げる。

樹々の緑がサワサワと揺れ、空は晴天とは言えないものの 薄曇りの昼の明るさがある。時間としては既に夕方を過ぎているけど、このダンジョンは昼夜の切り替わりがないから ずっとこの明るさが続いている。

昼日中の森の露天風呂に入っている気分がして 非常に心地いい。

しかもセフティーゾーンだから 魔獣がコンニチハすることもなく、安全な中での露天風呂、超絶贅沢である。


しっかり温まったところでお風呂から上がり 【ドライ】で身体の水分を飛ばす。

いつもの冒険者装備をまた身に着けて 土壁を解除する。


「お先にお風呂頂きました~、森の中の露天風呂って感じで とっても気持ちが良かったよ」


「マジか、次誰入る?」


「父さんが 見張り番最後でしょ? 先に入って ゆっくり寝てもらおう、僕は見張り番の後に入ってから寝るから後で良いよ」


「そしたら アルクさんが入った後に俺だな」


「熱いのが良ければ これを使えばええぞ」


「えっ?湯沸かしの魔道具? なんで持ってきてんの?」


お父さんが取り出したのは 持ち運び式の湯沸かしの魔道具。宿でも時々使ってるから 私のマジックバッグには常備しているんだよね。

必死で練習して 魔力切れになりかけてた二人が ガックリしているけど、今後の旅で道具を持ち歩くのか、練習して使えるようになるのか、どっちが楽か選べばいいと思うんだよね。


今夜に関しては 魔道具を使うことにしたらしい二人。

今後の事を考えて 練習はするつもりだというから 頑張ってもらいたい。

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