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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第199話 グーダン大山ダンジョン その10


ボス部屋を終えて 1階に戻ることは選ばないので 手前のお部屋からそのまま階段を下りてきた。


「すご~!ひろ~~!もり~~~~‼」


「ルエメイも後半は森じゃなかった?」


階段を下りたら 木が鬱蒼と生えている森のど真ん中って感じだった。

トンガお兄ちゃん、確かにルエメイ遺跡ダンジョンも 後半は森だったけど ここまで モサモサしてなかったよ。木々が生えてるけど 歩きやすかったし、ん~、どっちかと言えば林って感じだったんだと今なら思うよ。


けどここは ここから見えるだけでも木の種類も色々あって、空気もちょっと湿気っぽいというか 山の中の森っぽい。鳥の声、虫の音、自然たっぷりな感じが凄い。

木をなぎ倒しているような音が聞こえるけど、まあダンジョンだし それはそれ。


「ヴィオ、【索敵】はええんか?」


はっ!森に興奮しすぎて忘れてたよ。

まずはいつも通り足元ほんの数センチでマッピング用に魔力を流す。

うんうん、想定通り 広さ自体は 低層階の高原エリアより少し狭いくらいだね。これが深層階になればさらに広がるんだろう。


今時点で分かる魔獣は地に足を着いている奴らだけ。

ここからは木の上に巣を作るイエロースネークも、フォレストスパイダーも、初めましての蜂、イエローワプスも登場してくる。

幸い このダンジョンには 超好戦的で危険生物と言われる ホーネット種は居ないようだけど、ワプスも 攻撃された時にはしっかり反撃してくると書いてあったから 注意しないとね。


だけど 木の上に関しては 歩くときに自分を中心とした 半径5mの範囲だけに索敵をするに留めておく。セフティーゾーンは3か所、この広さで3か所は 多い気がするけど、これだけ鬱蒼とした森の中をまっすぐ歩くことは困難だから こうして沢山休める場所があるのだろう。


横に広がって歩くのは無理なので、ルンガお兄ちゃん、クルトさん、私、お父さん、トンガお兄ちゃんの順で 歩くことになった。

先頭は 順番に交代することにはなってるけど お父さんは 殿の人の補佐がメインなので4番手で歩くことは変えないことになったよ。


其々2~3メートルくらい離れて歩いているので 自分の索敵範囲に魔獣が出たら 討伐する感じ。

今日の目的地は 1か所目のセフティーゾーン、そこに拠点を作って 散策、採集、討伐をするので まずは 目的地までまっすぐ歩いてます。


「【エアショット】」「【エアカッター】」「【エアショット】」


歩きながら 木の上をパシュパシュ狙い撃ちしている ルンガお兄ちゃん。

普段は槍を得意武器として使っていた ルンガお兄ちゃんは、こうした狭い場所では 満足できる動きが出来ず 非常にストレスだったらしい。


だけど ここまで鍛えてきた魔法の命中率は 非常に素晴らしく、本人も気持ちが良いらしく、鼻歌でも歌いそうな感じで歩いています。

流石にフォレストスパイダーのドロップアイテムは 肉が出ることもなく、糸が落ちてきております。

倒しても止まらないので、後ろを歩いている クルトさんが 到着するときぐらいに良い感じに落ちてきたアイテムを拾っています。

なんてチームワーク!


「ただ面倒がっとるだけじゃ」


そうとも言うね。

イエローワプスは こちらを警戒しているけれど 特に魔法攻撃をされないと分かったら 向かってこない。

これが ホーネットだったら いることが分かった時点で 集団で襲って来ただろうから スズメバチがこちらでも恐ろしいのは変わらないのだと実感した。

蛇皮は クルトさんも拾わないので 私が拾う。ミリーナさんの お土産にすれば喜んでもらえるはず。



『ワギャン ギャンギャン』


ガサガサ草をかき分ける音と 下手な鳴き声が聞こえたと思えば コボルトが3匹こちらに向かってくるのが分かる。

だけど その後ろから 大きな魔獣が追いかけているのも 索敵で見えているので、私たちを襲いに来たというよりは 逃げてきたというところだろう。

だけど ココはダンジョン。

私たちの姿を見た瞬間 攻撃態勢に入るんだから 凄いよね。


まあ 横からの攻撃なので、ルンガお兄ちゃんは正面と 上を警戒、クルトさんと 私で コボルトをまずは切り倒す。クルトさんは【エアカッター】で、私は砂の鞭を使っています。

三体のコボルトガキラキラしている最中に 後ろから追いかけてきていた オークと目が合った。

クルトさんが 「俺がやる」と言ってくれたのでお任せです。


「【エアショット】

あれっ、流石に皮が厚すぎるのか? じゃあ【エアカッター】

おぉ、こっちなら問題なしだな」


狙った場所が心臓だったのと、圧縮が弱かったから 貫通しなかっただけで、多分 眼とか 口の中を狙っていたら問題なかったと思うけどね。

エアカッターは ザックリと綺麗に切れたので こっちで問題ないと思います。


「オークに剣を使わないで済むなら 手入れの頻度が少なくて済むね」


油でギトギトになるらしいからね。私はオーク相手には 鞭か魔法でしか戦わないので分からない。短剣は力が足りずに 全く通らなかったからね。


そんな感じで 周辺の 向かってくる魔獣だけをサクサク討伐しながら 20分ほどで 第一セフティーゾーンに到着した。

多分 【索敵】が無い人たちならもっと時間がかかったと思うけど、私たちは 全員が索敵持ちだし 目的地までまっすぐ歩いてきたので かなり早いと思う。


ここまで殆ど魔力も体力も使ってないので 小休憩だけしたら 散策をする予定。

だけど トンガお兄ちゃんは 鉄板用の石テーブルを準備しているよ。


「お兄ちゃん もうご飯食べる?」


「ああっ、これは お昼の準備ね。今日は野営もここでするでしょ? だったら小休憩で魔力も多少回復するし 先に準備出来る物だけしておこうってだけ」


成る程、まさか トンガお兄ちゃんまで食いしん坊キャラになったのかと思ったよ。いや、十分食いしん坊ではあるけどね。

という事で 私たちもテントの準備を整えてみる。

はっ!そういえば もう戻ってくる冒険者は居ないし、多分この1日2日で追いついてくる冒険者もいない。

って事は、野営地で結構何でもできるんじゃない?

って事は、お風呂とかも作っちゃえるんじゃない?

そう思ってしまったら 試すしかないよね。


「お父さん、あのね、ごにょごにょ ごにょごにょ」


「ほぉ、考えたことはなかったけど出来ると思うぞ。土で作ってもええが、ここは森じゃから 木の材料も豊富じゃし 木桶を作るか」


なんと! 石風呂になるかと思ったけど、まさかのではないが風呂が出来ちゃう?

喜びのあまり 飛び跳ねて喜んでいたら お兄ちゃんたちも 何だなんだと集まってきた。


「なんかいいものでも見つかったか?」


「いや、ヴィオが 人が来んのじゃったら 風呂桶を作って お風呂に入れんかと聞くからな、木の桶を作ってやろうと思ってな」


「ダンジョンで風呂!?」


「マジか!でも 確かに 人が来る危険性が無ければ出来るか……。

なぁヴィオ、それ完成したら 俺も入っていいか?」


クルトさんはびっくりしてるけど、ルンガお兄ちゃんは 自分も入りたいと乗り気だ。お兄ちゃんたちもお風呂好きだもんね。

折角だから 大き目の湯船になるように お父さんと トンガお兄ちゃんの二人で 早速作ってくれることになったよ。


クルトさんは 休憩用のお茶の準備、お父さんが セフティーゾーンに近い場所にあった 撥水性の高い木材を選んで 伐採魔法を使って太い枝を切り落とす。

私と ルンガお兄ちゃんの3人で 切り落とされた枝の処理をして 板材にして研磨まですれば、トンガお兄ちゃんが 浴槽にするために組み立てていく。

お父さんに 鉄鉱石を希望されたので渡せば、鉱石を金槌と 多分土魔法を使って加工していく。どうやら釘を作っているようだ。


「お父さん 桶じゃないの?」


「ん? 最初はそれでもええと思ったけどな、皆が入るんじゃったら ちょっと大きい箱型の浴槽でもええと思ってな。ヴィオが入るには深いかもしれんから 中に入れる椅子も作ろうな」


マジか。

ちょっとお風呂に入りたい、って思って相談した一言が こんな大ごとになるなんて。

でも 凄くワクワクしています。

浴槽だからこんなに長い木もあるんだね。どんだけ大きな風呂だよと思うけど、お父さんたちは2メートルくらいの身長があるから これくらいないと足は伸ばせないのかもね。


という事で、思った以上に本気の風呂を作ってくれることになったので、木工担当の二人にそれはお任せし、私たち三人は 採集をしに行くことにしたよ。

もし魔獣が来ても対応できるように あまり離れはしないけど 二人も 私の防衛力を分かってくれているから ある程度自由にしていいと言ってもらえた。


10階以降の採集物は 果物と 油が採れると書いてあるくらいで 木の特徴も 油がどんな風に採れるかも書いてなかったんだよね。

見れば分かると お兄ちゃんたちが言うから 見つかれば確認してもらうつもりだ。

沢山見つかると良いな。

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