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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第193話 グーダン大山ダンジョン その4



おはようございます、豊作ダンジョン3日目の朝です。

野営地に他の冒険者が来ることなく 朝を迎えました。

相変わらず 夜営の見張り番の時には 魔力操作訓練をしているお兄ちゃんたち、最後番の人が 朝には魔力ギリギリになっているのも慣れました。

酷すぎれば 魔力回復薬も飲んでもらうけど、流石にそこまで減らしはしないらしく、朝食をモリモリ食べて回復できるレベルだそうです。


「じゃあ 昨日の話もあるし、3階はサクっと通って 4階の散策って事でいいかな?」


「は~い」


24時間リポップだから 昨日の冒険者たちがある程度狩ってくれたというなら この階はまだ少ない状態のはず、という事で 今日はルンガお兄ちゃんとクルトさんも 【ウインド】を使って 速く走れるかの実験を行う事になりました。


「流石に実験するのに ヴィオを巻き込めないから ヴィオは 父さんと二人でやって。僕なら多少の怪我でも大丈夫だし」


「いや、一応気を付けるし」


「とりあえず最初はルンガからな。俺は後半やるから」


今後の事を考えて 3人で出来るようにという事のようだけど、そんなに決死の覚悟みたいにならなくても ウインドは 風を起こすだけの魔法であって 攻撃魔法じゃないから大丈夫だと思うけどなぁ。



……そんな風に思っていた時もありました。

うん、そういえば 私も最初は 吊り橋から落ちそうになったり 結構大変だったよね。


「うわぁ~~、ちょっ、ちょっ」


「まえっ、まえにっ!」


目の前でドタバタ劇場が行われております。

下からの吹き上げ、背後からの 追い風、この二つを起こすんだけど、吹き上げが強すぎると 舞い上がっちゃって 今のトンガお兄ちゃんみたいに空中でクルンクルンと回ることになる。

追い風が強すぎると 押し出されるだけの力が強すぎて 今のクルトさんみたいに ズッコケてしまう。


ルンガお兄ちゃんに 風の割合を教えて 地面に棒で絵を書きながら 風を当てる場所などを具体的に伝えていく。


「ふんふん、そういうことか、分かった もう一回やってみる」


「ほんと 頼むね」


「よし来い!」


練習なので ルンガお兄ちゃんは 外から 二人にかけるだけ。トンガお兄ちゃんとクルトさんは 土まみれだけど 気合を入れ直して 受ける気満々だ。


「【ウインド】」


先程よりも 調整しながら唱えられた風魔法は、二人の背中をそっと押し出すくらいの威力だったらしく 自然の中で感じる 少しの追い風レベルだったらしい。


「もうちょっと強めでいいのか?」


「そうだね、今より三倍くらい強くても大丈夫だと思うよ。割合は丁度良かったから」


魔力視をしながら ルンガお兄ちゃんの挑戦を確認している現在。

まだ 野営地から移動していませんが 時間はたっぷりあるので問題なしです。

数回の挑戦の後、5回目で 良い感じの風を当てることが出来たルンガお兄ちゃん、今度は クルトさんも同じように挑戦をする。

こちらは さっきのルンガお兄ちゃんが 何度も挑戦していた事で 風を受けながら 自分でも 考えていたらしく 2回目で 良い感じになりました。


「じゃあ これを 自分も入った状態で 3人にかけるって事だけど、やることは同じだから大丈夫だと思う。調整しやすさを考えたら 術者が真ん中になるのが良いと思うけど」


本番はここからなのだ。さっきまでは練習だからね。

後からやったクルトさんの方が 直ぐに成功したことで 魔力もあまり使っていないし、クルトさんを真ん中にして 走ることにしたようだ。

私はいつもの お父さん抱っこスタイルです。


「よし、行くぞ!」


「うん」


「頼んだ」


「【ウインド】」


私とお父さんも 思わずジッと見つめてしまう。

最近は 走りながら かけてた魔法だけど はじめてだから 3人とも止まった状態で魔法を使っている。

ふわっと三人の足元が浮き上がったところで 足を踏み出す。

そうすれば 強い追い風が三人の背中を押し出し グーンと前に進んでいく。


「うまくいったみたいだね」


「そうじゃな、魔力操作を頑張っとったから 上達が早いな」


本当にそう思います。極小ボールも 私が作る程の小ささまでは出来てないけど、ピンポン玉大までは小さくすることが出来てるからね(通常のファイアボールが 野球ボール~ソフトボール大)


私もお父さんに【ウインド】をかけて 三人を追いかけて走ってもらう。私個人にかけてもいいんだけど、足の長さが違い過ぎるからね、お父さんの抱っこで移動するのが手っ取り早いのだ。

自分に当てることで 風の調整もしやすいようで さっきより安定して使えているように見える。


ビュンビュン走る私たちは 2つ目のセフティーゾーンを越えたところで クルトさんから ルンガお兄ちゃんに交代し、更に走り続ける。


「ダンジョンって ゆっくり散策しながら 敵をビシバシ倒しながら行くと思ってたけど こんな攻略もあるんだね」


「くくっ、普通はゆっくりするもんじゃ。ただ、広すぎる場所で 目的の採集物が無い時なんかは 出来るだけ 距離を稼ぎたいと思って早歩きをするがな。

こんな便利な魔法が無ければ もっと普通に歩いておったはずじゃぞ」


上手く魔法が使えるようになって 楽し気にはしゃいでいるお兄ちゃんたちを横目に お父さんに 不思議に思っていた事を聞いてみたら、やっぱりこれは普通じゃないって言われた。

だけど 上級ダンジョンなんかだと 1フロアが恐ろしいくらいに広い場所があったり、砂漠の場所があったり、全体的に沼地というか 泥のような 歩きにくい場所もあるらしく、そういったところだと この魔法が凄く便利だと思うと言われた。

確かに 砂や泥に足を取られそうな場所でも 吹き上げを強めにすれば 殆ど足を着くことなく走れるから 便利かもしれないね


途中 数匹の魔獣が飛び出してきたものの、彼らが出てきた時には 既に通り過ぎているという感じだったので 完全放置のまま 4階に続く階段まで到着した。

流石にクルトさんと ルンガお兄ちゃんは魔力を使い過ぎたので ここで小休憩をとることにしたよ。

セフティーゾーンでもないから 軽く【アースウォール】で壁を作ってくれたのは トンガお兄ちゃん。

三人で分担して魔法を使うのにも随分慣れたみたい。


私とお父さんは 魔力も体力も消耗していないので お茶を飲むだけ、お兄ちゃんたちは モグモグタイムです。


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