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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第186話  ノハシムを脱出

~サマニアンズSIDE~



ダンジョン後には 毎回武器屋に 武器の手入れを依頼するのが 冒険者になってからの日常だった。

まさか それすら 困難になるとは……。


「なあ、あんたら踏破したんだろ? だったらさ 魔鉄まででいいから 一緒に潜ってくれよ」


「おぉ、ダンジョン踏破だけじゃなく すげえ採掘能力がある奴らの武器を手入れさせてもらえるとは光栄だな、代わりの武器を貸し出すからよ、うちの若けえの連れて ミスリル採ってきてくれねえか?

護衛費は弾むし、手入れ代は無料でいいぞ」


「俺たちを弟子にしてくれないか!ポーターでもいい、斥候役が出来るし、こいつは魔法も使える!」


サッサさんの店にまで押しかけてくる奴は居なかったけど、一歩出たら 後ろにピタッとついてくる奴らの多さ、武器の手入れを頼みに行ったら そこでも 面倒な事を言われたから 武器を出さずに帰った。これだったら 自分たちでいつも通りの手入れをした方がましだ。

今回は魔法の訓練が多かったから 幸いあんまり武器を使ってないし 傷みもほとんどない。

冒険者からは弟子にしろって付きまとってくる奴らもいるし、マジで面倒過ぎる。

今は特に ヴィオがいるから 不特定多数の冒険者に絡まれるのは困る。



あまりに面倒な奴らが多すぎたので 早々にサッサさんの店に戻ってきた。

野営中には ヴィオと 父さんが 食事の準備はやってくれてたから 自分たちのマジックバックには 保存食がそのまま残っている。

3人で 干し肉を齧りながら 明日には 町を出ることを決めた。


「ヴィオの作ってくれた お湯いれるだけのスープ ちょっと分けてもらっとけばよかったな」


クルトの呟きに 頷く。あれは本当に美味しかった。

クルトも ボール系の魔法の圧縮に成功したら あのフリーズドライという魔法を覚えたいと言ってたけど、僕たちとしても覚えてもらえると非常に嬉しいから 頑張ってもらいたい。


「つーか 俺ら今回さ 回復薬使ってなくね?」


ルンガが 荷物の整理をしながらそんな事を呟く。

……ん? そういえば 使った覚えが無いな。


「てか ダンジョンの宝箱で出たやつも 俺たちが貰ったから 増えてるし」


いつもは全員で斬りかかって行くことが多いし、敵の攻撃も一先ず身体で受けるから 誰かしらが傷だらけになって 1日1本は回復薬を使ってたのに……。


「魔法か……」


「硬い相手に 無茶しに行かねえ分 武器も傷んでないし、お陰で出費ゼロ、収入莫大。マジでヴィオの事 知られたらヤベエなんてもんじゃねえぞ」


クルトの台詞に 背中に汗がタラリと流れる。

父さんは 気付いているのか?


「父さん どこまで気付いてるかな」


「分かってるけど 親バカになってるところもありそうだからなぁ。

俺たちの時より 厳しめな修行してるから 危険性は分かってると思うけど、父さんも ヴィオのやらかしに あちゃ~ってなってるときあるだろ?」


あぁ、馬車を浮かせるってあれね、あれは びっくりした。相手がサッサさんだから 許可をしたんだとは思うけど。


「まあ 人が多いところでは 子供の振りさせてるし 気を付けてはいると思うけどね」


「いや、子供の振りって どう見ても子供だろうが。それがあんな能力持ってんのがヤベエっつってんだよ。お前らも大概 妹バカになってんの自覚しとけよ」


ヴィオの言う通り クルトがツッコみ担当になってるね。

確かに 僕たちも ヴィオの破天荒さに びっくりしながらも受け入れすぎかもね。他の冒険者がいるところでは気を引き締めないとね。

あぁ、それもあって 僕たちと一緒に潜るってなったのかな。

ストッパー役の僕らがこれじゃ駄目だね。うん、気を付けよう。



コンコンコン 「いるか?」


「いますよ、どうぞ」


「おう、ついさっきギルマスから 索敵についての発表があったぞ。おかげで 昼からかなりの鉱員が ダンジョンに行ったみたいだ。

下まで行く奴らが 結構な人数要るから 冒険者たちも借り出されてっから 町を出るなら 今がいいぞ。夕方になったら 低層階のが戻ってくるからな」


サッサさんが 外の様子を教えてくれた。


「ギルドの奴らには お前らの状況を伝えてるから そのまま裏に回れば 担当者がいる筈だ。

……なんか 悪かったな」


「えっ? 何が??? 逆に 僕たちは迷惑かけてしまって申し訳ないと思ってるんだけど」


「いや、お前らが 踏破するだろうことは思ってたけど、こうなる可能性を伝えれなかったのがな。

この町の奴らも 悪い奴らじゃねえんだ。

ただ 最近は 踏破者も少ないし 高ランクの冒険者もあんまり来ねえってんで 鉱石に飢えてる奴らが多すぎたんだ。

ギルドも 少量ずつ 出しゃよかったんだが、嬉しすぎて 出せるだけ出します!みたいになったんだろうな。そのせいでお前らがあんなに絡まれることになっちまった」


「いや、でもそれって サッサさんのせいではないし……」


「まあな、でも 俺もこの町で 長く商売やってるからよ、この町をお前らに嫌いになってほしくねえんだ、また来てもらいたいって思ってる」


「ははっ、そんな事か。それなら 全く問題にしてないよ、確かに 今はウザいと思ってるけど、あの索敵が当り前になって 深層階に行きやすくなれば 問題ないでしょ?

今はしばらく来ようと思わないけど、ヴィオが成長したら また来るよ」


「そうか、そう言ってもらえると……、ありがとな。ヴィオと アルクにもよろしく言っといてくれ」


ちょっと涙目だったのは見なかったことにしておこう。

僕たちはサッサさんと 従業員の皆さんにお礼を言って 客室を後にした。

確かに 町に人通りは少なくなっていて、冒険者の姿もない。


「マジで皆ダンジョンに行ってんだな」


「だね、これもギルマスの作戦かな?」


「とりあえず ヴィオたちが待ってんだろ?行こうぜ」


ギルドの裏に回れば 兎獣人の男性スタッフが 待っていてくれた。


「お待ちしておりました。この時間になってしまいましたが 明日だと また冒険者たちの付きまといがあるかと思い、急遽お呼びたてをしてしまい申し訳ありません」


ペコペコと頭を下げる姿は 恐縮しまくっているのが分かる。

こちらとしては これだけの理由で ギルドの魔馬を走らせてもらうのだ。逆に申し訳ない。

箱馬車なので 乗り込めば 僕たちが乗っているか分からないだろう。

走り出しはゆっくりだったが 町を出たあたりから かなりのスピードが出ているのが分かる。

これは夕方には到着しそうだね。


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