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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第180話 ノハシム鉱山ダンジョン その11


お兄ちゃんたちが起きたのは 3時間ほど経過してから。

その間 私たちは 買ったのに使ってなかった魔道具を使って 楽しんでいました。


「あれ? それって 領都で買った 鑑定眼鏡か?」


ルンガお兄ちゃん 目敏いですね。

そうです、鑑定眼鏡です。銀板1枚分もした 高額商品、無くしたくなかったから 領都で取り出すことはせず、移動中の野営とかで 素材の鑑定を楽しむつもりだったんだけど、サッサさんの護衛依頼(私はおまけ)を受けたことで 使う機会がなかった。

そのまま 鞄に入れたままだったのを、うっかりスッカリ忘れていたのだ。


「鉱石見るのに使えるって言ってたのを思い出して 色々見てたの」


「へぇ~、商人は必須アイテムとして持ってるし 特に珍しいものでもないけど、高額商品だし 冒険者で持ってる人って少ないよね。

僕も見てみても良い?」


興味津々のトンガお兄ちゃんに 片眼鏡を貸してあげれば 嬉しそうに右目に付けて 並べたままにしていた 鉱石を片手にとって ジッと見つめている。


「へぇ~、こんな風に見えるんだ。思ってたより沢山の情報があるもんだね。

あ、ルンガ、森で狩った魔獣の素材なんかない?」


ルンガお兄ちゃんが マジックバックから 魔獣の皮を取り出した。

お兄ちゃんたちのマジックバックは時間経過するから 生ものは入れてられないからね。私の鞄も 同じだと伝えているので、生肉は 早めに加工して 干し肉か フリーズドライの状態にしている。

ダンジョンで食べているお肉は ノハシムで購入したお肉で、生肉は 明日の分で終了と伝えている。

私の氷魔法で 凍らせているから マジックバックの中でも 1週間も保っているという事にしているからね。


「あぁ~、これをギルド職員は見てるんだね。確かに 皮の素材に ルンガの魔力が付ているね。

ヴィオ ありがとう。

これ、魔力の云々は不要だけど、素材の情報を知るのは良いかも。僕らも王都で買おう」


「そんなにか?」


「うん、ダンジョンの素材は 大抵資料に乗ってるけどさ、森ダンジョンなんかだと 販売用の素材以外は 探さないだろ?

それに 移動中の森だって 【索敵】を使えるようになった今 入りやすくなっただろう?

どうせ入るなら 素材採集もしておきたいじゃないか。

クルトだって スパイスのもとがあるかもしれないぞ?」


怒涛のトンガお兄ちゃんからのプレゼンに 食材という核心を突かれた クルトさんは 陥落した。

ルンガお兄ちゃんは 最初から賛成派だったらしいので、三人のパーティー資金から 購入することにしたらしい。


「パーティー資金?」


「パーティーで活動した時は 討伐ポイントは 全員に同じだけ振り分けられるんじゃ。

今は儂と ヴィオの二人で 森に行ってボアを討伐しても、ヴィオにポイントが入るだけじゃろう?

それは 儂らがパーティーを組んでないからじゃ。

もし組んだ状態で ボア討伐の依頼を受けた場合 ポイントが其々に入るっちゅうことじゃ。これは 一切手出しをしておらんでも 同じ場所に行ったという事で振り分けが行われる」


ふむふむ、とどめを刺した人だけに 多くのポイントが入るようになっていれば、魔獣に直接対峙しない 補助魔法で サポートしている人たちはポイントゼロってなっちゃうもんね。それはパーティーが破綻しちゃうね。


「それと同じように パーティーでの報酬は 報告者に一律で支払いが行われる。

その後にパーティー内で どんな風に仕分けるかは まあ リーダー次第ちゅうこっちゃな」


ん?だとしたら がめついリーダーだったら「俺が一番功績を立てたんだから 半分は俺、残りをお前らで分割」とかになりそうじゃない?

パーティー追放系のラノベでは、大概追放されるサポート職の人は 給料が殆どなしって事が多かったよね。そういう事がまかり通りそうじゃない?


「ヴィオ 凄いね。本当にそういう事があるんだよ。

特に合同パーティーを組むときなんかは その辺りを入る前に しっかり話し合って、ギルド立ち合いのもと書面にしておかないと 後々揉めることがあるんだ。

自分たちは全然動かなかった癖に あの敵は自分が倒しただの、あの敵は先に自分が目を付けてたのに 俺たちがかっさらっただの、ボスに一番攻撃を叩き込んだのは自分だの……、あの弱さでそんな事を言える奴らがクソみたいな○%×$☆♭#▲!※」


おぉっと、トンガお兄ちゃんは そういう輩に出会ったことがあったんですね?

思い出してしまったのか 険しい顔で どんどん言葉が荒くなっておりますが 大丈夫でしょうか。


「まあ、冒険者は全てが自己責任っちゅうことじゃな。

リーダーが元貴族というパーティーも少なくないしな、 ギルドが必要以上に踏み込まんようにしておるというのもあったんじゃ。

しかし ギルドの契約立ち合いは上手く使えば便利じゃからな。ヴィオも 今後 儂ら以外の誰かと 臨時パーティーを組むようなことがあったら まずはギルド立ち合いの契約をしておくことを勧めるぞ」



うん、契約については ギルドの勉強会でも教えてもらったからね。

パーティー内での金銭授受に関しても ギルドの立ち合いを依頼することができるって言うシステムには驚いたけど、男女のパーティーで カップルになっちゃったら、お金の貸し借りとかもありそうだもんね。

そのまま結婚するなら良いかもしれないけど、冒険者はランクが上がって稼げるようになると 夜遊びが激しくなる人もいるみたいだし、そうなったら 貸したお金が帰ってこなくなる可能性は高い。

そうならないために 借用書と (強制)積み立て貯金のシステムがある。


そのシステムとは 例えば 男Aが 女Bにお金を借りたとする、その額30ナイル(3万ラリ)。

これをギルド立ち合いのシステムを使うと 男Aは 借用書の記載と共に 積立貯金に申し込みをさせられる。

この積立貯金は ギルドの銀行システムと繋がっており、報酬の一部を 強制的に積み立てられるという訳。

男Aが 討伐報酬20ナイル分(2万ラリ) 稼いだとする。

“引き落とし2割” で申し込みをしていた場合 4ナイル(4千ラリ)が積立貯金に回されることになるので 男Aには 16ナイル(1万6千ラリ)の報酬が支払われる。

勿論初めに借りた 30ナイルを積立貯金が超えれば それ以上の引き落としはされないけど、そういう男は 何度も 忘れた頃に金を借りるので 積立金が超えることはないらしい。

そして、男Aが返す能力が無い、もしくは 女Bが 男Aとの決別を決めて 全額返金を求めた時、強制積立金の全額が 女Bに支払われるという事だ。

勿論 足りてない事もあるようだけど、全く返金されないよりは良いし、その後も男Aが冒険者を続ける限り 満額になるまでは 強制積立金が 解除されることはないというシステムだ。


このシステムも 時の勇者様が考えたという事だけど、元の世界で結婚詐欺にでもあったのだろうかと思ってしまった私は悪くないと思う。



ああ、話が逸れたけど、パーティー資金というのは、パーティーに支払われた報酬を4分割し、3人に分けた後、残りを パーティーで使えるように貯蓄している資金の事だという。

全てのパーティーがしている訳ではないけど、比較的まともなパーティーでは 取り入れられているシステムだそうだ。

個人資金は 自分の自由に使って良いけど、パーティー資金を使う時は 必ず全員の許可を得るようにしているらしい。


お兄ちゃんたちのパーティーでは、回復薬はパーティー資金からは 3本ずつ、足りない分は 各自で購入。

食材なども 基本はパーティー資金を使うけど、余分に食べたいものや 酒、甘味などは各自で購入。

パーティーで使うものはパーティー資金という事なので 今回の鑑定眼鏡は パーティー資金を使うという事になったようだね。


トンガお兄ちゃんと ルンガお兄ちゃんが インランお姉さんを見て嫌悪感を示したのは、ハニトラに引っ掛かったクルトさんが 自分の持ち金だけで支払えず、パーティー資金から 支払いを行ったことがあったかららしい。

勿論 既にその時のお金はクルトさんから徴収済みらしいんだけど、お金の問題は 家族であっても関係を壊すことがあるからね、気を付けなきゃデス。


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