第2話 出会い
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「おぉ~い!だいじょ~ぶか~~~!?」
大きな声がしてハッとすると 川岸でおじさんがこっちを見ながら 大きく手を振りながら叫んでる。
考えているうちに緩やかな川の流れに どんぶらこっこと流されていたようで、おじさんの声に起き上がると同時に ツルっと足を滑らせた。
ドボンッッ!!!
◆◇◆◇◆◇
パチパチパチ
木の爆ぜる音が心地よく、まどろみからゆっくり目覚める。
「おぅ、目覚めたか?
いやぁ、びっくりさせてすまんかったなぁ。
溺れてしもうたから慌てて連れてきたけど、親御さんが探しとるかもしれん。この辺では見かけん子じゃけど、どっから来た子じゃ?」
熊のような人。という表現はよく聞くが、まさしく熊のような耳が頭のてっぺんに見える大柄で優しい眼差しのおじさんがホカホカ湯気の上がるコップを片手に近づいてきた。
「クマさん?」
ハッとした時には、思っていたことが口から出ていて 慌てて手で口を押えるが聞こえていたらしい。コレは失礼だったのでは!とアワアワ慌ててしまうが おじさんは気にしていないようだ
「わははは。そうじゃよ。熊の獣人じゃな。わしの名前はアルクという。お嬢ちゃんは何と呼べばよいかの?」
私を寝かせていてくれていたベッドの近くに椅子を引き寄せアルクさんが座り、コップを差し出してくれた。水浴びして濡れネズミだったはずのワンピースや髪はすっかり乾いており、汚れも臭いもなくなっていた。
「アルクさん、わたしはヴァイオレットっていいます。たすけてくれてありがとうごじゃいます」
ごじゃいます。ってなんだよ!嚙んじゃったよ!恥ずかしい!!!
内心羞恥で悶えながらひとまず助けてくれたお礼を言うと、アルクさんはとても嬉しそうに大きな手で頭をなでてくれた。
「ちゃんとお礼も言えて偉い子じゃな。親御さんに大事に育てられとるんじゃな。はよう帰らんと心配させてしまうなぁ」
アルクさんの言葉に 溺れた時に 滝のように流れ込んできたこのヴァイオレットの記憶を思い出す。