表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/359

第2話  出会い

プロローグの3話分を同時投稿しています 2/3話目

「おぉ~い!だいじょ~ぶか~~~!?」


大きな声がしてハッとすると 川岸でおじさんがこっちを見ながら 大きく手を振りながら叫んでる。

考えているうちに緩やかな川の流れに どんぶらこっこと流されていたようで、おじさんの声に起き上がると同時に ツルっと足を滑らせた。


ドボンッッ!!!



◆◇◆◇◆◇



パチパチパチ  


木の爆ぜる音が心地よく、まどろみからゆっくり目覚める。


「おぅ、目覚めたか?

いやぁ、びっくりさせてすまんかったなぁ。

溺れてしもうたから慌てて連れてきたけど、親御さんが探しとるかもしれん。この辺では見かけん子じゃけど、どっから来た子じゃ?」


熊のような人。という表現はよく聞くが、まさしく熊のような耳が頭のてっぺんに見える大柄で優しい眼差しのおじさんがホカホカ湯気の上がるコップを片手に近づいてきた。


「クマさん?」


ハッとした時には、思っていたことが口から出ていて 慌てて手で口を押えるが聞こえていたらしい。コレは失礼だったのでは!とアワアワ慌ててしまうが おじさんは気にしていないようだ


「わははは。そうじゃよ。熊の獣人じゃな。わしの名前はアルクという。お嬢ちゃんは何と呼べばよいかの?」


私を寝かせていてくれていたベッドの近くに椅子を引き寄せアルクさんが座り、コップを差し出してくれた。水浴びして濡れネズミだったはずのワンピースや髪はすっかり乾いており、汚れも臭いもなくなっていた。


「アルクさん、わたしはヴァイオレットっていいます。たすけてくれてありがとうごじゃいます」


ごじゃいます。ってなんだよ!嚙んじゃったよ!恥ずかしい!!!

内心羞恥で悶えながらひとまず助けてくれたお礼を言うと、アルクさんはとても嬉しそうに大きな手で頭をなでてくれた。


「ちゃんとお礼も言えて偉い子じゃな。親御さんに大事に育てられとるんじゃな。はよう帰らんと心配させてしまうなぁ」


アルクさんの言葉に 溺れた時に 滝のように流れ込んできたこのヴァイオレットの記憶を思い出す。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ