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第172話 ノハシム鉱山ダンジョン その3


おはようございます。

ダンジョン泊は 何の問題もなく よく眠れました。

夜は2時間交代で お父さん、クルトさん、ルンガお兄ちゃんの順で見張りをしたそうです。

今夜は トンガお兄ちゃん、お父さん、クルトさんの順だそうです。

見張り免除して頂きありがとうございます。


朝は 軽い食事、普段の皆が食べる量から考えれば随分少ないけど、ダンジョン内では お父さんもこんなくらいなので 地上では食溜めをしているのでしょう。


「じゃあ 壁 崩すよ~、それなりに集まってると思うから 構えてね」


「ん? トンガお兄ちゃん ちょっと待って、だったら 先に【索敵】で確認してみるから」


「「「あっ、そっか」」」


夜中は 然程多くはなかったものの 数匹はシカーバットが来てくれたらしく、クルトさんもエアショットの練習が出来たと喜んでいた。

洞窟の壁際に積み上がった 蝙蝠の羽は ドロップアイテムだけど、この中にスライムが居ないから 消化できずそのまま残っているのだろう。

この土壁を崩せば どこかにいるスライムくんが来て 食べてくれるはずだ。


【索敵】をしてみれば 壁際に ロックラットが数匹、シカーマンティスが 少し離れたところに 2匹程いるのが分かる。

崩して直ぐにこちらに来るとしたら このロックラットくらいだろう。


「うん、シカーマンティスは 出てからで十分対処できると思うから、壁際にいるロックラットだけこのままやっちゃうね」


「え? このままでいいの?」


「うん、索敵で場所を確認してたら 魔法の行使は 難しくないよ、やってみるね【アースランス】」


壁を挟んだすぐそこにいる 小さなラットたちは 眠っているのか動いていないため 的を絞りやすい。ラットの真下から 土の槍が出現し、逃げる間もなく ラットの身体を貫いた。

トンガお兄ちゃんは 直ぐに土壁を解除し 目の前で キラキラと消えていく ラットの姿を見て ポカンとしていた。


少し離れたところにいたシカーマンティスは 魔力の動きで こちらに気付き シャカシャカと 走り寄ってくるけど、とりあえず邪魔なので 【エアカッター】で首チョンパです。


「これは……」


「おう、これをマスターしたら 野営の危険性は大分減るぞ」


「索敵がこんなに便利だと思ってなかった……」


「ヴィオ、さっきのアレ 僕たちも真似して良いかな」


三人で顔を付き合わせて 何やら相談してたけど、トンガお兄ちゃんが ガバっと振り返り 私にそんな事を言う。アレってのは索敵の事?

既にお兄ちゃんたちも使えるようになってるし、何の問題もないと思うんだけど?


「ヴィオ、そっちじゃなくて 壁越しに 攻撃する方法の事じゃ。冒険者は普通 自分たちの有利になるような攻撃方法は 他者には教えん。

その方法が金になることもあるからな。水生成魔法がまさにそうじゃったじゃろう?

じゃから 他の冒険者のやり方を見て 真似る時は 本人に 使っていいか聞くことが多いんじゃ。権利の問題じゃな」


不思議な顔をしていたからだろう、お父さんがそんな風に説明してくれたんだけど、意外と冒険者って大変なんだね。


「生活魔法なんかは “勇者が考え付いた”って教えられただろ? あんな風に 凄い魔法とか技術は 誰が作った、考えたってのを明確にしていることが多いんだ。

金だけじゃなくって 名声っつーの?そういう事だな」


お金をもらわない人は 名声だけになるぶん 『誰々が作った』ってなるんだね。


「ってことは、水生成魔法は ドゥーア先生が作ったってなるんだね?」


「そうじゃな “ダンブーリ・ドゥーアの水生成魔法” と呼ばれるようになるはずじゃ」


おぉ!格好良いね!!! 〈ハ〇ーポッターと賢者の石〉みたいじゃない?

先生の名前もニアミスだし、もし地球からの転生者が居たら「えっ!?もしかして ココってあの世界!?」ってなっちゃうかもね。

ちょっとワクワクしてしまったけど、トンガお兄ちゃんとのお話途中でした。


「このダンジョン旅の時に 私が使う色んな魔法は お兄ちゃんたちも真似してくれて大丈夫だよ。でも それが普通じゃないかどうかは教えて欲しいの。

他の冒険者さんが居る時に使わないようにした方がいいものかどうか分かんないから。

で、お兄ちゃんたちの色々も 私が真似してもいい?」


「ふふっ、そうだね。他の冒険者との違いに関しては 僕たちも結構色々見て来たから 伝えられると思う。勿論 僕たちの ダンジョンでの過ごし方や 戦い方なんかも ヴィオが 使えそうだと思ったら真似してくれていいからね」


クルトさん達も頷いてくれたので 良かった。というか、これって チームを組んだ時に確認しておくべきことだったよね?

お父さんを振り返ったら 一つ頷かれたので やっぱりそうだったっポイ。

うん、一つまた勉強になったね。



◆◇◆◇◆◇



そんな始まりだったけど、冒険の再開ですよ。

お兄ちゃんたちは 無駄に全フロアの敵を討伐して歩いていないので、この階にも まだ残っている魔獣はいる。けど、こっちに近付いてくるわけではないので放置である。


野営地点から 直ぐ近くにあった階段を下り、4階フロアへ。

ここは ルンガお兄ちゃんが索敵担当という事で じっと目を瞑って 魔力を伸ばしている。

私は私で 索敵をするけどね。


フロア全体の広さが増え、更に 人も沢山いるのが分かる。通路が繋がっているところもあるけど、つきあたりになっているところも多く、人はそのつきあたりになる場所に其々いるみたいだ。

通路の途中だと 左右からの魔獣に対処しなければならない事を思えば、一定方向だけに注意すればよいつきあたりを選ぶのも当然かもしれないね。


「あー、こんな感じに見えんのか。これはすげえな……。

魔獣の種類は変わらねえな。数は3階と同じくらい、ただ ドンツキに採掘してる奴らが結構いるから そっちに魔獣も集まってんな。

これは 4階はスルーして 5階に行っちまった方が早えかもだぞ」


「ああ、4階から7階は鉄鉱石だもんね。だったら 一番魔獣が少ない4階で採掘作業をするだろうね。

下手したら 5階もそうかもしれないし、その場合は 一気に潜れるかもね。

父さん、魔獣も そっちに行ってるから 討伐の練習にもならないし、どうせなら 人が少ないところでの採掘の方が良いでしょ? そんな感じで良い?」


「そうじゃな、儂はそれでええが ヴィオはどうしたい?」


「うん、良いと思う。下の階でも カンコンしてたら魔獣が来るでしょう? 他にカンコンしてなかったら 全部来るかもだし その方が 一気に倒せて良いと思う」


「おい、幼女が一番戦闘狂ってどういうことだ?」


「可愛くて 強いって 最強だよね」


「俺もそう思う」


クルトさんのツッコミは 今日も不発です。シスコン兄達だから仕方がないと思います。

ちなみに私は戦闘狂な訳ではありません。ただ 効率的だと思っているだけですよ。


クルトさんが いつの間にかパーティー内のツッコみ担当になってしまったようです。ガンバレ!

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