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第169話  ダンジョンに出発 


「え~っと、銀ランク中級パーティー〔サマニアンズ〕の三名と、銀ランク上級 アルクさんと 銅ランクのヴィオさん親子の合同パーティーでのダンジョン挑戦ですね。予定は3週間ですね。

こちらのダンジョン内での採掘された鉱石に関しましては、個人的に使われる量であれば 持ち出しできますが 一定量以上は ギルドに販売して頂く規定となっておりますのでご理解ください」


鉱石を他の町でバンバン売られちゃったら ノハシムの町が潤わないからね、それは当然でしょう。というか、すごく気になる言葉が聞こえたけど 今聞くべきじゃないよね。

手続きを トンガお兄ちゃんと お父さんが代表してやってくれている間、早く聞きたくてソワソワしてたら ルンガお兄ちゃんに抱き上げられてしまった。


「それでは予定日より5日以上お戻りが遅くなる場合 捜索隊が出されることとなります。その際の費用は70ナイルとなりますので ご注意ください」


捜索は ルエメイでも説明されたから知ってるけど、え?めっちゃ高くない?

驚いている間に お父さんたちは サインをして 手続きが終了した。5人で揃ってギルドを出たことろでお父さんに確認だ。


「お父さん、捜索隊のお値段 すっごく高くなかった? 町によって違うの?」


「ん? あぁ、あれはダンジョンのランクによって違うんじゃ。初級は 3日で30ナイル、中級は 5日で 70ナイル、上級は確か……」


「10日経過で150ナイルだよ。上級以上のダンジョンは 捜索隊を出さないところもあるけど、それは捜索に入る冒険者も危険だからだね。

ランクが上がれば それだけ中も広いし 魔獣も強敵だろう?

それだけのリスクを負って入ってもらうから 高額になるんだ。まあ、無茶な冒険をするなよっていう戒めでもあるかな。

後は計画だね、できるだけ余裕を持った日程で工程表を組んでおかないと 帰って来れなくなっちゃうから気を付けないとね」


なるほどですね。

そりゃそうか、1日数階分を踏破できるような 初級ダンジョンと、1階が広すぎて 捜索に時間がかかるダンジョン、同じ値段な訳がないよね。

ルンガお兄ちゃんに 抱っこされたまま町を出る。 おや? 私そろそろ歩けますが 忘れてますか?

下ろしてもらおうと トントンしたら ルンガお兄ちゃんから質問された。


「そういえば さっき受付中に ソワソワしてただろ? あれ なにがあった?」


「今の捜索費用の事じゃねえの?」


「いや、そのもっと前に ソワソワして 父さんと兄貴を見上げてた」


クルトさんのツッコミに そうじゃないと返すお兄ちゃん、そうだ、そうだった、それも気になってたんでした!


「ああ!うん、あのね、サマニアンズってなぁに?」


「「「んぐっ」」」


聞いた途端に 3人の足が止まった。

プルプル震えているのは 抱っこしてくれているルンガお兄ちゃん、腕が緩んだので するりと腕から下りますよ。

3人が固まったままなので、お父さんと手を繋いで ダンジョンを目指す。

置いていくのか?って思うだろうけど 直ぐに追いついてくるから問題ない、って ほら もう追いついてきた。


「あんまり深い意味はないんだ、ドラゴンとか付けたくなかったって言う拘りのない拘りくらいしかなかっただけで」


「俺が参加した時には すでにその名前だったしな、ダセェって思ったけど 覚えられやすくはある」


「まあ あれだ、痛々しい名前じゃないだけ マシだってことだな」


何故か 三人が 其々に言い訳しているんだけど、それは あの サマニアンズという名前についての言い訳だろう。


「ヴィオ、あの名前は 三人のパーティーの名前じゃ。パーティーで活動するときは 個人名を呼ぶことはあんまりなくてな、ギルドなんかでも パーティー名で呼ばれることが多いんじゃ」


あぁ、パーティー名ね。

村の名前からもじったんだね。故郷愛って感じだね。盗人という意味のスチーラーズという名を付けちゃうよりずっといいと思うよ。

この世界でスチーラーズにそういう意味があるかは知らないけど、私の中での彼らの印象が悪いのは 個人名もだけど パーティー名も印象最悪だもん。

お兄ちゃんたちは 話が逸れて ちょっとホッとしているようだけど、あれかな? ルンガお兄ちゃんが言ったように つけてから ダサいって思ってたのかな。


「お父さんは? お父さんも 冒険者時代はパーティーを作ってたんでしょう? 何て名前だったの?」


「儂か? 儂らは〔大樹の祠〕じゃったな。木魔法が得意なものが多かったから その名を付けた気がするが、正式な理由は覚えとらんな」


おぉ!なんか防御特化してそうで格好良い名前だね。

冒険者パーティーの名前って 実際付けるとなると難しいだろうね。

だって、金ランクの上級の二人だって 大分 厨二っぽい名前だった気がする。たしか〔サラマンダースター〕と〔美麗なる調査隊〕だったかな。


火蜥蜴のスター? 火蜥蜴を倒すのが得意な人だったのか、火蜥蜴が大好きな人だったのか、ドラゴンと名付けるのは 畏れ多くて サラマンダーにしたのか……謎過ぎる。

だけど 〔美麗なる調査隊〕よりはマシだと思う。

会った事もないけど、私の中の調査隊のリーダーの人は、金髪碧眼で 白いスーツを着てて、腰まである金髪を 縦ロールでクルクルしているイメージだ。完全に ベルバラのオスカルなのは そのパーティー名のせいであることは否めない。

これで 人攫い子爵みたいな チビハゲデブの三拍子揃ってるオッサンだったら 爆炎魔法をぶちかましてしまうかもしれない……。


「じゃあ ヴィオなら どんな名前を付けたい?」


突然の質問に 考え込んでしまう。

う~ん、なんだろうね。ドラゴンに会いに行きたいとは思ってるけど、パーティー名に付けたいとは思わないし、パーティーを組む相手にもよるよね?


「ん~、お父さんと二人のパーティーだったら 〔ヨザルの絆〕とかかな」


メスが授乳するとき以外は おんぶして 常に子供を守りながら生活しているというヨザルという猿。コウテイペンギンの子育ても 中々ハードだけど、こっちのサルは ハートフルだなって思った記憶が蘇る。


「よざる? ってなんだ?」


「お母さんが教えてくれたんだけど、 お乳をメスがあげる時以外は オスが ずっと子育てを率先してくれる夜行性の猿なんだって。

私のお母さんはいなくなっちゃったけど、こうやってお父さんがずっと一緒にいてくれるから寂しくないし、鍛えてくれるお陰で お兄ちゃんたちとも こうしてダンジョンにも来れたでしょう?

だから お父さんに育ててもらってるから ヨザルの関係になぞらえたの」


そう言った途端 ひょいと抱き上げられ、気付いたら お父さんに抱きしめられていた。

ふふっ、こんな風にお父さんからギュってしてくるのは久しぶりだね。


「ええな、特にパーティー名は付けてなかったが、このダンジョンを終えたら その名で登録しよう。ヴィオのタグにも 名前が刻まれるようになるぞ」


「ほんと? 楽しみ!」


お父さんが パーティー名を付けようって言ってくれるなんて思わなかった。特に私も必要だと思ってなかったし、どんな名前にするって聞かれたから答えてみたけど、お父さんとお揃いで タグに刻まれたら 親子の証明みたいで嬉しい。


お兄ちゃんたちが羨ましがり、自分たちの名前も改名するか?なんて言い出したころ ノハシム鉱山ダンジョンの入り口に到着した。



パーティー名は勢いで決めちゃダメなやつw

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