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ヒロインは始まる前に退場していました  作者: サクラ マチコ
第一章 幼少期編 

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第161話 プレーサマ辺境伯領都 その2


前後の冒険者たちとの交流を楽しんでいたら 時間はあっという間に過ぎ 私たちの順が来た。

先に行ったお姉さんたちは ギルドタグを見せるだけで 許可をもらっていたので 街に所属している冒険者というのは本当だったんだろう。


「はい 次の方。通行証かギルドカードをお願いします。

商人取引証を持っているか 銅ランク以上の冒険者なら1ナイル、無ければ5ナイルです」


メリテントの街にいた自警団の人たちと同じような 兵士さんが 長いテーブル3台分に 数名ずつ並んでいて お兄ちゃんたちも其々にカードを取り出して見せた後 お金を支払っている。

村はギルドタグで良かったけど、ここはカードなんだね。しかも入村料って徴収なかったけど 此処はあるんだね。


「お嬢ちゃんは……まだ洗礼前ですね? お父さんのギルドカードで確認しましょうか」


「お兄さん 私持ってるよ。はい」


お父さんに抱っこされたままの私を見て お父さんに確認をした兵士さんだけど、ちゃんとカードは鞄から出して準備してますから。

そう思って カードを提出すれば 受け取ったものの 「え?」と顔に書いてある。

カードを見て、私を見て。

カードを見て、お父さんを見て。


「え? やっぱり洗礼前で……、え?銅ランク?」


「すまんが 冒険者ギルドでの決まりもあるのを知っておるじゃろう? そろそろカードを返してくれんかの?」


「あっ!申し訳ありません。お嬢ちゃん ありがとう。

カードお預かりします。

はい、確認できました。ようこそプレーサマ辺境伯領都へ」


お兄さん大丈夫だろうか。そんなにいないのかもしれないけど、これだけ大きな街だったら ギルドに早めに登録して 街中依頼で銅ランクになってる子供が居てもおかしくないと思うけどな。

ランクまで口にしたお兄さんに対し、ちょっとお父さんが 低い声で 注意をすれば、お兄さんも慌ててカードを返してくれた。

お父さんのカードは素早くチェックして返してくれたので、銅貨2枚を支払って さっさと門の中を通り抜ける。

メリテントでも タグの確認だけだった気がするけど、お父さんが知らない間に支払ってたのかな?後で聞いてみよう。


門の出口(というか入口?)でお兄ちゃんたちが待っててくれて、私たちの顔を見て ほっと安心したように手を振ってくれた。


「随分時間かかったんじゃない?」


「ヴィオのカードを見て ちょっとパニックを起こしたようじゃな。裏側を見たら 叫んでおったかもしれんな」


ギルドカードの表側には、名前、年齢、ランク、パーティー名、賞罰の有無が記載される。

裏側には 得意属性、称号、ダンジョンの攻略情報が入るが、こちらはカードの持ち主が魔力を流すことで 書き換えができる。

書き換えと言っても 追記が出来るのではなく、書いているものを消す(見えなくする)ことが出来るという事だ。

私の本当の得意属性は 全属性だけど、カード上は 水・木・火・風の4つだけにしてある。

今は他に特記内容がないから ダンジョンは全部書いてあるままだ。こないだサマニア村に カードを提出した時に 6歳に書き換わったのと同時に ダンジョン名が6カ所分記載されてたんだよね。

本当に このカードがどんな仕組みになってんのか 謎過ぎる。


さっきの兵隊さんが確認していたのは カードの表面、賞罰の有無を確認しているのだとお父さんが教えてくれた。

裏は書き換えができるけど、表は出来ないからね。

あのお兄さんの状態じゃ 裏側を見てたら 絶対に声を上げてただろうね。


「ヴィオの年齢だったら 父さんと一緒なら証明無しで入れんだろ? 面倒に巻き込まれる可能性があるなら 出さねえほうがいいんじゃねえの?」


ルンガお兄ちゃんの言う通りだと思う。

ついつい 証明書があるなら出さなきゃって思ったけど、それで余計な面倒に巻き込まれちゃったら お兄ちゃんたちにも迷惑かけちゃうね、反省です。


「ヴィオ? ルンガは ヴィオの事を心配してるだけだからね?

余計な事をしたとか思わないでいいんだよ?

大体 証明書に不備が無い限り 他者に聞かせるなんて失態をした兵士が悪いだけだからね」


ちょっとだけ凹んでたら トンガお兄ちゃんが 隣に来てそんな事を言ってくれる。

ルンガお兄ちゃんも ちょっと焦りながら 私を責めたつもりじゃないって言ってくれる。

ふふふ、大丈夫 お兄ちゃんに怒られたって思ってないよ、心配させちゃったなって思っただけだから。

優しい家族に甘やかされてるなって思うけど、あと1年で洗礼だから 今年だけの特典だと思って 目一杯甘えよう。


「とりあえず ギルドに寄る必要はないだろ? 宿で良いか?」


「そうだね、ここまで採集はしたけど 減った物は殆ど無いし、買い足す必要なモノもないから 宿でいいでしょ。

ヴィオ、宿について 旅装を解いたら 街に買い物に行こうね」


クルトさんが先導しながら 歩いているんだけど、どうやらお宿に向かっているらしい。

街はとっても大きいけど、道も広いから 人は多いけど メリテントの最終日よりは混み合っていない。


「お父さん、こないだのメリテントより 空いてる感じだね」


「そうじゃな この街は広いから、街の中に馬車が走っておるくらいじゃ。

ほれ、ああして 目的の場所が分かっていれば 馬車で移動する人が多いからな 歩いておる人が少なく感じるんじゃろ」


おお!循環バスならぬ 循環馬車ですね?

馬車が多ければ 馬糞の問題がよくあげられるけど 【クリーン】という生活魔法があるから 停車場でお馬さんが 用を足しても 御者さんが【クリーン】をして綺麗に片付けている。

走ってる最中のは 見かけた人がかけるのかな? それは気にして見ておこう。


門を出て直ぐに左右へ人が流れていたのは 馬車乗り場があったかららしい。

どうりで 人通りがあまりないはずである。

ちなみに 街中乗合馬車は一律 どこまで乗っても1ナイル(銅貨1枚)なんだって。

そして 定員もないらしくって ギュウギュウになっても スカスカでも 同一価格なんだって。

無駄遣いしない集まりの私たちなので、普通に歩いてお宿に向かっております。


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