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第131話 ギルドに報告


≪ボス部屋は どこもおなじで 手抜きかな≫


ヴィオ、心の一句がまた出来ました。



いやいやいや、だってさ、ここまでが森だったんだよ?

だったら森だと思うじゃん?

もしかしたら岩場だったりする?とか期待しても悪くないよね?


でもさ、セフティーゾーンを出て、ワクワクしながら10階に続く階段を下りたら 見覚えのある空間と、見覚えのある扉があったのよ。

そう、10階は土壁っぽい殺風景な感じでね。


まさかと思って、だけどっていう期待を込めて扉が開くのを待ったらさぁ、オークを中心に ゴブリンが並んでいた訳だわ。

コベニアダンジョンの メイジゴブリンたちの並びを彷彿とさせる感じで、思わず演出が終わると同時に【フレイムバレット】を撃っちゃったよね。

でも仕方なくない? 凄く楽しみにしてたんだもん。


何なら9階の方が大変だったくらいなんだよ。

果樹に集まるオークとゴブリンは同じだけど、オークの数が2体以上になってるし、イエロースネークだって複数になってたりしてさ、まさか、ボス部屋の方が簡単だなんて思わないじゃん?


しかも、サブマスにお土産で渡すつもりで 開けた宝箱は、謎肉だったし。


「お父さん サブマスさんのお土産にしようと思ってたのに、謎肉が出ちゃった。流石にこれをお土産にするのは駄目だよね?」


「くっくっく、ええと思うぞ。あの人はああ見えて肉が好きじゃしな、ヴィオが頑張って倒したボスのお土産じゃ、喜んでくれると思うぞ」


本当に? でもお父さんめっちゃ笑ってるし……。でも、ネタお土産部門って事でいいかな。私の鞄に入れてたら腐ることもないし、うん、笑ってもらおう。



ボス部屋に不満は残ったものの、道中6階~9階は非常に楽しかったので、良しとすることにした。

ボス部屋を終えた私たちは、そのまま魔獣が少ない9階で安全に採集を行い、8階のセフティーゾーンで1泊。その後は全ての階で 魔獣がリポップしているので、お父さんと二人で討伐しながら、戻った。


「香辛料も十分採れたからな。保存袋もいっぱいじゃろう?」


そんな事を言いながら お父さんが討伐を一緒にやってくれたから すごく早くて、5階までは1日1泊の予定だったのに、7階から5階までは1日で突破してしまった。

5階の湖エリアで1泊したら、4階からはノンストップの最短距離でサクサク歩くだけだ。

森ダンジョンは フォレストスパイダーの糸とか、ホーンラビットの角とか、イエロースネークの皮と牙とか、色々拾うものがあったけど、4階以下はないんだもん。

魔獣が見えた途端に 魔力を通した鞭を振るってたから、近くを通る時には既にドロップアイテムになっているし、拾う必要もないから歩く速度が速くなる。


そんなこんなで、予定日の土の日を大幅に短縮し、週の始まりである木の日にルエメイ村に戻ることが出来た。




「ただいま戻りました~」


ガタっ! ガタガタ バタバタバタ


「ええっ!? ああ、ヴィオちゃん!」


「えっ?あの可愛い子? 帰ってきたの?」


「あ~、ほんとだわ。よく顔を見せて? 怪我はしていない?

うん、大丈夫そうね」


「予定より早かったですが、無事のお帰りで安心しました。 ダンジョンは何度でも挑戦できますからね。休息し、装備を整え、チャレンジしてみてくださいね。

命あっての物種です、失敗しても元気で戻って来れたなら 良いことです」


ダンジョン時間で動いていたから、多分今朝も早朝5時くらいに起きて、6時くらいから活動をしていたと思う。

なので、冒険者ギルドに到着したのがお昼過ぎの 閑散時間だったのだろう。受付カウンターに誰も座ってなかったから声を掛けたら、奥から沢山の受付さんが走って出てきた。


出かける日に 大丈夫とお墨付きをくれたお姉さんも、実はとても心配してくれていたらしく、抱き上げて怪我の有無を確認された。

ぶらぶらした足が不安定だけど、抱き上げられるのは慣れているので大丈夫です。

そして、出かける日に心配してくれた人族のお兄さんが、うんうんと頷きながら 無事でよかったと言ってくれているけど、失敗したと思われている?


「ははっ、予定より早かったから 途中で断念したと思われとるんじゃろう。

ああ、無事にダンジョンは踏破してきた。素材の買取を頼みたい」


「「「ええっ!?」」」


お父さんが踏破を宣言すれば、集まっていた受付さんが驚いている。

まあ、帰り道でお父さんが無双しなければ まだ戻って来れてないしね。元々の2週間予定ですら驚かれたんだもん、それより早ければ驚かれても仕方ないね。


驚きながらも 流石はギルドスタッフといいますか、カウンターの中に戻って 買取の準備を始めてくれる。今朝、湖のお泊りをした後に お父さんのマジックバッグへ 買取してもらう素材と、魔獣の素材は移してある。

次々に腰のポシェットから 大きな保存袋が取り出され、順にテーブルへ並べられる。


「ちょ、ちょっとお待ちください。カウンターでは処理しきれない可能性がありますので、2階の会議室でお預かりしてもよろしいでしょうか」


お父さんが「これが6階で」と言いながら袋を取り出したもんだから、6~9階分の多くの素材があると気付いたギルドスタッフは、途中で止めて 会議室に案内してくれた。

休憩に戻ろうとしていた他のスタッフさんも、これは手伝わなければと思ったらしく 一緒に会議室まで来てくれた。


大きなテーブルが数本並んだ部屋で、テーブルごとに階層、食材、魔獣素材、薬草関係、その他素材に分けて置いてほしいと言われたので、お父さんが順に置いていく。

職員さんが袋から素材を取り出しながら、テーブルにせっせと並べて行くのを 私は椅子に座らされて眺めている。


「時間が止まるマジックバッグだからこんなに沢山の素材を持って帰って来れるのですね。この新鮮さは 皆が喜びますね。高値が付きますよ」


「フォレストスパイダーの糸も こんなに沢山! これは服飾店だけでなく 寝具店にも販売が出来そうですね」


「薬草採取の技術も高いですね。どれも素材を痛めることなく採集が出来ていますよ」


スタッフさんが大興奮しているよ。

保存袋は種類別にしているから 並べるのは然程大変ではないと思う。お土産にするのと、自分たちが持っておきたい分は別にして、私の鞄に入っているから、今テーブルに並べているのは全部売るつもりの素材だ。謎肉も出してない。

お父さんも袋を出し終えて 私の隣に戻ってきた。


「これだけ沢山の量を持ち帰って下さりありがとうございます。

初級ダンジョンだけあって、時間を止めるマジックバッグをお持ちの方が入るなんてなくて、ここまで新鮮な素材を大量に持って帰ってもらえたのは 非常にありがたいです。

ただ、量が多すぎるので査定に少々お時間を頂くことになります」


「ああ、それは分かっておるから大丈夫じゃ。

とりあえずこの後 武器の修理もあるし、まだしばらく滞在する予定じゃから急がん」


「それは助かります。では 明日には結果をお渡しできると思いますので、明日以降にまたお越し頂けますか?」


「こちら、お預かりした素材の一覧でございます。お間違えがないかご確認ください。

そして こちらが預かり証となりますので、明日以降 こちらの預かり証を受付にお出し下さい」


素材を並べる人、その数を数える人、それをメモする人に分かれて作業していたから、然程待つことなく手続きが進んでいる。

ただ、査定にはこれから時間がかかるというので預かり証をお父さんが受け取る。まあこの量だもんね、しばらくは休息日になるかな。


「あの……、これだけの素材がございますが、本当にヴィオちゃんのギルドポイントを加算しなくてよろしいのでしょうか?」


さて帰ろうと、お父さんに抱っこされたところで 別のスタッフさんから声をかけられた。

魔獣素材はドロップアイテムだから別として、薬草とかは 私の魔力が付着しているし、採集したのが誰か分かるようになってるもんね。

香辛料系の素材以外は、私が採集しているのが分かっているから言ってくれてるんだろう。


「うん、今ポイントを貯めても 銀ランクになれないからいいの。今は経験をいっぱいするときなの」


私の年齢で高ランクなのは 目をつけられるだけだし、銀ランク昇格試験を受けるのはサマニア村って決めてるしね。ダンジョン踏破の記録は ギルドカードに残るらしいし、上がる為のポイントを貯めるのは 然程難しいことではない。

経験を積むことが難しいので、今はポイントをもらわずに どんどん知識を増やしているのだ。

お姉さんは驚いていたけど「お父さんと一緒に頑張ってね」と笑顔で頭を撫でられた。何かすごいスパルタ教育をされてるって思われたかな?


謎肉は ボスの宝だけあって人気のアイテム。冒険者なら大概その場で焼肉祭りになりますw

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