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第120話  クラベツィアのダンジョン


お父さんとの旅は順調に続いている。

山の上の方では雪が降っているらしいんだけど、このリズモーニ王国は 高い山に囲まれているからか、雪が降ることは時々あるけど、積もるという事はないらしい。


だけど、冒険者たちは雪を知らない訳ではない、何故なら雪が降り続くダンジョンがあるから。

日照りが続く 砂漠のダンジョンや、いくつもの火を噴く山が連なる 火山のダンジョン、ジャングルのように樹々が覆い茂る 森のダンジョン、暗くて アンテッドが出てくる お墓みたいなダンジョン等々、盛りだくさんらしい。


今まで私が入ったダンジョンは、全部洞窟タイプのダンジョンだった。

まあ、変わり種のダンジョンは 中級以上に多いらしいので当たり前かもしれないけどね。

こないだ入ったクラベツィアのダンジョンも10階層の洞窟ダンジョンだった。

出てきたのは、ウルフ、ゴブリンが殆どで、上位種も数匹出てきたけど、然程苦労することはなかった。

ただ、8階から出てきた魔獣がちょっと大変だった。


スライム、ゴブリンと並ぶほど 有名なあの魔獣、オークが出現したのだ。

二足歩行の豚の魔獣として描かれるオーク、これもゴブリン同様、人とコミュニケーションが取れる相手として描かれることもあるけど、基本は豚要素が多い。


ブヨブヨの豚っぽい場合は 雑魚モンスターとして、鬼っぽい強者として描かれる場合は 凶悪なモンスターとして、ゴリマッチョで 人要素が強い場合は、強さがありつつも、人との共存もできる。みたいな幅広い描かれ方をする魔獣でもある。

ラノベ界隈では エルフと敵対することが多く取り上げられており、エルフの女騎士が「クッ殺せ!」と言う、所謂『クッコロさん』もオークが相手であることが多い。(ヴィオの前世であったヒトの勝手な想像です)



この世界のオークは どちらかというと狂暴なモンスター枠になる。

そして、オークも他種族と同じで 上位種になれば成る程 知性が増え、言葉を話すようになるそうで、オークジェネラル以上は人語を使うらしい。

ちなみにオークの肉はとてもじゃないけど 臭くて固くて食べられないらしいんだけど(この感想が出るという事は食べてみた猛者が居たという事だろう)ハイオークの一つ上、オークナイト以上になると 極上の肉になるらしい。


クラベツィアのダンジョンは初級ダンジョンなので、勿論ノーマルのオークが登場した。

人型の豚さんだと思っていたんだけど、豚さん要素がツヨツヨでした。

手足が長くて 二足歩行、 手の爪が非常に長い、身体は黒っぽい短い毛で覆われていて 全裸。


「お父さん、全然可愛くない……」


「魔獣じゃからなぁ。可愛い相手は居らんじゃろうなぁ」


はじめて見た時には あまりのショックにそう呟いたくらいだ。

まあ ゴブリンも可愛くなかったから仕方ないね。


で、見た目通りのオークは、パワーのみで攻撃してくるタイプ。

長い爪を振り回してくれば、ブゥンと風が唸るくらい。まともに当たれば 身体が吹き飛んだと思う。

脂肪が厚くて、私の短剣では全く刃が通らなかった。


「ヴィオ、オークは脂肪も皮も厚い、普通の剣では通らんぞ。魔法がええぞ」


そう言われて 【エアカッター】を飛ばせば、スパンと切れた。

魔力が少ないと、これも中々難しいらしいけど、私はこの旅の間にも 順調に魔力を伸ばしているので しっかり魔法が通った。

ドロップアイテムは豚の尻尾。超絶要らぬアイテムなので、そのまま拾わずスライムの餌として放置した。


クラベツィアのダンジョン、ボス部屋には、ハイオーク1体と、オークが3体というお部屋だったんだけど、ハイオークも オークと同じ パワー攻撃しかしてこなかったので、オーク3体は 【アースランス】で、ハイオークは 【エアカッター】で仕留めました。


豚の尻尾が4つ転がるだけの悲しいドロップアイテムだったけど、ボス部屋はご褒美宝箱があるからね。それを楽しみにここまで来たというものだ。

開けて見えたのは 大きな草に包まれた……肉?


「お父さん、肉だね」


「ああ、どう見ても肉じゃな」


「これって、オークの肉?」


「いや、オークは オークナイト以上じゃないと食えたもんじゃないから、違う肉じゃろう」


「え?じゃあ誰の肉?」


だって、ココには ウルフとゴブリンとオークしか出現してないんだけど?

という 謎肉(多分銀貨1枚分の価値)をマジックバッグに入れてダンジョンを出た。

クラベツィアの村に戻ってから、その謎肉をお肉屋さんに持っていったら なんと銀貨2枚で購入してくれた。

オーク肉ではないらしく、普通に美味しいお肉らしい。


お父さんは気にしないと言ってたけど、私は何者の肉なのか分からないものを食べる気にはならず、お肉を売って、そのお金で 八百屋さんでお野菜を買って クラベツィアの村を出発した。



そうして数日の移動を経て到着したのは、ルエメイ村。

ここが管理しているのは ルエメイ遺跡のダンジョン。元々遺跡があった場所がダンジョン化したというものらしい。


クラベツィアもそうだけど、サマニア村を出た当初、来る予定ではなかった場所なので、ダンジョンの情報は調べてきていない。

村にはギルドが必ずあるので、そこの資料室でダンジョンの情報を調べてから入るようにすればいいとお父さんが教えてくれた。



到着した村の入り口では 見張りのお兄さんに驚かれ、ギルドタグを見せて 更に驚かれるというのも毎度のこと。

村を出た最初のアンナープ村では戸惑っていた入村の手続き、6カ所目ともなれば慣れたもの。

その反応に、村の人達が慣れてくれるのも早くなっている気がする。

いや、もしかしたらこの数か月で身長が伸びて 冒険者らしく見えるようになったのもあるかもしれないね。




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