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第108話 コニベア洞窟ダンジョン その3



「ええっ!?ヴィオちゃんは 4階までもう行ってるのかい?まだ二日目だろう?

お父さんが先行しているんじゃなくって?

はぁ~、サマニア村は 冒険者が多い村ではあるけど、厳しい訓練してんだねぇ」


夕食の後にもデザートを出してくれた女将さんから、今 何階まで潜っているのかを聞かれたので答えたらビックリされてしまった。


「ん~、でも3階まではウルフとスライムだけだし、アンナープ村のダンジョンと同じだから大丈夫だったよ?

今日はコボルトを何匹か討伐したんだけど、明日はちょっと攻撃方法を変えてやってみるつもりなの」


というか、サマニア村は冒険者の村と思われてるんだね。

現役冒険者で他所に旅に行くような人はそんなに多くはないけど、元冒険者は多いみたいだし、ランク上位だった人が多いのは確かだよね。

ケーテさんも銅ランクになって直ぐに森に行ってたし、今もダンジョン巡り中だもんね。


「そうかい、コボルトの攻撃は咆哮と爪だから、初回は戸惑うだろうからね。

早さがなけりゃ遠距離からの魔法攻撃が安全だろうね。

5階からはゴブリンが混ざるし、6階はグレーウルフが混ざってくる。

段々敵さんの動きが複雑になってくるから、くれぐれも無茶するんじゃないよ」


おお、5階からは魔獣が混合になってくるんだね。

ゴブリンはアンナープでも会ってるから大丈夫だと思うけど、6階から上位種が混ざるのか。

8階くらいから ”ハイ○○” が入ってくるのかな?

女将さんの後ろ、カウンターの中で旦那さんも心配そうにしてくれているので、無理はしないと安心してもらえるように笑顔で手を振っておいた。



翌朝、女将さんのお弁当を受け取り、旦那さんにも行ってきますと手を振って宿を出る。

お父さんとしても 娘を心配してくれる人が多いのは嬉しいらしい。スパルタは変わらないけどね。


という事で2回目のダンジョンへ!

1階のスライムはスルーで、2階に下りて違和感に気付く。

マッピングを昨日やっているから道順は大丈夫なんだけど、ウルフが居ない。


「お父さん、ウルフが居ないよ?」


「ああ、再登場までの時間が長いんかもしれんな。1日とは限らんからなぁ」


そうなの?

前回のダンジョンは翌日入れば復活してたけど、昨日一掃してしまったからか、2階と3階にはスライムしかいなかった。

まあ10階層あると思えば、帰り道に全部リポップしているとか地獄だもんね。こりゃ何日で復活するのかも確認しておきたいね。


という事で 真っすぐ4階まで下りてきました。

索敵をすれば、やはり昨日討伐した分のリポップはしておらず、数も少ないままだった。

短剣は腰に差したまま、まずは鞭での攻撃を今日は試す予定です。


道なりに進み コボルトを発見したところで咆哮を受ける。

魔獣の咆哮は、立ちすくみ、震え、痺れ、恐慌状態、防御力低下など、敵の強さによっては結構面倒なデバフ効果があるみたい。

で、コボルトの咆哮は最初の2つくらいらしいんだけど、何故か私は全く効果がなかった。


昨日それをお父さんに聞いてみたら、多分結界鎧のお陰だろうと言われた。

そう言えば慣れ過ぎて忘れていたけれど、私の結界鎧は全身タイツだ。お父さんには強度確認の為に色付きで見せていた事もあるから覚えてたみたいだけど、やっている本人は見えてなかったから忘れてた。

結界鎧が咆哮による音の攻撃を防いでいたのだろうと言われて、流石アメコミヒーローって思ったよね。


今回も咆哮からの駆け寄り 爪での攻撃だったので、咆哮を上げた時点で魔力を鞭に流して 近寄るコボルトの首に鞭を絡ませるように攻撃している。


「あ~、まあええんじゃないか? 自衛力が増えるのはええことじゃ」


水、砂、火で攻撃すれば、気持ちよいほどにスパンと切れる。

鞭が絡みついたと思ったらそのままスパンだ。蔦は絡みつかせて行動阻害を目的にして、剣や魔法でとどめを刺すって感じだったけど、十分にこれだけで殺傷能力があることも分かった。

ちょっと攻撃力が強すぎて、若干お父さんが引いているような気はするけど、大丈夫だろうか。



5階のゴブリンは ノーマルゴブリンで、コボルトも出るけど、別にチームを組んでくることはなかった。

マッピングでわかる階層の変化は、少し広さが増しているというのと、行き止まりの通路も出てくるようになったくらいだろうか。

それでも私とお父さんはマッピングしているので 迷子になることも、次の階段を見つけられないという事もなかったけどね。


5階を終えた時点で昼食だ。

今日は5階までの予定だったんだけど、リポップが無かったから思ったより進行速度が落ちなかったので、昼食後に6階まで済ませる予定である。


「6階はグレーウルフが増えるじゃろう?

今までウルフ系には鞭を使わんかったから、一度それもやってみるか」


「そうだね。グレーウルフも飛び掛かりが多いけど、噛みつきもしてくるし、混ざってくるなら範囲攻撃出来た方がいいと思うから短剣よりは 魔法と鞭の方がいいかも」


お弁当を食べながらこの後の相談。

お父さんは 全く心配していないらしく、好きにしたらいいと言ってくれている。何かあっても十分フォローできるから 失敗しても大丈夫だって言ってくれるのはとても心強い。



という事で、腹休めも終わったところで6階層に下りて【索敵】を展開。

1階層の倍以上の広さ、通路の複雑化、敵も結構いるね。


……?


ところどころにある空間は何だろうか。 そしてその空間のいくつかには魔獣らしいものが数匹いて、一つの部屋にはゴブリンっぽいのが詰まってる。

二足歩行だからコボルトかもしれないけど。


「お父さん、マップの中に通路以外の空間があるの、これは部屋?

それで、いくつかの部屋は魔獣がいるところもあるんだけど、これは巣?お部屋に詰まっているのは罠なのかな?」


「もう終わったんか、早いな。ちょっと待っとれ……」


ちょっと待ってればお父さんのマッピングも終わったみたい。


「ああ、これは部屋じゃな。部屋も索敵で分かるとは便利なもんじゃな。

魔獣が埋まって……、詰まっておる部屋は、パニックルームと呼ばれる部屋じゃな。

索敵が出来ん者は 罠解除の斥候が確認するが、扉自体に罠がなくとも こうして部屋に魔獣が多く存在しておるという罠がある。

パニックルームは 部屋の扉を開けたら最後、全部の魔獣が飛び出してくるから、複数の冒険者が入るようなダンジョンでその部屋をあけると、同階におる全ての冒険者が巻き込まれるんじゃ。

複数冒険者が居ることが分かっておる時は、パニックルームを開けたらシャウト(大声で叫ぶ)で 皆に知らせる必要があるんじゃ」


「ああ、だからパニックルームなんだね。そりゃ大変だ」


「普通は開けんと分からんもんじゃが、こうして分かれば開けることはないから安全じゃな」


索敵の便利さはお父さんもどんどん実感しているらしく、帰ったらギルマスに教えてあげると言っていた。ボス部屋は中身が分からないんだけど、扉の異様な魔力は分かるからね。

多分あの部屋の中は異空間なのだと思う。




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