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第106話 コニベア洞窟ダンジョン その1


女将さんからお弁当を持たせてもらい、今日から新しいダンジョンに挑戦だ。

村から徒歩30分ほどの距離にあるコニベア洞窟は、アンナープ村のダンジョンと同じように、山肌にぽっかり穴が開いている入口で、中も洞窟だと聞いている。


「さて ヴィオ ここでおさらいじゃ。コニベア洞窟ではどんな魔獣が出る?」


「低層階ではスライムとウルフ、中層階にはコボルトとゴブリン、高層階にはそれぞれの上位種が出ます」


「そうじゃな。まずはコボルトが出る階層までは 前回と同じじゃろうから 然程時間をかけずに下りていく。各階層のマッピングをしながらじゃから 無理はせん事。

コボルトの討伐は初めてじゃから、魔法と武器での攻撃 どちらがええかやってみればええ。

今日はコボルトまで行ったら戻ってくるぞ」


「はいっ!」


コボルトが出るのは3階か4階だと聞いているからね。

その後はウルフがグレーウルフになって、8階以降はハイコボルト、ハイゴブリンなどの上位種だけだって事だから、まずは5階までを余裕で行けるようになるのが目標だ。


真っ黒な穴を目の前に、だけど気負うことなく二人で足を踏み入れる。

やっぱり入ったら薄らぼんやりと光があり、暗いと思うことはない。外は見えるけど、太陽光が眩しいと思うことはない。って事は、本当の外とは違ったりするのかな?

人が大勢いるダンジョンで 外の人が見えるのかを確かめてみたいね。



そんな事を思いながらも 二人で洞窟の中を索敵し、マッピングをしていく。

お父さんもすっかり慣れたらしくて、目を閉じなくても索敵出来ているみたい。

ああ、ここも1階はスライムしかいないようで、丸い動かない敵が通路場に点々と転がっているのが分かる。

アンナープのダンジョンよりは広いけど、複雑でもない通路は マッピングできなくても迷子になることはないだろう。


お父さんに行先を指し示せば頷いてくれるので、いつも通りに歩いていく。

お父さんは数メートル離れたところからついてくるのも同じである。

見えたスライムは特に攻撃してくるものでもないので、放置したまま2階へ続く階段へ向かう。

ドロップアイテムもないし、スライム相手の練習は散々してきたので 新しいスライムでなければ無駄な殺生はしないのだ。


2階の入り口で再び索敵を展開し、マッピングしていけば、この階にはスライムと一緒にウルフがいるのが分かる。

ウルフは向こうからも向かってくるので ちゃんと討伐する予定。

ただ、ダンジョン産のウルフは尻尾しか落としてくれないので ドロップアイテムは放置するんだけどね。まあ、綺麗に剥がれた毛皮が出てきても『どのタイミングでその皮を剥いだんだ?』って新しい謎が出そうだから、尻尾くらいでちょうどいいとは思う。


「ウルフだけ討伐しながら行くね?」


一応お父さんに報告してから進む。お父さんも特に心配はしていないらしくて 一つ頷いただけ。

長い通路という訳ではないけど、比較的真直ぐな通路の為、曲がり角を曲がれば 通路の途中にいるウルフが目に入る。スライムも点々といるけど 彼らは基本動かないので放置だ。

足音も抑えていないので、ウルフも私の存在に気付けば たちまち駆け寄ってくる。

森では毛皮を剥いで素材として提出するから、傷は最少にする必要があるけれど、ダンジョンでは勝手にドロップアイテムになるから、その辺りは大雑把でいい。


タッタカ走ってくるウルフは 飛び掛かっての噛みつき攻撃がデフォである。

なのでグッと踏み込んでジャンプしたところで【エアカッター】を唱えて首チョンパである。

森でそんなやり方をすれば 血しぶきバシャーだけど、それもダンジョンの有難いところで 死亡確定でキラキラ消えるので汚れずに済む。

キラキラしたと思えばしっぽがポトンと落ちているという 中々シュールな感じになるけどね。

このまま放置しておけば、いつの間にか消えているらしいので、ダンジョンが吸収していると言われるんだけど、倒したところで一番近くにいたスライムがムクリと動きを見せた。

殆ど置物状態で動かないのに、今ちょっと動いたね。


「どうした?」


敵は倒したのに その場で止まってしまった私を気にして お父さんが近寄ってきた。

スライムに目がないので分からないけど、尻尾と私を見ながらキョロキョロしているように見える。まあ、フルフルしているだけとも言えるけど。


「うん、スライムが動いたからちょっと気になったの。ちょっとだけ見てていい?」


また私がおかしなことに興味を持ったと分かったらしいお父さんは、少し笑って了承してくれた。

スライムは 私が動かない事を確認したからか、スルスルと動いて尻尾に近付いていく。

思ったよりスムーズに動くのが驚きだ。

スライムと言えば移動時はピョンピョン跳ねるのではないのか?

このスライムは全くそんな事はなく、歩くエスカレーターに乗っているようにスーっと動いて、尻尾の上に乗っかった。


シュワシュワ シュワ~


「あっ、消えた!」


「おお!消えたな」


スライムの中に入った尻尾は 消化されるようにシュワシュワして消えてしまった。

その後はまた壁際にスーッと移動し、置物のようにスンとなってしまった。


「お父さん、もしかしたら放置したドロップアイテムはスライムが片付けてくれてたのかな」


「そうかもしれんな。気にしたことはなかったが、今までも他の場所でもスライムが居った事を思えば、もしかしたらその為に存在しておったのかもしれんな」


お掃除スライムは鉄板だもんね。ここではダンジョン専用お掃除スライムなのかもしれないね。

初心者の討伐訓練相手にもなって、お掃除もするなんて、なんて万能魔獣なのでしょうか。流石スライム!


2回目以降はわざわざ待つことはしなかったけど、落ちたドロップアイテムを壁際のスライムの近くに持っていくことはした。

移動も労力ではないんだろうけど、なんとなくね。



3階ではウルフが2匹一緒に出るようになった。

とはいえ連携を組むでもないので、討伐は同じく首チョンパである。

溜めで一度踏み込むのも同じなので狙いやすいんだよね。


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