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第104話  次の村へ出発


アンナープ村での滞在 1週間が過ぎた。

初級ダンジョンは踏破したので 村での滞在も終了となる。


「もう帰っちゃうのね、少しの間だったけど 楽しかったわ。

もうダンジョンには入らないと思うけど、森の素材は豊富だから、また遊びに来た時には 泊まりに着て頂戴ね」


お別れの日、リスの女将さんからギュっとハグされて、お弁当を持たせてもらえた。

宿泊しないのにと思ったけど、女将さんのサービスなんだって。

この村の人たちも優しい人が多かった。


ダンジョンに行くときは 必ず門番の人から「頑張って来いよ」と応援してもらえるし、帰ってきたら頭を撫でられる。

女将さんも 子供椅子はないから 固めの座布団を用意してくれて、食事をするときに不便が無いようにしてくれた。


「また遊びに来るね~」


「おお!またこいよ!」


最初の日には ダンジョンに入る事に驚いていたおじさんも、最後の今日は大きく手を振って見送ってくれた。


「お父さん、良い村だったね」


「そうじゃな、辺境は厳しい環境じゃから力の大切さを実感しとる。勿論 戦う力だけを必要としとるわけじゃないが、努力をする者を尊ぶ傾向にあるな。

ヴィオみたいな小さい子供が、連日 無茶せんと訓練しとるのは 応援したいと思わせるんじゃろうな」


初日はドワーフだと思われていたけど、数日で人族だという事が伝わった。

心配されるかと思ったけど、すでに2回もダンジョンから怪我無く戻ってきていた事から、お父さんのスパルタ訓練で相当鍛えられている子供なのだろうと思われるようになっていたみたいだ。


アンナープ村を出て、今度は山沿いにコニベア村というところに向かうことになっている。

その村までの距離は サマニア村とアンナープ村までと同じくらいの距離らしく、2か所の休憩所があるんだって。


「次の村もダンジョンがあるの?」


「そうじゃ、アンナープ村と同じ洞窟の初級ダンジョンじゃ。

ただし、階層は10階層と アンナープの倍あるし、コボルトも出る。

ウルフ、ゴブリンも上位種が出てくるから 初級にしては強いし準備がないと危険じゃな」


おお!コボルト!

コボルトも有名どころではあるよね。二足歩行する犬の魔獣だ。

四足歩行の利点を完全に失う進化だとラノベを読みながら思ったことは数知れず。

手足が人の五本指の場合と、犬のそのままであることがあるけど、犬の足のままだと絶対四足歩行じゃないと損だよね。


「お父さん、コボルトって武器を使ったりするの?」


「上位種は使うもんもおるぞ。メイジ系の進化をした者は魔法も使う」


「ふ~ん、そういえば魔獣って ヒトの言葉は喋れないでしょう?でも魔法は同じ感じなの?

それが出来るなら完全無詠唱って事だよね。得意属性とかもあるのかな……」



お父さんと二人で街道を歩いている。

途中にある魔獣除けの魔術具にも 交代で魔力を入れながら、時々森に入って薬草とか 食べられそうな素材も採集している。

魔獣除けの魔術具を交代の場所として、二人で【索敵】もしながらである。


洞窟ダンジョンで随分上達した索敵は、半径100メートルくらい 自分たちの周辺を確認できるようにしている。

森の中とかなら 半円にして距離を伸ばすけど、今は練習を兼ねてだからね。


「確かにそうじゃな。魔獣で魔法を使う相手はそれなりにおるが、言葉は発しておらん。それこそ今釣り時になっておるトラウトも魔法を使うが魚じゃからな」


そりゃそうだ。魚が喋ったらびっくりする。

得意属性なのかは分からないけど、大体魔獣によって使う魔法は一緒らしい。

メイジゴブリンなんかは個体によって違うらしいけど、1体のメイジゴブリンが複数魔法を使うことはないらしい。

ただ、メイジゴブリンの上位種になってくると複数魔法を使えるようになるらしいので、ゴブリンの巣を討伐するときなんかは混ざっているから気を付けないと危ないらしい。


街道を通っているからか、あまり魔獣に遭遇することはない。

勿論山の方の索敵範囲にはそれなりに魔獣の反応があるんだけど、こっちに出てくる感じではないので、こっちからもわざわざ狩りにはいかない。



1泊目の今日は森の入り口での野営だ。テントの準備をしたところで、お父さんと二人森に入る。


「お父さん、ピッグかな、ボアかな」


「大きさ的にはボアじゃろうな」


「じゃあ今夜は焼肉だね!」


索敵範囲にはウサギ、ウルフ、トカゲ、ヘビと 小動物から中型まで転々と引っかかっているんだけど、少し奥の泉の辺りにボアっぽいのが見える。

ヘビも美味しいんだけど、折角ボアがいるのなら、そっちの方が食いでがある。


途中で飛び掛かってくるホーンラビットの首を短剣で切り落とし、3匹のグレーウルフは飛び上がる前に眉間に極小ファイアボールを打ち込む。

木の上からスルスルと音もなく近づいてきた イエロースネークは 大きな口を開けたところで 口の中にアイスランスを打ち込んだ。


お父さんはすぐ後ろでヒョイヒョイと 倒れる寸前の魔獣たちをマジックバックに入れていくので、私はそのまま真っすぐボアに向かって走る。

ノーマルリザードは直線距離にはいないので、特に寄り道することはしない。

水を飲んでいたらしいボアはピッグと間違えただけあって まだ小さい。木の上からボアを中心にさらに索敵範囲を広げると、どうやら子供のようだ。

少し離れた場所に両親らしいビッグボアが狩りをしているのが分かった。


「ヴィオどうした?」


「うん、どうやらあの子、ボアの子供みたいで、両親っぽいのがあっちで別の魔獣の狩り中みたいなの。

だから今回はスネークも採れたし、ボアは良いかなって。お父さん良い?」


依頼で狩りに来ている訳ではないし、今食料がない訳でもない。

既に焼肉にできるヘビもウサギも狩ってるから、わざわざ両親を怒らせてまで子ボアを狩る必要はない。

そう思ってお父さんに提案すれば「好きにすればいい」と頭を撫でられた。ありがとう。


ということで 子ボアは警戒心がないまま両親の元へトコトコと帰っていったので、私たちもテントに戻ることにした。


この移動でも休憩場で他の人たちと一緒になることはない。

というか今のところ街道で他の人たちとすれ違ったことがない。主要道路ではないとはいえ、こんなものなのだろうか。

第一村人発見!というか、他の商人とのアレコレを楽しみにしていた私としては少々物足りなかったりするんだけど、お父さんとしては余計な心配の種が無くて安心しているみたいなので言わないようにしている。


こうして3泊4日でしっかり歩き、2つ目の村、コニベア村に到着したよ。


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