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第11話  ギルドカードの完成

「さてさて、出来たかな。」


ギルドの説明を受けている間に、準備が整ったようだ。

名刺ケースのような機械をパカっと開ければ、鉄板のような板が入っている。

お父さんが書いたはずの紙がない!

紙が金属の板になったの? どういう仕組み??


タキさんは カードを取り出し、私が見やすいように置いてくれる。


【ヴィオ (5歳) ランク:錫】


実にシンプルである。

パーティーに所属すれば、ここにパーティー名が入るらしい。

厨二心溢れるパーティー名とかもあるんだろうか。調べてみたい。


「表側はこんな感じだね。裏に属性が…………は?」


カードをくるりと裏返したタキさんが固まった。

カードの裏には文字が沢山書いてあり、これもまた転生特典なのではないかと思ったりしている。


【属性:聖・闇・木・火・土・水・風】


お父さんも固まっているので、腕をパシパシ叩いてみる。

これが多分特別なのはわかる。どのくらい隠す方が良いのかを知りたい。


「はっ‼

タキ、ギルマスとサブマスにこの後 資料室に来るように言ってくれ。くれぐれも儂らが出て暫く普通の業務に戻ってからじゃ。

儂らは資料室で地図を見せてもらう約束をしておるから、少し長めに滞在するからな。」


「わかりました。では登録はこれで終了という事で。カードの裏は隠すこともできるけど。」


「それは儂が後で調整する。」


お父さんとタキさんでやり取りが終わる。

うん、まぁギルマスたちが間に入ってくれるようだし、村の中だけど安全対策を二人がしようとしているのは分かるから、静かについて行くことにしよう。


「よし!ヴィオ、そしたら登録も出来たからの、資料室で地図と薬草とかの資料を見せてもらいに行くぞ。」


タキさんが扉を開けてくれたところで お父さんが抱っこをしてくれる。

タキさんにお礼を言って手をふれば、ヒラヒラとふり返してくれる。

ココだけ見ていれば、普通の登録終了に見えるんだろうね。お父さんにそんな特技があるとは思わんかったよ。流石 銀ランク?



コンコンコン


「は~い」


「おぅ、ミミー 久しぶりじゃな。

ギルドの登録を済ませたばっかりの儂の娘、ヴィオじゃ。

この辺と、隣近所の国やらの地図と、薬草とかの資料を見せてもらいたい。」


「あらぁ~、アルクさんだわぁ~。本当久しぶりぃ。

こんにちわぁ、ギルド職員のミミーよ~。ヴィオちゃん、よろしくねぇ~。

アルクさん、この子可愛いわぁ~。連れて帰っていい~?」


小柄な犬耳お姉さんが 下ろしてもらった私の頭を撫でてくれる。垂れ耳だから ユルフワの髪と耳が重なって見え、尻尾が無ければ獣人だと気付かないところだった。

さっきのタキさんは、犬種でいくと 多分 ラブラドルレトリバー、黒ラブだね。

ミミーさんは アメリカンコッカースパニエルかな? ピンとした尻尾が さっきからブンブン振られている。


「阿呆なことを言ってないであっちの個室を借りるぞ?」


「は~い。ヴィオちゃん、またねぇ~。」


お父さんは辛辣な言葉だけど ニコニコしているし、ミミーさんも軽く返しているから いつものやり取りなんだろう。きっと引き籠る前はこんなやり取りをよくしてたんだろうね。


さっきの登録をしてくれた会議室があったエリアの 階段を挟んだ反対側。廊下の右側半分が資料室になっている。

左側は大き目の会議室が2つあり、村で何かをするときとかに大人たちが集まる為の会議室なんだって。

会議室2つ分の資料室はとっても広くて、6人のパーティーが一緒に入って相談できるような個室も2つ用意されている。

そのうちの一つに お父さんは入った。


「必要な資料を持ってくるから、ヴィオはここで待っとれ。」


ギルマスたちが来るなら、個室は必要だよね。

ギルマスたちの部屋は3階にあるようで、外から見てピョコンと飛び出してた屋根裏みたいなところがギルマスたちの部屋らしい。

秘密基地みたいで ちょっと羨ましい。


部屋を眺めながら待っていれば、お父さんが本や丸まった紙、資料の束などを持ってきた。


「これがプレーサマ辺境伯領の地図じゃな、儂らの村は……あぁ、此処じゃ。サマニア村。

プレーサマ辺境伯領はリズモーニ王国の国境を護る領地でな、ヘラツィオ共和国とルシダニア皇国、メネクセス王国に挟まれとる。」


地図は辺境伯領が中心の地図で、境界線の向こうは白紙だけど、3つの国に挟まれるって 戦争とか起きたら一番狙われる場所じゃない?


「他の国から悪い人は来ない?」


流石に5歳児が戦争とか言うのはアレだから、ちょっと濁して聞いてみる。


「あぁ、この国は高い山で囲われとる。

というか、鉱山が国境になっておるということじゃな。

鉱山の上には空を飛ぶ魔物もおるし、皇国と王国側の間にある山には竜が住んでおるからな。

お互いの国からは限られた道があるから、そこ以外で来るのは危険じゃろうな。」


竜! 龍? ドラゴンですか?

この世界、ドラゴンがいるんですか?

うっわ~、夢が広がるわぁ。見てみたい!喋れるのかな。人に変身とかできるんだろうか。


「あぁ、これは大きすぎるな。」


次に広げた地図は横長の大きな地図。

4つの大きな国があり、その隙間や端に小さな国がいくつかあるようだ。地球だとアメリカのほうか、ヨーロッパの方か。どっちかの大陸くらいの大きさはあるのかな?


「お父さん、この地図はどこの地図?」


「おやおや、賢いとは聞いていましたが、地図を理解できるのですか?これは素晴らしいですね。」


大きな地図を見ていたら、知らない声が上から聞こえた。

見上げれば白髪ロン毛の美人さん。

金色の目は爬虫類のそれで、ジッと見つめられると、全部を見透かされているようで落ち着かない。


「はじめまして、アルクお父さんの娘 ヴィオ5歳です。」


「これはこれは、ご丁寧にどうも。

サブギルドマスターのアスランと申します。蛇族の32歳 独身です。」


自己紹介をすれば、笑いながらアスランさんも自己紹介をしてくれた。イケメンなのに独身なんですね。勿体ない。


「なんだその自己紹介。

お前 単体生殖できるから 嫁は不要だって言ってただろうが。」


イケメンの独身宣言に想いを馳せていれば、ライオンギルマスが呆れた様子で入ってきた。

単体生殖!蛇でも出来るんですか?この世界独自なのか、地球でもそうだったのか、調べたいですね。

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