ギルベルの屋敷へ
森を出ると、外は夕日で赤く染まっていた。
ルキ隊長は部下の人たちと別れると、「この時間なら会えるか・・・」と言いながら馬車を拾った。
「どこに行くんですか。」
乗り込む前にセイ兄が確認する。
「すまない、言い忘れていた。今から向かうのは、私の友人夫妻の屋敷だ。セイとモエを預かってもらおうと思うんだが・・・詳しい話は中でしよう。」
そう言って馬車に乗ると、ルキ隊長が話を再開した。
「今回のように人を保護した場合、まずは騎士団に報告することになっている。報告を受けると、騎士団は捜索依頼が出ていないか確認したり、別の事件に巻き込まれていないか調査したりする。ここまでは理解できるか?」
私もセイ兄も頷く。
「当然、保護された人にも聞き取りを行う。だから、保護された人は、調査が終わるまで騎士団と連絡が取れる場所で生活しなければならない。保護した人が面倒を見たり、騎士団の施設で引き取ったり、対応はその時々によるが。」
とりあえず、しばらくは生活できそう。
「今回は私が引き取りたいところだが、生憎一人暮らしなんだ。家に子どもしかいない時に、何かあったら困る。」
「私たち大人しく待ってるけ」
「駄目だ。悪い人に狙われないか心配だ。」
頑固親父がいる・・・。
「だから、今回は私の友人夫妻の家で生活してもらいたい。子どもが好きだから喜ぶと思うし、何ならそのまま育てたいと言う気がする。セイとモエが身一つで行っても問題ないし、調査が終わってからも安心して生活できると思うんだが・・・。」
ルキ隊長、そこまで考えてくれていたのね。
頑固親父とか言ってごめん。
でも心配なのは・・・。
「もし出て行くことになったら?」
まさに心配していたことを、セイ兄が確認する。
「彼らならセイとモエを手放さないと思うが・・・。分かった。調査が終わったときに生活に困るようであれば、私が何とかしよう。二人を保護したのは私だし、最後まで責任を持つ。」
ルキ隊長、一生着いていきます・・・!
感動しているうちに、馬車が停まった。
外に出ると、西洋風の建物が目に入る。
ルキ隊長が「屋敷」と言っていたけど、確かにその言葉がぴったりだ。
そう思っていると、建物の中から人が出てきた。