表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

森の中 3(ルキアスティ視点)

とある仕事を終えて、私は森から街に向かっていた。

すると、一緒にいた部下二人が、クマモドキという魔物がいることに気づいた。

異様に長い爪を持っている魔物だが、それほど強くはない。

距離も十分にあるので安心するが・・・


動きが遅い?


クマモドキは獲物にゆっくりと近づくことが多い。

ゆっくり近づくことで相手を油断させた後、爪が届く距離になった瞬間に仕留めるからだ。

何かいるのか?と思い確認すると、二人の子どもがクマモドキのターゲットになっていた。


「クマモドキが子どもたちを狙っている!すぐに背後から倒してくれ!」


急いで指示を出すと、部下たちはクマモドキの背後に移動し、そのまま倒した。

あとはあの子たちが無事か確認しなければ。


そう思い子どもたちの方に行くと、幸いなことに怪我はしていなかった。

きちんと会話もできる。(セイはかなり警戒していたが。)

そして、子ども+猫という見た目が可愛すぎる。

モエがセイの後ろから顔を出したときは、可愛さのあまり言葉を失った。

上目遣いは反則だろう。


そう思ったところで、この子たちの親がいないことに気づく。

セイとモエが言うには、親の居場所どころか、お互いの名前以外は分からないらしい。


うーん、親は探すとしても、このまま二人を引き取りたい。

しかし、一人暮らしで家を空けがちだからな・・・。

とりあえず、今は森を出るか。


「とりあえず森を出よう。ここは魔物が出るから危険だ。私も部下も君たちを傷つけないから、一緒に来てくれるか?」


セイとモエはすぐに頷いてくれた。

さらに、「よろしくお願いします」と言って頭まで下げてくる。


良い子すぎないか?!と思ってから、いやそれだけではないなと思う。

この子たちは嫌われないように必死なのだろう。

ここで見捨てられたら、再び魔物に狙われるかもしれない。

最悪の場合、命を落とすだろう。

そんな状況で子どもが二人、しかも記憶がない状態で過ごす恐怖は計り知れない。

セイとモエの立場を想像し、思わず目に涙が浮かぶ。


そうだ、このまま自分が信頼できる人に、そして自分が会いに行きやすいところに二人を託そう。

セイとモエには幸せに暮らしてほしいし、そんな二人を見て私も癒やされたい・・・。

そう考え、後ろにいる部下たちに指示を出す。


「お前たちは本部に戻って報告書を作成するように。私はこの子たちと一緒にギルベルの屋敷に行く。」

「え!隊長だけずるいです!」

「俺らも一緒にいたいです!」


いや気持ちは分かるが、子どもより言うことを聞かないとはどういうことだ。


「それなら、お前たちの上着を二人に着せるか?見ての通り、二人は薄着だ。上着を着せれば、二人は防寒できて、お前らはあの子たちの可愛い姿を見れる。それでも不満があるならこのことをお」

「「分かりました!!」」


そう言うと、部下たちはすぐに上着を着せ始めた。

予想通り、大きな服に包まれる二人は可愛い。

セイとモエはびっくりしているが、尻尾に喜びが表れているから、不快ではないのだろう。


「ありがとうございます・・・。」


二人がお礼を言うと、部下たちは胸を押さえて蹲った。


「大丈夫か?」

「すみません隊長、身体は大丈夫ですが心に強烈なダ」

「大丈夫だな。森を出るぞ。」

「待ってくださいよ隊長!ただでさえ可愛いのに、こんな純粋な顔でお礼を言うのは反則です!それに・・・」


分かったから、早くギルベルの屋敷に向かわせてくれ。

そう思いながら、私はセイとモエを抱えて歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ