急ぎ足
あんな連絡受けたら、誰でも急ぐだろう。
やってきたメールは、親が倒れたというものだった。
仕事で出張に出ていた俺だったが、そのメールを見た瞬間、顔の血の気が引くのがはっきりと知覚できた。
それだけのものだった。
一緒に来ていた先輩に詫びを入れつつ、メールの内容を説明すると、先方にも説明を代わりにしてくれるということだった。
何度も何度も深々と頭を下げて、俺は親が入院しているという病院へと直接向かった。
看護師詰所で説明をして、それから時々合流してくる親戚や兄弟姉妹と心配な顔をしながら、集中治療室そばの、家族待合所で待たされる。
「あー、ご家族の方ですね」
メールを受けてから4時間。
病院についてから1時間。
手術は終わったようだ。
「あの、大丈夫なのでしょうか」
「ええ、もう安心してください。通報が早かったおかげで、早期治療ができました。もう安心ですよ」
医者がそのあと細かく説明をするために、と別室に通されたが、内容はほとんど覚えていない。
なにもかにも、ともかく無事で何よりだ。