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月国物語  作者: 作者
2/2

ようこそ!非日常へ

 私達はもう終わってもいいと思っていた。だけど、助けられた。それならこの命は、助けてくれた人達のために使う。この平和な場所で出来ることは日常の手助けだけ。それでも役に立ちたい。もしも危険な時が来たら、今度は私達が助けよう。命を助けてもらったのだから…………




 「隼人さんを……離せえええ!」


 クロが触手の腕に包丁を突き立てた。

 

 だが、刺さったように見えた包丁は触手に絡まるように乗っかっていただけで、化け物には傷が一つもついていない。


「そんな……っ!!」


 化け物は腕を振り回しクロを振り落とした。父さんを吹き飛ばし、貫いた触手の腕で自分を殺そうとしてるのがわかる。自分を掴んでいる母さんを殺した腕は、徐々に力が入り逃がさないようにしている。

 その時だった――


「月剣流――『新月』」


 知らない声が聞こえるのと同時に、掴まれていた腕が切り落とされ自分と共に床に落ちた。


「傷の手当は頼んだよ!」


 声の主の後ろから来た女の子にそう伝えると、その女性は化け物の前に涼しい顔で立ち剣を構えている。


「お前達は…………分が悪いなぁぁ……」


 化け物が何も無い空間殴るとその部分が割れ、そこに化け物が入って消えていく。


「食べ残しは……今度食べるよ……!」


 そう言い残すと消えた。

 

「隼人さん!大丈夫ですか!?」


 クロがヨタヨタと力なく傍に来てくれて我に返った。

 

 近くには父さんが転がっていた。父さんを謎の光が包んでいるが、一向に父さんの容態はよくなっている様に見えない。


「すみません……父さんは治りますか?母さんは生きているんですよね?」


 答えは帰ってこなかった。


 父さんと母さんが死んだ事を確認し、クロと自分も謎の光に治療してもらっていると剣を持っていた女性がこちらに来た。


「私の名前はナツキ・エスティリアス。今二人を治療してるのは私の妹、サツキ・エスティリアス。いきなりの事で混乱してると思うけど、少しお話いいかな?」


 そう言い終わると自分の目の前に来た。あった事を思い出し伝えようとすると、吐いてしまった。クロの声を聴き、謎の光で手当をされ痛みが引いた事により、両親が目の前で死んだ事や、先程までの恐怖が一気に襲いかかった。


「おね……ナツキ様、今はまだ心の整理がいるかと」

「あ〜……そうだよね……ごめんなさい。それなら中にいる子達に聞きましょう」


 ナツキ様と呼ばれる女性が自分の身体触ると、六人の人格達全員が自分の身体から弾き出された。弾き出されて直ぐに、瞳は体勢を整えた。


「私が説明します。ナツキ様とお呼びして問題はありませんか?」

「うん!呼び方はなんでもいいよ!」


 瞳が説明している間、自分は母さんと父さんを見ていた。サツキさんのおかげで、二人の身体に空いた穴は塞がっていたが、生き返る事はないそうだ。


「なるほどね……よくわかったよ。ありがとう」

「いえ……本当にありがとうございます……」

 

「サツキちゃん、そっちはどう?」

「はい、隼人さんとクロさんの傷は完治。ご両親の傷も治りましたが……その……」

「そっか……命は助からなかったか。」

「すみません……」

「……サツキちゃん、ちょっといいかな?彼等のこれからについて、ちょっと意見を聞きたくてね」



 両親の遺体を前に自分は何故か涙が出てこなかった。意識もしっかりしていて、何が起こったかも理解しているのに何故か、涙の一つも出てこなかった。


「隼人さん……」

 

「クロ……悲しいのに、悲しくないんだ。泣きたいのに、泣けないんだ……二人を殺した奴が憎いのに、冷静なんだ……俺は、二人が大好きなのに!なんでこんな……どうして……」


「隼人さん、今日は立て続けに色々な事が起きました。そのせいで混乱しているだけですよ。隼人さんがお父様とお母様を大切に思っていた事を私はちゃんと知っていますよ」


「ありがとう……クロ……せっかくだから少し楽しかった頃の話をしようか」


 クロと思い出話をしてた。自然と、出された人格達も周りに集まり皆で話をしていた。みんなと話す事で父さんと母さんがもう生きてない事が夢のように感じた。


「みんな、ちょっといいかな?みんなのこれからについて、私達から二つ提案があるんだけど」


 提案の内容は二つとも驚きの内容だった。

 

 一つ目の提案は、ナツキ様達がくれる莫大な資金を受け取り魔法によって記憶を消し、今日の出来事を忘れる事。その際両親の死因は事故死となる。

 二つ目の提案は、ナツキ様達に着いていき仇を取ること。ただ、ナツキ様達の住んでいる世界は魔法や剣があり命の危険は今いる世界より遥かに高くなる。


 二つの説明を終えたナツキ様はサツキさんに警護を任せ一旦元の世界に帰った。去り際にナツキ様は教えてくれた。


「真相を忘れ、間違った家族の最後を受け入れ生きて行く人。一人だけ取り残され奪った者に憎悪を燃やして、こちらの世界に来ることになった人。その二つともを私は見てきたよ。きっとどちらも苦しい決断だと思う。だけど、貴方にはまだ家族がいる。よく話し合って決めるんだよ」


 俺達の意見は一致していた。両親の正しい死因は事故ではない『化け物に殺害された』だ。必ず仇を取ると八人で固く誓った。


 薄暗い通路をナツキ様達と進んでいる。

 

「その……そちらの世界に行く事を決めたのは僕達なんですけど……その……八人でいきなり行っても大丈夫なんですか?」


「確かに大人数だけど大丈夫だよ!国民の評価は『優しい女王』らしいからね」


 そんな雑談をしていると薄暗い通路が明るくなってきた。ナツキ様が作った通路から出るとそこには玉座があり、国を一望出来る様になっていた。中世の様な街並みだが現代の様な電柱などもある。


「さて!ようこそ!月国へ……ようこそ!私の国へ!月国十六代女王……ナツキ・エスティリアスがあなた達の入国を歓迎します」


初めての投稿となります。なので、読みにくい場所や「、」や「。」の使い方が間違っていたりする箇所が多くあると思います。大変申し訳ございません。

もしもお時間がありましたらコメント欄などでご指摘して頂けると嬉しいです。

最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!

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