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たゆたう

作者: 森乃晴々

 たゆたう。語感が良い。あまり日常で使用することのないその言葉の響きに、私はうっとりしていた。夏の何てことのない日のことである。


 たゆたう。たゆたう。


 昔から、ほかの人よりも恵まれていると自覚していた私の家には、プール(市販されているビニール製の小さなものではない)が備え付けられている。本日の気温は、摂氏三十度。いくら室内にはクーラーがあるとはいえ、窓から差し込む日差しには勝てない。そんな日にはプールにたゆたうのが一番だと思う。


 たゆたう。たゆたう。


 たゆたう私のそばには、巨木が浮かんでいて。


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